2024年8月4日に開催された、歯科医師の渡辺泰平先生と歯科衛生士の清水直美先生による、マイクロリトランション導入ハンズオンセミナーをオンデマンド動画として公開します。

千葉県木更津市で開業されている渡辺先生に、マイクロスコープを駆使した自費診療の手法について解説いただいております。
歯科医療の現場では、近年、マイクロスコープの活用が広がりつつあります。
良好な視野と高い倍率を活かし、精緻な治療を行うことができるため、患者様のQOL向上に貢献しています。

渡辺先生は、タカラベルモント、ペントロン、Ciなど、合わせて7台のマイクロスコープを所有し、各治療室に1台ずつ設置しています。
さらに、歯科衛生士用のトレーニング用マイクロまで用意するなど、マイクロスコープを積極的に治療に取り入れています。

特に注目されるのが、歯周治療への活用です。
例えば、4mm以上の垂直性骨欠損に対する治療では、従来の切除療法ではなくエムドゲイン等を使った再生療法が有効ですが、SRPによって外科治療の適用部位を減らすことができれば、さらなる低侵襲な治療が望めます。

さらに、マイクロスコープを活用することで、外科治療の適応基準が緩和されるというのも大きなメリットです。
従来は 5.4mm程度が外科治療の境界線とされていましたが、渡辺先生の症例では 6mm、7mm の症例でも非外科的治療で改善が認められたそうです。
渡辺先生は、歯科衛生士がこういった治療に成功することで、自信につながっていくと仰っています。

渡辺先生が実践するマイクロスコープ活用の一端を、具体的な症例からご紹介しましょう。

まず1例目は、55歳女性の症例です。
右下6番の遠心部に垂直性骨欠損が見られ、歯肉の腫れなども生じていたケースでした。
この患者様に対し、渡辺先生は非外科的治療を行ったそうです。
その結果、治療開始から1年経過、そして1.5年経過時のレントゲン写真で、徐々に骨の回復が確認できました。
マイクロによる低侵襲な治療が功を奏した症例です。

2例目は、42歳女性の症例です。右上の奥歯に噛んだ際の疼痛があり、咬めない状態でした。
診察の結果、右上5番遠心部に垂直性骨欠損が認められ、ポケットの深さも9mmありました。
こちらも渡辺先生は非外科的治療を行い、術後3ヶ月から1年経過時のレントゲンで、確実な骨の再生が確認できたそうです。

このように「治せる」という成功体験を積むことで、患者様への自費診療の提案力や信頼を得られると渡辺先生は仰っています。
実際、リトラクション治療は身体的・精神的負担が少なく、患者さまにとっても魅力的な選択肢になり得ます。
一方で、適応症例や治療回数など課題もあります。
患者様に保険診療と自費診療の両方の選択肢を丁寧に説明し、理解と納得を得ることが重要と言えるでしょう。

また、動画の後半ではマイクロリトラクションによる自費診療を進めるための、お金の話をたっぷりしていただいています。
自費診療を勧める際は、伝え方次第で患者から嫌われてしまうこともありますが、交渉の基本やお互いのためになる治療をするための考え方をご紹介いただいています。