2024年8月4日に開催された、歯科医師の渡辺泰平先生と歯科衛生士の清水直美先生による、マイクロリトランション導入ハンズオンセミナーをオンデマンド動画として公開します。

千葉県木更津市で開業されている渡辺先生に、マイクロスコープを駆使した自費診療の手法について解説いただいております。
マイクロリトラクション治療の価格設定と事業戦略について、その本質と実践的なアプローチを解説していきます。

まず、マイクロリトラクション治療の基本的な考え方について理解を深める必要があります。
この治療法は、歯周初期治療における歯肉縁下の状態を評価し、経時的な変化を観察することを主な目的としています。
従来の保険診療で行われるSRPとは異なり、非外科的な組織再生療法として位置づけられています。マイクロスコープを使用することで、より精密な治療が可能となり、患者への身体的負担も軽減されます。

マイクロリトラクションは、取り組むならば自費診療として確立すべき治療です。
まず、治療に要する時間が長く、高度な技術を必要とするため、保険診療では適切な対価を得ることが困難です。また、マイクロスコープを使用した高度な治療は、明確な付加価値として認識されます。
さらに、患者に対して複数の治療選択肢を提供できること、そしてスタッフの技術向上とモチベーション維持にもつながることが挙げられます。

適切な価格設定については、人件費と材料費を基準とした算出が基本となります。
一般的な目安として、1本あたり3-4万円程度が適正価格とされていますが、本数に応じた段階的な価格設定や、患者が即決しやすい価格帯（2-3万円）の考慮も必要です。
場合によってはVIP戦略による高価格帯の設定も検討に値します。

重要なのは、この治療に対する明確なミッションの設定です。
単なる売上増加を目指すのではなく、長期的な歯の保存を目的とし、患者とクリニック双方にとってのWin-Winの関係を構築することが求められます。
具体的には、10年、20年後の口腔健康を見据えた治療計画の立案が必要です。

患者へのコンサルテーションにおいては、治療の必要性と選択肢を明確に説明し、エビデンスに基づいた治療効果を提示することが重要です。
患者の状況に応じて柔軟な提案を行い、強制的な販売は避け、患者の選択を尊重する姿勢が求められます。

クリニック内での取り組みとしては、スタッフ教育と環境整備が欠かせません。
定期的なトレーニング時間を確保し、マイクロスコープの使用環境を整備することで、スタッフの技術向上による自信の醸成が可能となります。
また、スタッフ全員が経営的視点を理解することも重要です。

成功のための重要なポイントとして、まずは保険診療での成功体験を積み重ねることが挙げられます。
その上で、明確な治療計画と価格設定、患者との信頼関係構築、スタッフ全員での治療方針の共有、そして継続的な技術向上とケースの蓄積が必要となります。

差別化戦略としては、マイクロスコープを活用したブランディング、高品質な治療の提供、患者への丁寧な説明と記録、そして長期的な口腔健康管理の視点が重要です。
これらの要素を組み合わせることで、独自の価値提供が可能となります。

最後に、マイクロリトラクション治療を成功させるためには、適切な価格設定と明確なミッションの設定が不可欠です。
患者との信頼関係構築を基本とし、スタッフの技術向上と経営的視点の理解を深めることで、持続可能な治療システムを確立することができます。
この治療法は、歯科衛生士の専門性を高め、患者の口腔健康の維持・向上に貢献する重要な選択肢となることでしょう。