本動画は、基本的な歯科麻酔の知識に加え、保管方法や、全身管理を踏まえた臨床現場での対応方法に至るまで、皆様の臨床に役立てていただける内容となっています。特に歯科衛生士の方にご視聴いただきたい内容です。
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歯科臨床における麻酔についての知識は、患者さんの安全を確保するため、術者のみならず歯科衛生士や歯科助手といったチームメンバーにとっても、ますます重要となっています。今回は日本歯科麻酔学会の認定歯科衛生士、及び日本口腔インプラント学会 専門歯科衛生士である阿部田 暁子先生より、歯科医療における局所麻酔と患者管理の基礎知識についてご解説いただきました。
まずは、講師の自己紹介と、DHが行う歯科麻酔行為の法的な制限や責任範囲について厚生労働省、並びに日本歯科医師会の見解を元に解説いただきます。
2024年7月に日本歯科医師会が会員へ通達した内容によると、現状の卒前・卒後教育の実態や社会的認知度を考慮すると、現時点での実施は必ずしも適切ではない、との見解を示しています。
歯科衛生士による麻酔行為により不測の事態が生じた際の責任は指示を出した歯科医師に帰属することを強調し、慎重な判断を求めています。
そのうえで同会としては、医療安全の観点から、厚生労働省や関連学会、団体と協力し、歯科医師や歯科衛生士など歯科医療従事者を対象とした安全性確保のための研修体制の充実を進めていく方針です。
こうした流れを受け、今後の歯科衛生士教育にも歯科麻酔分野が重要な要素として組み込まれていくことが予想されます。
これからの歯科衛生士には、歯科麻酔に関する基礎知識が不可欠となり、現職の歯科衛生士の方々も、この分野の知識を積極的に習得・維持していく必要性が高まってきています。
本講演を通しでご覧いただき、歯科麻酔と患者管理に対する知識習得にお役立ていただけますと幸いです。 -
インプラントに携わる歯科衛生士の認定制度として、阿部田先生が取得されている日本歯科麻酔学会 認定歯科衛生士と、日本口腔インプラント学会 専門歯科衛生士についてご紹介いただきました。今後、インプラント等のアシスタントや患者さんの全身管理が得意になりたい、または知識を深めていきたい歯科衛生士さんにオススメの認定資格です。
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歯科麻酔では患者さんとのコミュニケーションが非常に重要です。
麻酔を施す前の患者さんへのカウンセリング方法や、患者さんの不安を軽減するためのアプローチについて紹介されています。
適切な説明と安心感を与えることで、麻酔に対する患者さんの恐怖心を取り除き、治療をスムーズに進めることが可能となります。
また、患者の全身状態を把握し、麻酔の影響を最小限に抑えるための具体的な方法も紹介されています。
持病(特に高血圧)を持つ患者さんや高齢者への麻酔適用には慎重な配慮が必要であり、その際に考慮すべき点が詳しく解説されています。 -
それでは、実際の臨床現場での経験や事例を交えながら、局所麻酔の適切な使用方法や注意点を学びましょう。
特に、アドレナリン含有の麻酔薬の使用に関して、その効果と潜在的なリスクについて強調しています。
現在よく使われる局所麻酔は以下があります。
1. リドカイン塩酸塩製剤 (2%リドカイン塩酸塩)
オーラ® 注歯科用カートリッジ (1.0ml 1.8ml)
キシレステシン™MA注射液 (1.8ml)
エピリド®配合注歯科用カートリッジ (1.8ml)
2. プロピトカイン塩酸塩製剤 (3%プロピトカイン製剤)
歯科用シタネスト-オクタプレシン ® (1.8ml)
3. メピバカイン塩酸塩製剤 (3%メピバカイン塩酸塩)
スキャンドネスト®カートリッジ3% (1.8ml)
上記の中でも血管収縮薬や添加物の含有など細かな違いが有り、用途に応じて使い分ける必要があります。
また、麻酔薬の保管方法についても具体的なアドバイスをいただきます。
蛍光灯下での保管や加熱などの不適切な取り扱いがアドレナリンの分解を促進し、麻酔効果を低下させる可能性があります。
さらに、歯科衛生士が局所麻酔を実施する際の患者の心理的側面にも触れ、患者の不安を軽減するためのコミュニケーションの重要性を説いています。
本動画で局所麻酔に関する包括的な知識を学び医療安全と患者への配慮を学べます。 -
続いて、歯科医療における全身管理とモニタリングに関して順を追って学びましょう。
まず、モニタリングとは、「呼吸、心拍数、血圧、体温といったバイタルサインや心電図、経皮的酸素飽和度(SpO2)などを経時的に観察し記録すること」です。
