本講義でご紹介する手法は、マトリックスを使用せず、アイボリー型セパレーターで歯間を離開させ、マイクロスコープの拡大視野下に、フロアブルレジンの表面張力を応用し充塡することで、辺縁適合性を向上させ、適切なコンタクトを回復することが可能となります。症例動画を通してわかりやすく解説しますのでぜひご視聴ください。
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Repeated Restoration Cycle(歯の修復と再発のサイクル)を少しでも食い止めるため、最強の適合と適切なコンタクトを回復するコンポジットレジン修復を攻略しましょう。
本講義では下記6点について解説していきます。
【講義内容】
1.Kyu-Shu Techniqueとは
2.隣接面う蝕の診査
3.臼歯Ⅱ急窩洞への充塡
4.前歯Ⅲ級窩洞への充塡
5.正中離開への応用
6.治療後の説明
1.Kyu-Shu Techniqueとは
歯の修復と再発のサイクルを攻略するには、マイクロスコープ下でⅡ級窩洞の表面張力法によるコンポジットレジン修復、名付けて「Kyu-Shu Technique」が必要です。
2.隣接面う蝕の診査
テクニックを学ぶ前に、隣接面う蝕の診査には、デンタルX線写真、歯間離開後マイクロスコープによる視診、透照診があります。
デンタルX線写真ではう蝕が小さく見えても意外と大きい場合があり、確実に診るにはマイクロスコープ下にて透照診で見ると、う蝕だけでなくクラックまでも確認できます。
3.臼歯Ⅱ急窩洞への充塡
それでは臼歯Ⅱ級窩洞充塡からKyu-Shu Techniqueを見ていきましょう。
使用器具はセパレーター・ストリップス・フロアブルレジン・エンド用のファイル・研磨材を使用します。
さらに、根管治療用のマルチサクションを気泡除去や盛りすぎた場合に使用しています。
さて、Ⅱ級窩洞を小さい・大きい・深い症例で分けて解説します。
最初は小さいⅡ級窩洞症例です。
歯間離開後、窩底に一層ハイフローレジンを充塡、表面張力法にて充塡、ストリップスで研磨、歯間を戻してシンプルに終了です。
続いて大きいⅡ級窩洞です。
大きい窩洞では、まずハイフローレジンでアンダーカットを埋め、ミディアムフローレジンで仮想象牙質を作っていきます。
ここで重要なのは、レジンが歯髄側に引かれがちなので、外側に広げるように仮想象牙質を作り、外側のレジン充塡時に内側の仮想象牙質の形に則る様に盛ることです。
その後、最下層にハイフローレジンを、その上からフローレジンを盛り上げていくと、2つが馴染んで綺麗なマージンが出来ます。
この時、仮想象牙質の高さを超えない充塡で、内側に引かれて豊隆が潰れないようにするのがコツです。
仮想象牙質の裏打ち、外側の順に積層充塡をして、辺縁隆線をハイフローで仕上げて終わります。
詳しくは動画の模式図をご覧下さい。
そして歯頸部近くの深いⅡ級窩洞です。
マージン部は歯肉が被って凹みやすいのですが、圧排糸を入れて歯肉との隙間を作り充塡する事で解消できます。
最初はセパレーターを使わず、充塡してある程度の高さができてから使用すると良いでしょう。
セパレーターがラバーダムクランプに干渉してしまう時は、セパレーターをクランプ代わりにします。
4.前歯Ⅲ級窩洞への充塡
続いて、前歯Ⅲ級窩洞を小さい・大きい・打ち抜き症例で見ていきましょう。
前歯部は審美性の回復も必要になります。
まずは小さい症例から見ていきます。
セパレーターで離開し、う蝕を直視して取ることで削りすぎを防ぎます。
充塡は臼歯Ⅱ級窩洞小さい症例と同じ様に行います。
次に大きい症例です。
手技は臼歯Ⅱ級窩洞と変わりませんが、充塡前は窩底にオペークを使って色調をコントロールします。
続いて打ち抜き窩洞です。
打ち抜き窩洞の場合は仮想象牙質を盛ってからコンタクト部を作り、頬側と舌側を別々で充塡していきます。
5.正中離開への応用
Kyu-Shu Techniqueの最後に、正中離開への応用を見ていきましょう。
マルモを取ってワックスアップを行い、クリアシリコンの印象物を元に仮充塡を行って、バックオールを作成・使用して充塡、隅角の位置を決め、セパレーターで離開させてからハイフローを少しずつ盛り上げていきます。
歯頸部の研磨はキツツキコントラを使うと綺麗に研磨できますよ。
マトリックスを使用する方法だとマージン部が薄くなってしまうのが難点ですが、表面張力法では、マージンの自然な豊隆を再現できるのがメリットです。
6.治療後の説明
治療後の説明には、マイクロスコープの動画を撮って説明すると信ぴょう性があり患者さんの理解も得られやすいです。
アポイントツールを使用することで画像や動画を患者様と共有すると良いでしょう。
以上が「Kyu-Shu Technique」の全容です。
この動画を見れば、表面張力法の一部始終を知る事ができます。
ぜひご視聴下さい。
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