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2024年9月12日(木) 公開

実践!Vital Pulp Therapy 〜深在性う蝕歯への部分断髄〜

  • ▼Study Group "EL会"について
    EL会はEnjoy Learningをコンセプトとした新しいスタディーグループです。卒業したての若手歯科医師・歯科衛生士からベテランまで『歯科治療を学ぶのが楽しい』という感覚を1人でも多くの方に持ってもらいたい!この思いから立ち上げました。
    人と人とが出会い・新しいつながりをつくり・共に楽しく学んでいく、そんな空間を創っています。2024年からはさらに深い学びを共有するために、オンライン主体のEL PLUSを立ち上げました。世代も分野も流派も越えて、楽しく学んでいきましょう!
    代表 川名部 大

    EL会に関する詳細はこちら


    神奈川県横浜市で勤務医を務める田中達啓先生は、日本大学松戸歯学部を2020年に卒業し、現在アイル歯科クリニックで勤務しています。
    田中先生は日々、マイクロスコープを活用した歯科治療に従事しており、日本顕微鏡歯科学会の認定を取得するなど、顕微鏡を使った治療の分野で積極的に学び続けています。

    今回は、「実践!Vital Pulp Therapy(VPT)」というテーマでご発表をいただきました。
    VPTとは、歯髄の保存を目指した治療法で、特に露髄や断髄処置を含むケースが対象となります。この治療法を選択することで、歯の保存に大きな影響を与えるため、術前の診査と術中の判断が極めて重要です。

    VPTは、歯髄炎の進行状態に応じて適用される治療法で、主に「可逆性歯髄炎」と「不可逆性歯髄炎」に分類されます。可逆性歯髄炎は、歯髄がまだ回復可能な状態であり、適切な処置を施すことで歯髄の保存が可能です。
    一方、不可逆性歯髄炎は、歯髄が不可逆的に損傷しており、通常は抜髄が必要です。
    しかし、実際の臨床現場では、これらの分類が明確に区別されることは少なく、歯髄の炎症がどこまで進行しているかを判断するのは困難です。
    田中先生は、アメリカ歯内療法学会の診断基準に基づき、正常歯髄から可逆性歯髄炎、不可逆性歯髄炎、そして歯髄壊死の段階的な診断を紹介しながら、実際の診断と治療方針の選択について解説しました。

    それでは、実際の症例を通じて、VPTの治療プロセスを見ていきましょう。
    32歳の女性患者の右下の歯において、半年前に歯が欠け、応急処置を受けた後に痛みが続いている症例です。
    このケースでは、コールドテストや電気診などを行い、可逆性歯髄炎と診断されました。 治療計画を立てる際には、患者に対してリスクを十分に説明し、治療後も長期的な経過観察が必要であることを強調することが重要です。
    治療の実際では、麻酔やラバーダムの装着、う蝕の除去など、各ステップが詳細に説明されています。特に重要なのは、露髄した歯髄の止血が確実に行えるかどうかの判断であり、これにより断髄処置が成功するかどうかが決まります。また、無菌環境下での処置が成功の鍵です。 実際に使用したMTAセメントを用いた充填手法についても触れられています。
    術後の経過として、半年後および1年後の経過観察が行われ、良好な結果が得られています。 歯の長期保存において歯髄の保護が極めて重要であり、また術前に患者に対して十分な説明を行い、術後も責任を持って経過観察を続けることが大切です。


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