小児の口腔機能が注目されている今だからこそ伝えたい、小児を取り巻く食事や栄養、生活環境の現状と問題点、歯科医師・歯科衛生士だからこそできる患者さんとの関わり、そこから生まれる健やかな成長と健康について、全てのかかりつけ歯科医・歯科衛生士の方に知っていただきたい情報をお届けします。


【こどもたちの健やかな発育に関わる歯科の未来】　丸森 英史 先生

う蝕や歯周病の原因は遡れば生活習慣に求められる事が多いのですが､小児期にすでにその問題が現れている事を臨床の中でしばしば経験します。幅広い年齢層の方々が来院する歯科の診療室で、成人に対する精度を追求する医療とは､別の対応が必要です。
本来、本能に近い食行動が医療の対象になるのです。豊かさや便利さが招いた側面もありそうです。食べる機能を育て、食育と相俟って行う臨床が求められます。その一端をご紹介しながらこれからの歯科医療を考える機会にしたいと思います。


【子どもたちの健全な育成のためにホームドクターの立場でできること】～知っておいて欲しい子どものこと～　髙野 真 先生

歯科は、乳幼児期（あるいは胎児期）から高齢期までの一生を通じて関わりがもてる診療科であり、生涯にわたり健康をサポートしていく場としては大変適しています。
その中でも、人生のスタート地点である小児期のアプローチは大変重要です。
近年、社会環境の大きな変化により、子どもたちを取り巻く環境も、目まぐるしく変化していて、一見便利になった生活の背景には、物理的な豊かさとは裏腹に、ゆとりのない忙しい生活が垣間見られます。そこに生活習慣や食生活の乱れなどが加わり、健康面や口腔内にも様々な問題が起こっています。
今回は、今感じている現代の子どもたちの問題点を提示するとともに、試行錯誤しながらスタッフと共に院内で取り組んでいることを、お話ししたいと思います。



【食べる意欲、ブラッシングのスキルを育てる取り組み】　成井 香 先生

近年カリエスフリーの子どもが増えてきていますが、生活や食の背景に目を向けるとまだまだ心配事は尽きない、と感じています。「子どもやお母さんたちに健康を守る力をつけてもらいたい！」と、月一回の幼稚園の保健指導を行っています。また研究会の先輩歯科衛生士が各地で歯を通した育児支援サークルを行っています。その活動から子ども達のブラッシングや食行動の変わる姿を、また診療室での取り組みも含めてご紹介いたします。