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2024年8月7日(水) 公開

効率と精度を両立する新しいインプラント上部構造制作法:Extraoral-Dynamic Superimpose Scanning technique(EDSS)

    • 00:00 ~ 講師・内容紹介
    • 02:50 ~ インプラントのアナログ印象方法の紹介
    • 05:20 ~ 従来の光学印象
    • 09:55 ~ 新規光学印象方法(EDSSテクニック)の紹介
    • 13:27 ~ 本療法を用いた症例の紹介
    • 17:53 ~ さいごに
  • 今回は、福岡歯科大学,口腔歯学部,助教でいらっしゃいます宮園 祥爾先生より、Extraoral-Dynamic Superimpose Scanning technique(EDSSテクニック)という、より簡便なスキャン方法による新たなインプラント上部構造の制作方法をご紹介いただきました。
    宮園先生は研修医終了後に大学院に進み、3本の論文を同時に進行し、国内外の学会に発表を行われ、その後、助教に就任された後、内山徹哉先生と出会い、他職種との連携の重要性を学んだそうです。現在は包括的な治療を中心として、臨床に専念されていらっしゃいます。

    従来のインプラント治療において、プロビジョナルから最終補綴物に移行する際、エマージェンスプロファイルの正確な反映が課題とされていました。アナログの方法では、多くのステップと高額な費用が必要となり、さらに時間もかかります。例えば、プロビジョナルのエマージェンスプロファイルを正確に再現するためには、フローシリコンで型を取り、個人トレーを用いて印象を取る必要があります。この過程で、材料代だけでも数千円かかり、時間も大幅に消費します。

    一方で、IOS-口腔内スキャナーを用いたデジタルインプラント印象は、スキャンボディを使用することで、インプラントの三次元的な位置情報を正確に伝達できます。しかし、スキャンボディの装着には問題点があります。特に、インプラント埋入位置が深い場合、歯肉が巻き込まれ、スキャンにエラーが生じることがあります。また、口腔内でスキャンボディを装着する際の手間やリスクもよく指摘されています。

    こうした課題を解決するために開発されたのが、Extraoral-Dynamic Superimpose Scanning technique(EDSSテクニック)です。
    この技術は、口腔内での作業を最小限に抑え、台座を使用してプロビジョナルを口腔外でスキャンする方法です。具体的には、プロビジョナルのSTLデータをスキャンし、そのプロビジョナルを口腔外で台座と装着して再スキャンします。次に、スキャンボディを外部で装着しスキャンすることで、4つのデータを重ね合わせます。これにより、口腔内でのスキャンボディの装着が不要となり、精度が向上し、作業時間も短縮されます。

    具体的なスキャンの流れは以下となります。
    ①プロビジョナルのスキャン:最初に、プロビジョナルが装着された状態のSTLデータを取得します。これにより、エマージェンスプロファイルの正確な形態を記録します。
    ②プロビジョナルの取り外しと台座への装着:プロビジョナルを口腔内から取り外し、台座と一体化させます。台座と一体化した状態でプロビジョナルをスキャンします。
    ③スキャンボディの外部装着とスキャン:次に、スキャンボディを口腔外で台座に装着し、その状態でスキャンを行います。このスキャンにより、スキャンボディのSTLデータを取得します。
    ④データの重ね合わせ:最後に、取得した4つのデータ(装着されたプロビジョナルのデータ、台座に装着されたプロビジョナルのデータ、口腔内スキャンデータ、スキャンボディのデータ)を重ね合わせます。

    EDSSテクニックには多くの利点があります。まず、口腔内での作業を大幅に減らすことができ、患者の負担を軽減します。従来の方法では、スキャンボディの装着や取り外しに時間がかかり、さらに干渉やエラーのリスクがありました。しかし、EDSSテクニックではこれらの問題が解消されます。また、データの重ね合わせによって、エマージェンスプロファイルの正確な再現が可能となり、最終補綴物の精度が向上します。

    それでは、実際にEDSSテクニックを使用した症例を宮園先生よりご解説いただきます。

    欠損部位唇側に陥没がある患者さんです。
    患者さんに対してインプラント治療を選択し、埋入後、暫間補綴を装着しました。インプラント周囲の歯肉の形態を統制するためにCTGを行い、プロビジョナルのエマージェンスプロファイルを最終補綴物に移行する必要がありました。EDSSテクニックを用いることで、エマージェンスプロファイルを正確に再現し、最終補綴物をスムーズに装着することができました。ここで、スキャン時のポイントを解説いただいておりますので、動画にてご覧ください。

    EDSSテクニックは、インプラント治療のプロビジョナルから最終補綴物への移行を効率化し、精度を向上させる新しい方法です。この技術を用いることで、チェアタイムが短縮され、光学印象時のエラーを回避できます。今回の発表では単独のインプラント症例に焦点を当てておりましたが、本テクニックはブリッジにも応用可能です。次回は宮園先生よりブリッジ編についてお話し頂く予定ですので、PART2をご期待くださいませ。

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