確かな根拠に基づく患者指導 〜歯周病・全身疾患(糖尿病)・環境要因(喫煙)のエビデンス〜
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心理学+ペリオ、DHとDrのための心理学を応用した伝わる歯周基本治療4回コースのSTEP4、最終回です。
最終回では、エビデンスに基づき、どのように患者様に伝えていくのかについて鈴木隆太郎先生にご解説いただき、その後、相宮秀俊先生とのディスカッションを行ってまいります。
まずは前回、STEP3のおさらいです。
なぜペリオに心理学なのか。"心理学"は鈴木先生が歯学部卒業後から現在までのさまざまな悩みからたどり着いた結論です。
心理学は、患者さんの行動変容と協力が必要な歯周基本治療において、最高の成果を出す有用なツールです。
患者さんと1対1で話す時だけでなく、受付から待合室、チェアまでの各ステップにおいて、患者さんが今どう感じているかを見て観察し、情報共有を行うことで、効率的な診療とチームワークに繋がります。また、診療室では、患者さんの話を聞く力も必要です。人は自分の話に興味を持ってくれる人の話にしか興味を持たないので、まずは相手の話をしっかり聞くことが重要でしょう。
それでは、今回のステップ4の内容に移っていきます。
患者さんに積極的に歯周基本治療に参加してもらうために、患者指導を裏付けるエビデンスについてお話しいただきます。
まず、STEP2の"行動経済学"のパートでご解説いただいた、「権威への服従」から、権威を借りて説明に裏付けを取ることが効果的です。
(※権威への服従:権威ある団体や人の言うことは過度に信じやすい傾向にあります。「モンド・セレクション」などが該当します)
例えばエビデンスを紹介する際に、「この論文によると」や「このガイドラインによると」といった枕言葉を使うことで、患者様により納得していただけるでしょう。
歯周病の有病率についてもお伝えいただきました。歯周病は珍しい病気ではなく、日本では多くの罹患率があります。
患者さんに自分の歯を守るためにこの病気に向き合いましょうと伝えることが大事です。
2017年のWorld Workshopでは、歯周病新分類のStage分類やGrade分類が話題になりました。ここで特に重要なのは全身疾患と環境要因です。
例えば、糖尿病の患者様に対しては、糖尿病と歯周病のリスクについてしっかりとエビデンスを示しながら説明することがポイントです。
また、SRPによってヘモグロビンA1cの改善率が0.56%期待されます。これにより糖尿病に関連する微小血管合併症の確率を35%下げ、あらゆる死亡リスクを21%下げることができます。これを患者様に伝えることで、治療の価値を理解していただきやすくなります。
また、喫煙は歯周病に対して4倍悪い影響があります。喫煙者に対しては、禁煙がどれだけ重要かを具体的な数字で示すことが大切です。喫煙者は禁煙後11年かけてようやくリスクが非喫煙者並みに戻る、ということを伝えるのも効果的です。
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