多数歯の感染根管治療が必要であった全顎治療症例|「ブロック治療」による効率的な全顎治療の進め方
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多くの場合、患者様は1歯のみを主訴に来院されます。
しかし、実際は、多数の歯の問題を抱えている場合も少なくありません。
そんな場合に何を基準に全顎的な治療計画を立案しているでしょうか?
今回は、症例を通して、多数歯の根管治療が必要な症例を通して、治療計画立案の指針を考えていきましょう。
57歳女性で左上4番の疼痛を主訴に来院されました。
デンタル14枚法で確認したところ、多数歯に及ぶ根尖病変を認め、全顎的な治療が必要でした。
その中でも、根管治療を中心に治療計画の方向性について考えていきましょう。
根管治療の順序を考える時の基準は、①主訴の歯、②症状の有無、③根尖病変の大きさ、④エンドペリオ病変です。
今回は、主訴である左上を最初に行いました。
次に、根尖の吸収具合、サイナストラクトやパーフォレーションの有無、病変の大きさから順序を決定します。
そうすると、左上→右上→右下→左下→上顎前歯部の順に治療を行いました。
感染根管治療で重要なことは、感染根管は歯根吸収が生じ、生理学的根尖孔が破壊されている可能性があることです。
これによって、起炎因子が根尖に残存していると考えられます。
このため、垂直的な拡大は根尖まで十分な拡大が必要です。
また、水平的には、イスムスやフィンの存在に注意する必要があります。
今回、松木先生は、根尖への到達性の高い、YAGレーザーで根管内の無菌化を行いました。
YAGレーザーを使用する際は、根尖周囲組織に下歯槽神経などの重要な解剖学的構造がないことを必ず確認するようにしましょう。
それに加え、根尖病変の大きい場合や、根尖が破壊されている場合はビタペックスによる仮根管充填で経過を追うことも重要です。
治療計画を考えるうえで、「ブロック治療」を意識することが重要です。
また、治療期間は、治療が後になるブロックほど短くなるように計画するように心がけましょう。
全顎的な根管治療を行った場合、どのタイミングで補綴治療に移行すればいいのでしょか?
それらの基準として、症状の有無、腫脹や瘻孔の消失、X線所見が重要になります。
これに加え、CTが役に立つ場合もあります。
これまでの方向では、歯内療法の成功にも「力のコントロール」も欠かせません。
このため、最終補綴物の咬合接触についても深い理解が必要になります。
全顎的な治療を成功させるには治療順序や優先順位など様々な知識や根拠が必要です。
この動画を、全顎的な治療を計画する参考にしてみてください。
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