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2026年7月7日(火) 公開

第4回|インハウス3Dプリント臨床症例集

  • ― 全顎的治療・デンチャー・プロビジョナルへの適用

    最終回では、吉田茂治先生の日常臨床から、3Dプリントを治療工程に組み込んだ複数の症例を紹介します。

    最初に取り上げるのは、上顎の多くの歯が保存困難でありながら、可撤性義歯を希望しない患者に対する全顎的治療症例です。初期治療や矯正治療、段階的なインプラント治療を進めるなかで、3Dプリントによるプロビジョナルレストレーション、サージカルガイド、インプラント支持プロビジョナルを活用します。

    矯正治療中には、咬合条件によってプロビジョナルが破損しやすくなる場面もあります。そこで、保存したデータから同じ形態を繰り返し造形し、予備をストックしておくことで、破損や脱離が起きた際にも速やかに対応できる体制は患者満足度の向上や他院との差別化に寄与し、デジタルデータを再利用できる3Dプリントならではの運用方法となります。

    その後、抜歯とインプラント埋入を段階的に進めるためのサージカルガイドを製作し、インプラントの治癒後には、既存のプロビジョナル形態を踏襲したインプラント支持のプロビジョナルレストレーションへ移行します。チタンベースとの適合やアクセスホールを含めた設計、口腔内への装着、表面のキャラクタライズ、適度なX線造影性を利用した治療経過の評価まで、一連の流れを紹介します。

    続いて、コンプリートデンチャーのデジタルワークフローを取り上げます。既存義歯を参考に、ゴシックアーチトレーサーを組み込めるシーネを設計し、3Dプリントで製作。採得した印象体をスキャンし、フェイススキャンとの位置合わせを行うことで、石膏模型を介さずにデジタル上で粘膜面や咬合関係を再現します。

    デンチャーの設計では、既製人工歯の排列と義歯床のデザインを行い、試適用義歯を製作します。ワックスデンチャーと異なり、試適用義歯を患者に一定期間使用してもらうことで、診療室内だけでは確認しにくい装着感や食事時の使用感も評価できます。

    さらに、試適後の評価をもとに、デジタル上で義歯床内面の形態を調整し、粘膜への適度な圧を与えることで吸着の向上を図ります。義歯床のプリント、既製人工歯の接着、模型の再設計、咬合器へのマウント、咬合調整、歯肉部のキャラクタライズまで、デジタルとアナログを組み合わせた実践的な製作工程を解説します。

    前歯部の審美改善症例では、治療前にモックアップを製作し、患者が希望する歯の形態や長さを確認します。治療を進めることが決まった後は、連結したプロビジョナルレストレーションを製作し、さらに機能面を評価するため、単冠に分けた中期プロビジョナルへ移行します。

    この中期プロビジョナルの製作には、カプセル式の3DプリンターであるSprintRay MIDASを使用します。高粘度のマテリアルを圧力下で造形するデジタル・プレス・ステレオリソグラフィー(DPS)により、複数のクラウンを短時間で製作。数カ月間の経過観察を行い、形態や機能、材料の状態を確認したうえで、最終補綴へ移行します。

    最後に、設計作業を支援するSprintRay Cloud Designも紹介します。口腔内スキャンデータをアップロードし、必要な装置や設計条件を指定することで、ナイトガードやリテーナーなどのデザインデータを簡易に作成できます。

    ブラケットを装着した状態の口腔内スキャンデータから、デジタル上でブラケットを除去し、矯正治療終了後に使用するリテーナーを事前に準備する活用例にも触れます。これにより、ブラケットを撤去した当日にリテーナーを装着でき、後戻りへの速やかな対応が可能になります。

    全顎的治療、インプラント、プロビジョナルレストレーション、サージカルガイド、コンプリートデンチャー、モックアップ、ナイトガード、リテーナーまで。3Dプリンターを単独の製作機器としてではなく、診断から治療、経過観察に至る一連の臨床ワークフローへどのように組み込むのかを、豊富な症例を通して具体的に解説します。

    本動画で紹介されるSprintRay社の3Dプリンター「Pro2」「MIDAS」および関連器材、消耗材料のレジンはノーベル・バイオケア・ジャパン株式会社で販売しております。

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