筋・筋膜アプローチ 実践プログラム|シカキンセラピー マネジメントドクター認定講座 (全8回)
非歯原性歯痛や顎関節症、ブラキシズムに対応できる診断力と説明力を育成する実践型プログラム。
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「虫歯ではないのに顔が痛い」原因を解明し、脳の錯覚が引き起こす痛みの誤認を紹介。
臼田先生が、歯科臨床における筋筋膜痛と脳の「能動的制御(お節介機能)」を解説。
◾️症例紹介
・スケーリング後に「歯が痛い」と訴える患者を紹介。
・歯・神経には異常がなく、原因は咬筋や顔面筋の過緊張による筋筋膜痛。
・筋触診で痛みを再現でき、筋由来の疼痛であることを確認。
◾️脳のお節介機能(能動的制御)
・脳は欠けた感覚情報を自動で補完する性質を持つ。
・「治療後に痛い=治療が原因」と誤って関連づけてしまう。
・視覚錯覚・匂いの順応・恋は盲目などの例を通して、脳の補完機能を解説。
◾️臨床的示唆
・患者は「嘘をついている」のではなく、脳が事実を誤って再構成している。
・医療従事者がこの仕組みを理解し、冷静に説明・対応することが重要。
・衛生士やスタッフが患者教育の伝道者となることを推奨。 -
「筋筋膜痛」とは何かを解説。
誰でも起こりうる筋肉のトラブルとして、歯科臨床での重要性を説明。
◾️筋筋膜痛とは
・筋肉の使いすぎや姿勢不良によって起こる筋肉由来の痛み。
・レントゲンや血液検査では診断できず、筋触診が唯一の診断法。
・長時間の噛みしめや歯ぎしり、同姿勢作業が主な原因。
◾️発症の仕組み
・筋肉の持続的収縮で血流が悪化し、酸素と栄養が不足。
・「痛み物質(ヒスタミンなど)」が放出され、押すと痛い状態に。
・炎症や骨の痛みと似た鈍痛を生じ、誤診されやすい。
◾️関連痛(痛みの錯覚)
・実際は筋肉が原因なのに、歯や顎が痛いと脳が勘違いすることがある。
・脳内で神経経路が収束し、痛み信号の発信源を誤認する現象。
例として、「後期筋の痛みを歯の痛みと誤認」などを紹介。
◾️臨床的ポイント
・顎や顔面の筋肉(咬筋・側頭筋など)も肩こりと同様のメカニズム。
・歯科医・衛生士が筋肉の触診を学び、原因を見極めることが重要。
・2014年以降、国家試験にも登場した新しい知識である。 -
筋筋膜痛の触診と診断法の基本を解説。
関連痛の確認と、患者の“いつもの痛み”を再現する重要性を強調。
◾️関連痛の確認
・筋肉を押すと、歯や顎にじわじわと痛みが響くことがある。
それが「いつもの痛み(Familiar Pain)」であると患者が気づくと、理解と信頼が深まる。
・初診時に関連痛を見つけることで、治療効果とモチベーションが高まる。
◾️触診の基本
・力加減は約2kg(指3本でしっかり押す程度)。
・丁寧でゆっくりと触れることが重要。
わずかに位置がずれるだけで関連痛が出ないこともある。
・DCT/TMD(世界基準の診断法)はスクリーニング目的。精密検査としての触診が不可欠。
◾️臨床応用
・痛みの部位から原因筋を逆算して触診。
・顎・首・肩など、痛みの訴えから筋肉を推測する。
・ベロや前歯の痛み → 顎舌骨筋や顎二腹筋が関与することも。
・料理やパソコン作業など日常姿勢による筋緊張も要因。
◾️主要8筋の重要性
・咬筋・側頭筋・胸鎖乳突筋・僧帽筋・頭板上筋・後頭下筋群などが中心。
まずはこの8つの筋を押さえることで臨床応用が可能。 -
筋筋膜痛の治療の基本を解説。
薬ではなく、患者教育と理学療法による改善を重視。
◾️治療の基本方針
・疾患教育:痛みの原因が「筋肉のこり」であると理解させる。
・理学療法:マッサージ・ストレッチなどで血流を促し、痛み物質を洗い流す。
◾️薬物療法の位置づけ
・ロキソニン・ボルタレンなどは“痛み物質を作らせない”薬。
・すでに痛み物質が溜まっている場合は効果が薄い。
・湿布は血流促進型(サロンパス系)と鎮痛型(ボルタレン系)を使い分ける。
・「揉み返しの痛み」には鎮痛薬を補助的に活用。
◾️セルフケアの重要性
・マッサージ・ストレッチを毎日継続し、痛み物質を排出。
・“借金返済”に例え、毎日のケアが回復の近道。
・自分で痛みをコントロールする感覚が、脳の痛み信号を弱める。
・患者が主体的に取り組むことが再発予防につながる。
◾️サポートと実践
・アプリや動画を活用してセルフケアを継続できる環境を作る。
・歯ブラシ指導のように、評価とアドバイスを繰り返すプロセスが重要。
・医療従事者は“痛みを教育し支援する立場”として関わる。 -
