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2026年7月24日(金) 公開

患者さんをメンテナンスへ導く 歯周治療と歯科衛生士の実践的アプローチ


  • 患者さんの希望を尊重することと、患者さんにとって必要な治療を提案すること。その両方をどのように両立すればよいのでしょうか。

    本講演では、歯科衛生士歴12年目の演者が、重度歯周炎患者の歯周基本治療に携わった経験を振り返り、良好な結果を得られなかった要因と、今後の臨床に生かしたい実践的なアプローチについて解説します。

    症例は、「歯がぐらつく」ことを主訴に来院した初診時54歳の男性です。口腔内には歯肉の腫脹や歯石、プラークが認められ、口臭も強く、X線画像では広範囲な骨吸収が確認されました。全身的既往歴として2型糖尿病と高血圧があり、患者さんは「できればすべての歯を残したい」「外科処置や痛いことは避けたい」と希望していました。

    演者は患者さんの希望を優先しながら歯周基本治療を進めましたが、SRP後も出血率や歯周ポケットに大きな改善が見られず、治療計画を改めて考え直す必要が生じます。本講演では、その経過をもとに、設定したゴールが患者さんの真の利益につながっていたのかを振り返ります。

    特に焦点となるのが、全身疾患と歯周病の関係を把握するための問診です。高血圧治療薬であるアムロジピンの服薬状況や増量に至った背景、薬物性歯肉増殖の可能性、糖尿病の罹患期間や血糖値のコントロール状態などを確認し、薬剤名や検査数値を知るだけでは十分ではなかったと語ります。病歴や生活背景、食事、運動、BMIなどをより深く聞き取り、歯周病を進行させたリスク因子を整理する必要性を示します。

    また、重度歯周炎に必要な治療と、処置を望まない患者さんの希望との間で、歯科衛生士がどのような役割を果たすべきだったのかについても考察します。患者さんの希望をそのまま受け入れ、最初から妥協的メンテナンスを選択するのではなく、現在の状態や将来的な歯の喪失リスクを伝え、治療の必要性を理解してもらう働きかけが重要です。

    さらに、X線画像だけでは確認できない歯石への探触、SRPの振り返り、検査値の継続的な記録、リスクに応じたメンテナンス間隔など、日々の診療で見直したいポイントも紹介します。

    良好な結果が得られなかった症例と向き合うことで、自身の問診、処置、説明、目標設定を見直す本講演。患者さんをメンテナンスへ導き、より良い歯周治療につなげるために、歯科医師と歯科衛生士の双方に臨床を振り返る視点を届けます。

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