名著から学ぶ全部床義歯臨床〜全部床義歯臨床のビブリオグラフィ2〜

全部床義歯臨床においては、最新の教科書だけを学べば、それだけで十分な義歯臨床への知識が全て理解できるかというと、残念ながら難しいと言わざるを得ません。
近年のEBMに基づいた考え方により、研究論文が不足している記載については教科書からどんどんと割愛していくという姿勢は、科学に基づいた治療を行うという意味では、評価するべきなのかもしれません。
しかしながら、先人たちの豊富な臨床経験から得られた言葉に耳を傾けないのは、とても勿体無いことではないでしょうか。

そこで、私は北米と我が国における全部床義歯の教科書の内容の変遷を調べ、2019年に「全部床義歯臨床のビブリオグラフィー(医歯薬出版)」を上梓し、Doctorbookにおいて１年間、同書の内容についてコースを行いました。
その後2021年に、その続編として全部床義歯臨床における１４の過去の名著を解説した「名著から学ぶ全部床義歯臨床（医歯薬出版）」を上梓しました。
今回は同著の内容に基づいて、明日からの臨床に役立つ、義歯臨床に対する基礎知識やテクニックを解説したいと思います。