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【完全比較】CADCAMブロックのマテリアル特性

CADCAMブロックに用いるマテリアルにはいくつか種類があります。たくさん種類がありすぎて、何を選んでいいのかいまひとつよく分からないという先生もいらっしゃるかもしれません。本記事ではブロックに用いられる素材を整理してみたいと思います。

マテリアルの分類

CADCAMのブロックは大きく分けて、セラミック系ブロックとハイブリッドレジン系ブロックに分けられます。

セラミックについては更に、ガラスセラミック、ガラス浸透型セラミック、酸化セラミックの3つに分類されます。

ガラスセラミックは結晶化ガラスを用いたブロックです。内部にリューサイト・アルミナ・二ケイ酸リチウムといった高硬度の結晶粒子を配合し、強度を上げた製品もあります。ガラス浸透型セラミックは多孔質の結晶体にガラスを浸透させて作られ、主にコーピングとして使用されます。酸化セラミックは高密度に配列された結晶構造体で、代表格がジルコニアです。

ハイブリッドレジン系ブロックは、レジンにフィラーを配合して強化したものとなります。2014年4月から「CADCAM冠」として保険収載されたのは、このハイブリッドレジンブロックになります。

ガラスセラミックの特徴

ガラスセラミックはガラス含有量に応じて、含有量の多い「長石系セラミック」や「リューサイト強化型セラミック」と、含有量の少ない「リチウム二ケイ酸系ガラスセラミック」や「ジルコニア強化型リチウム一ケイ酸」に分かれます。

1)長石系セラミック・リューサイト強化型セラミック

ガラスセラミックはガラス含有率が多い、もしくは入射光の屈折や反射を発生させるセラミック結晶成分が少ないほど、透光性が高くなります。長石系セラミックやリューサイト強化型セラミックは、ガラス含有量が多く(50%~60%程度)審美性に優れているのが特徴です。一方で、強度は120MPa程度となっています。

例)長石系セラミック

  • CEREC Blocs セレックブロック(Dentsply Sirona デンツプライシロナ)
  • VITA Blocs MarkⅡ ビタブロック マークⅡ(VITA ビタ)

例)リューサイト強化型セラミック

  • IPS Empress CAD アイピーエス エンプレス キャド(ivoclar vivadent イボクラール・ビバデント)
2)リチウム二ケイ酸・ジルコニア強化型リチウム一ケイ酸

ガラス含有量の少ないタイプのガラスセラミックとして、「リチウムニケイ酸ガラスセラミック」と「ジルコニア強化型リチウム一ケイ酸ガラスセラミック」が挙げられます。これはガラス結晶に、リチウムニケイ酸及びリチウム一ケイ酸が含まれるもので、「強化型ガラスセラミック」「高強度ガラスセラミック」とも呼ばれます。

リチウム二ケイ酸ガラスセラミックの代表格は、ivoclar vivadent社の「IPS e.max」(いわゆるイーマックス)と言えるでしょう。ブロックは特徴的な紫色をしており、ファーネスによる加熱処理を行うことにより歯冠色へと変化します。この加熱処理により、結晶が成長し(クリスタライゼーション)強度が上がります。

ジルコニア強化型リチウム一ケイ酸ガラスセラミックは、VITA社「Suprinity」とDentsply Sirona 社「Celtra Duo」が当てはまります。約10%ジルコニアを含有して強度を上げているほか、リチウム一ケイ酸は、リチウムニケイ酸結晶と比較してかなり小さい結晶であるため、良好な透光性が得られます。

VITA社「Suprinity」はべっ甲色のブロックが特徴で、リチウムニケイ酸のe.maxと同様にクリスタライゼーション(結晶化)が必要です。Dentsply Sirona 社「Celtra Duo」はクリスタライゼーション無しでも使用することが出来、グレーズ焼成を行うと更に強度が上がります。

例)リチウムニケイ酸ガラスセラミック

  • IPS e.max CAD アイピーエスイーマックスキャド(ivoclar vivadent イボクラール・ビバデント)

例)ジルコニア強化型リチウム一ケイ酸ガラスセラミック

  • Suprinity スープリニティ (VITA ビタ)
  • Celtra Duo セルトラ デュオ(Dentsply Sirona デンツプライシロナ)

ガラス浸透型セラミックの特徴

ガラス浸透型セラミックは、コアとなる多孔質セラミックの結晶に、ケイ酸ランタンガラスという特殊なガラスを浸透させ、強度を上げたものです。コアの材質はアルミナをベースに、ジルコニアを添加し強度を上げたもの、スピネルを添加し透明度を向上したものなどが使用されています。

後述する「高密度焼結セラミック」の登場により、「ガラス浸透型セラミック」が使用されるケースは少なくなってきている傾向があります。

例)ガラス浸透型セラミック

  • インセラム・アルミナ(VITA ビタ)
  • インセラム・ジルコニア(VITA ビタ)
  • インセラム・スピネル(VITA ビタ)

酸化セラミック(ジルコニア)の特徴

歯科で使用する酸化セラミックの代表格はジルコニアです。ジルコニアブロックは、半焼結状態(グリーンステージ)でブロック化されており、ミリング後に、最終焼成(シンタリング)することで修復物として完成します。従来、歯科材料としてのジルコニアは透光性が充分ではなく、コアとしての利用に限られていました。しかし、近年高透光性のジルコニアが次々と開発され、オールジルコニアでの修復も可能になっています。

例)高透光性ジルコニア

  • VITA YZ HT(Vita ビタ)
  • inCoris TZY(Dentsply Sirona デンツプライシロナ)
  • Lava Plus(3M スリーエム)

ハイブリッドレジンブロックの特徴

ハイブリッドレジンブロックは、レジンにフィラーを配合したブロックです。2014年4月に、小臼歯の単冠を間接法で製作する場合に限り、保険適応がされるようになりました。レジンにセラミックを分散させているため、レジン単体よりも強度が上がっています。ブロックにより、配合されているセラミックの配合料や粒度が異なっています。

例)ハイブリッドレジン

  • VITA ENAMIC ビタ エナミック(Vita ビタ)
  • CERASMART セラスマート(GC ジーシー)

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