「ボツリヌス療法(ボトックス治療)」を中心に、セルフケア以外の筋筋膜痛対策を紹介。
◾️運動・温熱療法
・運動や体を温めることで血流が改善し、筋緊張が緩和。
・特に「ラジオ体操」は誰でも続けやすく効果的。
・ウォーキングやテニスなど、楽しく続けられる運動を推奨。
◾️マッサージ・セルフケア
・マッサージ店に頼るのではなく、「ご褒美」として活用。
・宿題として自宅ケアを行い、継続的なセルフケアが基本。
◾️睡眠とブラキシズム(歯ぎしり・噛みしめ)
・朝日を浴びることで睡眠リズムを整え、質の良い睡眠を確保。
・夜のスマホ使用は避ける。
・浅い睡眠時に歯ぎしりが起こりやすいため、深い睡眠(ノンレム)を目指す。
・噛み合わせよりも筋緊張や生活リズムの影響が大きい。
◾️ボツリヌス療法(ボトックス注射)
・神経伝達物質アセチルコリンをブロックし、筋肉の過収縮を防ぐ。
・効果は3〜6か月間で一時的。
・法的には美容・神経疾患が保険適用、筋肉痛緩和は適応外(自費・グレーゾーン)。
・セルフケアが困難な重症例にのみ推奨。
・「借金の利息緩和キャンペーン」と例え、痛みの根本解決ではないことを強調。 -
「筋筋膜痛」がどんな症状や臨床場面で役立つのかを解説。
歯や舌に異常がない“原因不明の痛み”を、筋肉の視点から見直す。
◾️舌の痛み(舌痛症)の診断ポイント
・舌が痛い患者には「食事中に痛みがあるか」を確認する。
・食事中に痛みがあれば潰瘍や炎症などの器質的原因。
・食事中に痛みがなければ筋肉(顎下筋・顎舌骨筋)由来の可能性が高い。
・顎下を触診して痛みがあれば、筋緊張が原因。ほぐすと改善する。
◾️知覚過敏・咬合違和感の原因
・長期間治らない知覚過敏は、歯ではなく脳の過敏化や筋緊張が関与。
・咬筋・側頭筋の筋膜痛が関連痛として歯の痛みを錯覚させる。
・知覚過敏処置と同時に筋触診を行い、筋肉をケアすることが有効。
◾️開口障害・開咬の改善
・顎を後方に引っ張る筋肉(咬筋・側頭筋など)が短縮すると、開咬や違和感が出る。
・ストレッチやマッサージで筋肉の長さを戻すと、症状が改善。
・長時間開口する治療後も、筋疲労から痛みを訴えることがある。
・治療前に「筋肉由来の痛みが出る可能性」を説明しておくことが重要。
◾️痛みと脳の関係
・痛みは「感覚+感情」の体験であり、心理的要素が痛みの強さを変える。
・患者への声かけや安心感の提供が、痛みの知覚を軽減させる。
・不安が強いと睡眠の質が悪化し、歯ぎしりや噛みしめを誘発して悪循環に陥る。 -
顎が痛い・口が開かない患者に対する対応と、顎関節症の正しい見極め方を解説。
◾️顎関節症の主な分類
・咀嚼筋痛障害(筋肉性)
・関節痛(関節炎)
→ この2つの見極めが最重要。
◾️見極め方
・関節性:消炎鎮痛剤+安静で改善。
・筋肉性:ストレッチ・マッサージで改善。
・患者に痛む場所を指で示してもらい、部位で判断。
◾️マウスピース療法
・一時的な噛みしめ緩和には効果あり。
・使い続けると脳が慣れて効果が減少。
・1週間使用+1週間休止の繰り返しが最も効果的。
・長期使用や特殊形状のスプリントは顎位変化リスクあり。
・セラミック歯やジルコニア補綴の保護目的で使用は有効。
◾️開口障害の診断ポイント
・「痛くて開かない」→筋肉・関節いずれかを触診して判定。
・「引っかかって開かない」→筋の短縮や緊張によるケースが多い。
・横方向に動かせれば関節は正常、筋肉性の問題。
・指3本=約40mm開口を目安にストレッチ指導。
◾️関節雑音(クリック)
・完治は難しいが、筋緊張緩和で軽減可能。
・マッサージ・セルフケアの指導が有効。 -
咀嚼筋マッサージが頭痛改善に有効である理由と、筋筋膜ケアの社会的普及について解説。
◾️頭痛と咀嚼筋の関係
・頭痛の多くは緊張型頭痛で、筋肉のこりが原因。
・咀嚼筋(咬筋・側頭筋など)の緊張が頭痛を引き起こす。
・筋触診で痛みを確認すれば「筋肉由来の頭痛」と判断できる。
・咀嚼筋マッサージにより血流改善→痛み軽減。
◾️臨床データ
・難治性頭痛患者18名を検証。
・77%が顎関節・咀嚼筋由来、約8割が1年以内に改善。
・偏頭痛にも有効で、三叉神経刺激の抑制が関与。
◾️社会実装の取り組み
・筋筋膜ケアを普及させるため、衛生士向け資格制度や教育プログラムを整備。
・企業と連携し、セルフケア器具(剣山モデル)を開発・販売。
・誰もが自宅で痛みをケアできる環境づくりを推進。
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