#2 歯肉退縮とブラックトライアングル - 下顎前歯に結合組織移植を行った一症例
概要
今回は佐藤博紀先生による「歯肉退縮とブラックトライアングル」のケースについて、プレゼンテーション及び症例検討会になります。
山口文誉先生、高橋雅仁先生にご参加いただいております。
【症例】
主訴:下顎前歯部の隙間、特に中切歯間および歯根露出が気になる。
診断:歯肉退縮(RT2)、歯間乳頭欠損(class1)
診断にはCairoの分類、およびNorldland・Tarnowの分類を用いております。
オペ時は、Norldland先生のトンネリング法による治療を用いて、マイクロスコープでの拡大視野下で施術を行いました。
【手術概要】
フェザー 手術用替刃メス No.390を用いて、切開は極力少なく、歯肉溝内切開のみに留めております。
それ以降はペリオドンタルナイフを使用し、やや鈍的に根尖側へと剥離を行います。
歯肉溝内MGJを超えて粘膜が可動性を持つ分まで剥離すると、根尖側に少し可動性が出てきます。
その後、エキスカを用いてなるべく歯間乳頭を傷つけないよう剥離し、挙上していきます。
剥離が完了した後、結合組織を採取して、効果的な形へと移植片をカスタマイズしていきます。
細く、トンネル直下に挿入しやすい形態、歯間乳頭に残りやすい形態を意識してトリミングを行います。
縫合の位置は、試適の段階で決めておき、過度な張力をかけないことを意識して懸垂縫合を実施されております。
【術後経過】
術後、Sp時、抜糸時の経過を写真を用いて、歯間乳頭が回復し、根面被覆が十分行われている点を確認することができます。
【ディスカッション】
Q.フラップデザインについて
1番に血液供給をしっかり残したいのならば、歯間乳頭を切らない、縦切開もしないフラップデザインが望ましいと考えられます。
高橋先生は、歯間乳頭の剥離が難しくアプローチできない場合は、アクセスするための縦切開を入れることをご提案されています。
乳頭を挙上する際、形態的に隣接面からのアプローチでは困難な場合もあります。
その際には切開が必要になりますが、様々な考えが先生方毎に見受けられました。
血流を考えた上での縦切開、直視下で1箇所だけの歯間乳頭を持ち上げるなら歯間部に留めた横切開のアプローチ等、様々なお考えを学ぶことができます。
Q.CTGのトリミングについて
佐藤先生のトリミング方法は、非常にアイディアに富んだものであると山口先生から評価されています。
その上で、CTGを採取した後の保管方法やトリミングの方法について質問をされておりました。
佐藤先生は、採取したCTGを生食で浸したガーゼに包んで保管しておき、トリミングの際はセラミックストーン上で、下に敷いたガーゼごと切るようトリミングを行うようです。
また、CTGを先に採取するのか、フラップを先に開くのかという質問に対し、佐藤先生は必ずフラップから先に行うと返答しております。
開いたフラップに採取したCTGの量が足りるのか、またはCTGを長時間採取したままにしておくのか、考え方によって手法は変わると思われます。
そういった点に関しての先生方の考えが様々に述べられていますので、参考にされてみてはいかがでしょうか。
上記以外にも、剥離する際の判断基準や、使用したインスツルメント、縫合についてなどのお話が展開されています。
インスツルメントに関しては、佐藤先生が様々な手術を経て洗練されたものとなっている点も見どころの一つです。
今回の難症例に対し、より質の高い治療を行うために、歯周外科専門の先生方の様々な意見を伺うことができます。
ぜひ臨床に役立ててみてください。

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