最近はApple watchなどのスマートウォッチを着用する方が増えてきましたが、これもモニタリングです。
全身疾患を有する高リスク患者に対して、外科手術などの侵襲性の高い処置を行う際には、適切なモニタリングが不可欠です。
モニタリングを実施することで、患者の状態をリアルタイムで把握し、潜在的な合併症や急変を早期に検出することができます。これにより、医療チームは迅速かつ適切に対応することが可能となり、患者の安全性が大幅に向上します。
では実際に器具について知識を深めます。
歯科医院で導入される生体情報モニタの使用法について触れていきます。
実際のモニター画面を用いて各数値の意味や正常範囲、異常値が示す可能性のある状態について詳しく説明されています。また、モニターの音や波形の解釈方法も紹介されています。
血圧測定では、血圧計の正しい使用方法や、測定時の注意点が詳細に説明されています。マンシェットの位置や締め具合など、正確な測定のための具体的なアドバイスが提供されており、日常的な臨床現場での応用が想定されています。
パルスオキシメーターの使用法については、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)の測定原理や、正しい装着方法、測定値の解釈について解説されています。特に、爪のマニキュアなどが測定値に影響を与える可能性についても言及されており、実際の臨床現場での注意点が示されています。
心電図モニタリングに関しては、基本的な装着方法や波形の読み方について説明されています。心電図モニタリングを通じて患者の潜在的な心臓の問題を発見できる可能性があります。
酸素ボンベも重要です。投与の方法と注意点について、酸素ボンベの識別方法や、酸素カニューレの装着方法、酸素投与が必要となる状況について詳しく解説されています。また、緊急時に迅速に使用できるような保管方法にも触れられています。
静脈内鎮静法についても説明されています。
静脈内鎮静法が患者の不安を軽減し、より安全で快適な治療を可能にすることが述べられています。
講義全体を通じて、チーム医療の重要性が繰り返し強調されています。特に、モニタリングや全身管理における歯科衛生士の役割の重要性が説かれており、異常の早期発見や適切な対応のためのチーム連携の必要性が強調されています。歯科医療における全身管理の重要性を深く理解することができる内容となっています。 -
最後に、歯科治療における偶発症とその対応について学びましょう。
偶発症の主な原因として、歯科治療に対する恐怖や不安、痛み、不快感、薬物使用(特に局所麻酔薬に含まれる血管収縮薬)、アレルギーなどを挙げています。最も頻繁に発生する偶発症として「血管迷走神経反射(VVR)」が紹介され、その他に過換気症候群、アナフィラキシーショック、誤嚥・誤飲についても説明がなされています。
血管迷走神経反射(VVR)は、顔面蒼白、冷や汗、気分不良などの症状を示し、脈拍と血圧の低下が特徴です。
対処法としては、患者を水平位にし、酸素を投与し、足を挙上させることが推奨されています。
過換気症候群は、若い女性に多く見られ、呼吸が荒くなり、手足のしびれを訴えることがあります。
対処法としては、ゆっくりと深呼吸するよう指導することが重要です。
アナフィラキシーショックは、主に抗菌薬や鎮痛薬、局所麻酔薬の防腐剤が原因となることが多く、皮膚の発疹や呼吸困難などの症状が現れます。重症化すると意識レベルの低下も起こりうるため、速やかな対応が必要です。また、アレルギー反応を起こさないために、問診時に患者さんへ聞き取りを徹底することが大事です。クリニック内にエピペン(アナフィラキシー補助治療剤)を用意し、どこにあるかも確認しておきましょう。
誤嚥・誤飲に関しては、特に静脈内鎮静法を行う際に注意が必要です。予防策としてラバーダムの使用や器具への紐付けなどが推奨されています。
これらの偶発症に対処するためには、適切なモニタリングが不可欠です。
血圧計、パルスオキシメーター、心電図モニターの使用方法や、それらから得られる情報の解釈について詳細な説明がなされています。
また、定期的な歯科医院スタッフ全体のトレーニングも重要です。実際の臨床現場を想定したシミュレーションを通じて、スタッフ全員が緊急時の対応や基本的な医療行為(血圧測定、脈拍測定など)を適切に行えるようになるよう、練習日を設けることが推奨されております。
歯科衛生士を含むすべての歯科医療スタッフにとって、患者の全身状態を把握し、適切に対応する能力を身につけることが重要です。
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