本セミナーでは、東京都で歯内療法専門医としてご開業されている吉岡隆知先生を講師にお迎えし、「根尖突出（fenestration）」をテーマに、歯内療法診断における重要な鑑別のポイントについて解説いただきます。

根尖突出は、X線画像では異常が確認できないことが多く、患者が訴える根尖部の違和感や痛みが診断を困難にする、見逃されがちな病態の一つです。特に上顎犬歯や小臼歯に多く認められ、CBCTを用いた精密な診査と、的確な臨床判断が求められます。

本講義では、

• 根尖突出の分類（タイプ1〜5）とその臨床的意義
  
• 保存の可否や治療選択に関する判断基準
  
• レントゲンでは異常が確認できなかったが、CTにより根尖が骨を貫通していた症例
  
• 外科的介入により骨再生が認められた症例
  

などを取り上げ、実際の症例に基づいた診断と治療のプロセスを丁寧に解説しています。

また、触診を含む初期診査の手技から、CBCTを用いた確定診断に至るまで、診査フロー全体を体系的にご紹介しており、日々の臨床に即した内容となっております。
根尖突出は頻度としては多くないものの、曖昧な症状の背景に潜むことが多く、適切な診断と処置によって良好な予後が得られる可能性の高い病態です。

本セミナーを通じて、診断力と治療選択の幅を広げる一助となれば幸いです。