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”失敗しないために” インプラントのトラブル&リカバリー【術後対応編】 (全1回)

インプラント治療は、治療後のメインテナンスが長期にわたるため、その過程でのトラブル対策が重要です。「トラブルを起こさないための戦略」と「トラブルが起こった後の戦略」の両方を習得しておく必要があります。トラブルが起こった後の戦略として、インプラントでのリカバリーや、天然歯との共存を考慮した様々な対応が挙げられます。本講義では、相宮先生より、インプラント治療後にトラブルシューティングを行った6症例をご解説いただきます。

  • ライフステージを考慮したインプラントのトラブルシューティングを考える 36:46

    本講義では、ライフステージを考慮したインプラントのトラブルシューティングについて、相宮秀俊先生よりご解説いただきました。
    インプラント治療は、治療後のメンテナンスが長期にわたるため、その過程でのトラブル対策が重要です。特に、インプラント治療は高額であり、患者の期待が高いため、問題を抱えた患者さんへのトラブルシューティングが今後の治療の信頼性を左右します。

    まず、インプラントのトラブルシューティングとして、「トラブルを起こさないための戦略」と「トラブルが起こった後の戦略」の両方を習得しておく必要があります。起こさない戦略として、慎重にインプラント埋入位置を検討することや、適切な補綴設計を行うことが挙げられます。また、トラブルが発生した場合の対策として、インプラントでのリカバリーや天然歯との共存を考慮した対応が求められます。これは、インプラント治療を行う前から考えておくべき要因です。

    インプラント治療には光と影が存在し、良好な治療結果を得るためには、影の部分にも目を向ける必要があります。患者はインプラント治療に対して治療後のトラブルや長期的なメンテナンスに対する不安を抱えているため、これらの不安を解消するための対応が求められます。国民生活センターのデータ[あなたの歯科インプラントは大丈夫ですか -なくならない歯科インプラントにかかわる相談-(2019) ]によれば、インプラント治療に関する相談件数は増加しており、主なトラブルとして、痛みや腫れ、インプラントの脱落、などが主な問題として挙げられております。

    インプラント治療において、各ライフステージにおけるインプラントの役割も考慮すべきです。中年期や更年期には特に、機能的な側面に重きを置いた治療が求められます。患者の生活背景や全身的な健康状態を考慮し、個別の問題に対処することが重要です。

    それでは、相宮先生より、実際にインプラント治療後にトラブルシューティングを行った症例をご解説いただきます。

    ・症例1:42歳女性、インプラント埋入5年後、破折した症例
    2009年に初診来院後、インプラントを埋入したが、破折してしまった症例です。
    この患者さんについては、インプラントを撤去し、再度埋入を行うことでカバーされました。

    ・症例2:63歳男性、インプラント埋入によって咬合力が強まり隣在歯が破折した症例
    失活歯の多い患者さんへのインプラント治療では、破折による欠損のリスクをあらかじめ説明しておき、追加埋入やIOD、ボーンアンカードブリッジの想定を立てておくことが大切です。こちらの患者さんについては、歯科技工士との相談の上で、補綴物を再製していくことになり、欠損部位をカンチレバーブリッジ(延長ポンティック)にて再補綴されました。

    ・症例3:70歳男性、IODが外せなくなった症例
    ある日、IODにて治療した患者さんから「デンチャーが外せなくなった」という電話がありました。
    高齢で維持力の強いロケーターアタッチメントが外せなくなった事がわかり、マグネットアタッチメントに置換を行われました。

    ・症例4:インプラントが脱落した症例
    「インプラントが腫れた」を主訴に来院され、埋入部から排膿が認められました。その後、自宅にてインプラントが脱落した患者さんです。
    脱落したインプラントに対してリムーバーにて撤去した後、付着歯肉が喪失していたため、上顎は天然歯を活かしたオーバーデンチャー、下顎は粘膜支持型のデンチャーにて対処されました。

    以上のように、固定性補綴だけが唯一の解決策ではなく、オーバーデンチャーのような柔軟な対応も考慮すべきです。
    デンチャーについては認知症のリスクや、年齢と相関した義歯の使用率等を考慮すると、特に歯科衛生士の役割が非常に大きく、DHさんによる日頃のメンテナンスや患者対応、フォローアップが求められます。

    ・症例5:インプラント周囲炎が起きた症例
    過去に他院で埋入されたブレードインプラントから排膿があり、レントゲンを確認したところ骨欠損が見られました。そのため、上部構造とブレードインプラントを撤去し、天然歯とインプラントを併用したオーバーデンチャー(IARPD)にて対応されました。

    ・相宮先生の御祖父様へお口の終活を行った症例
    超高齢社会においては、フレイルを見据えた対応が重要です。そのうえで「お口の終活」を行う選択肢もあります。
    肺炎を起こされた相宮先生の御祖父様へ介護施設と連携の上で義歯を外す判断を行われました。

    ・症例6:91歳男性、担当内科医と対診の上でインプラントを撤去した症例
    上記を踏まえて、高齢の患者さんに重大なトラブルが起こる前に、時にはインプラントの終活を行っていくことも大切です。
    歩行スピードが急激に落ち、口腔内が崩壊してしまった患者さんに対して担当内科医と対診の上でインプラントを撤去されました。


    インプラント治療においてトラブルを起こさないために、または、もしもトラブルが起こった際に柔軟に対処するためには、ライフステージを考慮し患者個別の診査・診断を行うことや、慎重にインプラント埋入位置を検討すること、将来を見据えた補綴設計を行うことが求められます。
    本講義を御覧いただき、明日からのご診療にお役立てください。

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