#8 デジタルデバイスを応用した自家歯牙移植術
概要
今回の動画は、関内孝侑先生のプレゼンテーション「デジタルデバイスを応用した自家歯牙移植術」をお届けします。
プレゼンテーションの後には、歯周外科専門医の谷口先生、小柳先生をお招きし、症例をさらに深く掘り下げるディスカッションを行いました。
【患者情報】
37番:PPD 6mm、BOP(+)、動揺(+)
デンタルX線写真にて大きな骨透過像を認め、骨縁下まで及ぶ大きなう蝕が確認されました。
38番(水平埋伏歯)からの二次う蝕と考えられます。
患者様の希望とは異なりますが、保存不可能と判断し、抜歯の診断となりました。
抜歯後の選択肢としてインプラントまたは38番の自家歯牙移植を提示し、患者様の同意のもと、38番を自家歯牙移植で対応することを選択しました。
自家歯牙移植を行うにあたり、DICOMデータからサージカルガイド(Tooth Replica)を作製しました。これは移植窩の精密な形成に役立ちます。
【手術概要】
15Cメスでドナー歯周囲の歯肉溝に切開を入れ、可及的に深層まで剥離します。レシピエントサイトには、到達性の良い12番メスを使用しました。
ドナー歯の抜歯には、鉗子の内面にダイヤモンドがコーティングされ把持力に優れたものや、前歯部用・残根用など到達性の良いものを選択します。
38番は完全に抜去せず、移植直前まで亜脱臼の状態にとどめておきます。
モルト剥離子など先端の小さな器具で、不良肉芽組織を丁寧に掻爬します。
レシピエントサイト骨頂部に残存した肉芽は、ニューマイヤーバーを1.5万~2万回転/分で使用し、慎重に除去・整形します。
移植窩は、内部が末広がりになるようイメージし、コントラ用バーを1万~1.5万回転/分の注水下で形成します。
最終的な微調整では、作製したTooth Replicaをドナー歯に見立てて埋入し、移植窩の形態を少しずつ整えます。
移植の準備が整った時点で38番を抜歯し、生理食塩水で洗浄後、歯周組織の再生を促すためエムドゲインを塗布しました。
38番を180度回転させて移植し、縫合は4-0のブレードシルクで2針行い、36番のTEC(仮歯)とスーパーボンドで固定して手術を終了しました。
【術後経過】
術後2週で抜糸、4週で固定を解除し、根管治療を開始しました。
最終補綴は36番と連結したジルコニアクラウンとしました。
術後3年が経過し、歯根膜腔は明瞭でアンキローシス(-)、PPD 3mm以下、BOP(-)、動揺(-)と、予後良好です。
【ディスカッション】
Q. インプラントと移植の使い分けは、どのように判断されますか?
関内先生は、理想的にはまず移植の可能性を検討するとのことです。
谷口先生は、移植の一番の魅力として、天然歯と連結できること、支台歯として活用できることを挙げています。
小柳先生は、インプラントを第一選択とすることが多いそうですが、本症例を詳しく検討すると、GBRの困難性やドナー歯の歯根膜による歯周組織の再生能を考慮すれば、移植が第一選択になり得ると述べています。
移植を選択する際は、ドナー歯となる8番の歯根膜の状態が非常に重要であり、そこから骨の回復に関する貴重なご意見を伺うことができます。
Q. 自家歯牙移植へのデジタルデバイスの応用範囲について
今回の手術で、関内先生はTooth Replicaを応用されました。
実際の感想としては、必ずしも移植窩の形成がこれだけでスムーズに完了したわけではないとのことです。
より良いデジタルの活用法として、最大豊隆部や頬舌径でくり抜いた形状のガイドや、デプスゲージのようなデバイスを作成できれば、移植の精度がさらに向上するのではないかと議論されています。
今回の動画では、関内先生による洗練された縫合テクニックも、非常に参考になる情報です。
また、動画の最後には、3先生それぞれの「移植の魅力」についてのお話も伺うことができます。

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