【開催報告】「超高齢社会に対応した未来志向パーシャルデンチャー」亀田 行雄 先生クリニカル・カンファレンス
2020年3月5日20時から埼玉県川口市でご開業の亀田行雄先生によるクリニカル・カンファレンスが開催されました。
テーマは「超高齢社会に対応した未来志向パーシャルデンチャー」ということで、ライブ配信には沢山の事前登録がありました。
セミナー概要
日本は超高齢社会となり,我々歯科医師が治療対象とする患者も高齢者が増えてきています。
平均寿命の延長から平均余命も増えており、20年前の60歳に行った治療と現在60歳に行った治療では、求められる治療は大きく変わっています。
そのような状況では,加齢を考慮した治療計画が必要であり,我々歯科医師には,一つの分野に特化した技術の習得だけでは不十分で,歯科医療全般にわたる広い分野の医療技術が求められると考えます。
補綴方法だけをとっても,クラウンブリッジでなく義歯やインプラント,さらにはインプラントオーバーデンチャーなど多くの知識と技術が必要な分野であり,我々歯科医師にとっても腕の奮いどころです。
パーシャルデンチャーの質的向上は,過去のエビデンスから明確な結論が出ており,後はそれを臨床でどのように行うかのハウツーだけです。
またインプラントの併用に関しては,遊離端欠損が始まった後の欠損形態や年齢を考慮し,固定性インプラント補綴を応用する場合に加え,パーシャルデンチャーにもインプラントを併用した,IARPDもその選択肢と考えられます。
今後行っていくべきパーシャルデンチャーの臨床について.症例を交えながら2時間に渡ってお話されました。
このご講演動画は編集後スペシャル動画として2020年初夏に公開予定です。
今回ご講演後に挙げられて時間の都合で答えられなかった質問に後日先生から返答がありましたので、下記まとめていきます。
Q1:臼歯部クロスバイト配列の理由は?
Q:3級の下顎2インプラントの患者さんのケースで上顎の小臼歯部の排列がクロスバイトになっていましたが転覆防止のためですか?舌房が狭められてしまうと思うのですが。
A:上顎顎堤の歯槽頂に対して前歯から小臼歯にかけての人工歯を唇頬側に排列する場合があります.顎堤の状態が悪く義歯の維持が得にくい場合,咀嚼時の義歯の転覆を少なくするために小臼歯の舌側排列を行うこともあります.ただしご指摘の通り舌房を阻害し発音障害や舌を噛んでしまうこともあり,人工歯排列時にメリット・デメリットを試行錯誤しながら決定する必要があります.
Q2:天然歯の支台歯への前処置は?
Q:支台歯が綺麗な天然歯でもレスト付きクラウンにしますか?それとも天然歯はクラウンにせずにレストや隣接面板を付与していきますか?
A:支台歯(鉤歯)は可能であれば補綴を行うことで歯冠形態を維持・支持・把持に適した形態に変え,さらに連結を行い補強することが望ましいかと思います.
しかしきれいな天然歯を削るのは抵抗があります.総合的に判断し補綴するか否かは決めるべきです.また補綴しない場合でも,エナメル質の範囲でトゥースプレパレーションを行うとよいと思います.
支台歯の補綴を最小限にするために,IARPDを選択することもあります.
Q3:インプラントに対しパーシャルのクラスプをかけることは治療成績はどうか?
Q:インプラントオーバーデンチャーの場合、7にインプラント 埋入して義歯に取り込むようにされていましたが通常のクラウン形態にしてパーシャルを作成していくのはどちらが成績はいいですか?
A:IARPDでインプラントを義歯床下に収める場合と,インプラントにクラウンをかぶせ,クラスプをかける場合と比較すると,義歯床下に収めた場合の方が成績は良いと思います.
デメリットは義歯床下のインプラント周囲粘膜が自浄性が悪く炎症を起こしやすいことです.クラスプをかける場合はインプラントに側方力が加わりやすくなります.
Q4:埋入ガイドの作成手順は?
Q:パーシャルデンチャーにインプラント埋入する時にガイドを使用したいのですがどのような手順で行えばいいですか?(WAX-UPやCT撮影など)
A:模型上でワックスアップ,または造影剤の入った人工歯を排列し診断用ステントとする
診断用ステントを装着しCT撮影 埋入位置を決定後埋入用ステントを製作
Q5:セルフケアが行き届かなくなった際のIODのリスクは?
Q:セルフケアのできない状況になった時にIODを装着している方の口腔内のリスクについてどのようにお考えでしょうか?(不随意運動やインプラント周囲炎に対するリスク)
A:当院でも以前より訪問診療を行い,当院でインプラントを埋入した患者さんが通えなくなった後の経過を見ています.
セルフケアはできなくなりますが,義歯は家族やヘルパーの方が清掃することは可能です.
無歯顎で咀嚼能力が落ちてくる方を見ていると,IODが入っている方がよいと感じることもあります.
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