コンポジットレジン修復の位置づけと フィルテック™ フィル アンド コア フロー コンポジットレジンの有用性について
日々の臨床におけるフロアブルコンポジットレジンと新規フロアブルコンポジットレジンの特徴
近年、日本の歯科臨床におけるフロアブルコンポジットレジンの広がりは目覚ましく、世界的にみても日本は接着臨床にフロアブルコンポジットレジンを使いこなしている臨床家が多いのではないだろうか。その背景には異なる粘稠性と高い機械的物性をもつフロアブルコンポジットレジンの開発が大きく影響している。一方「サッと流れ、キレがよく、ピタッと留まる」という特徴的な物性により、1つの粘稠性で充填から補修修復まで幅広い症例に対応できるフィルテック™ シュープリーム ウルトラ フロー コンポジットレジンはその簡便さや在庫管理を容易にしやすいという点で愛用している歯科医師も多い。
ClassⅡ窩洞においても、マトリックスがかからずに隣接面を回復できない症例と歯間長が長く修復 物の破折が考えられる症例以外はコンポジットレジン修復を第一選択としている(図2)、(図3)。
原則と書いたのは咬合状態も加味する必要があるためであり、上顎小臼歯よりも下顎第一大臼歯は咬耗量が多いといったことを留意して治療方法を 選択する必要がある。
コンポジットレジンの課題とフィルテック™フィルアンドコアフローコンポジットレジンに期待できること
CAD/CAM材料と比較した際のコンポジットレジンの課題は 摩 耗 量の大きさと重合収 縮である。下顎 大臼歯の機 能 咬頭を含めた修復の際にコンポジットレジン修復とするか アンレーで被覆するかは磨耗を考慮して決定する。また、 コンポジットレジンは重合で収縮し応力が生じる。重合 収縮応力が窩底部の接着力を上回るとコントラクション ギャップが発生し、エナメルの強 度を上回るとエナメル クラックが発生する。加えて、重合収縮応力は、ClassⅠ 窩洞のような単純な窩洞でこそ、影響が大きいことも理解 しなくてはならない(図4)。
重合収縮応力を測定する方法はいくつか報告があるが、当講座では重合収縮応力によるアルミニウムブロックの変位量を測定する方法を用いている (図5)。この方法を用いて各種フロアブルコンポジットレジンの重合収縮応力を測定したところ、フィルテック™ シュープリーム ウルトラ フロー コンポ ジットレジンの変位量は約20μmであったのに対し、フィルテック™ フィル アンド コア フロー コンポジットレジンの変位量は約8μmであった2)。 これは 重合収縮応力が40%程度に低減されていることを示唆している。
表2にフィルテック™ フィル アンド コア フロー コンポジットレジンの特徴を示す。重合収縮応力が小さいことと4mmまで一括重合が可能なことが 長所であるが、この特徴を活かせる用途を適応症としている点も特筆すべきであろう(図6)。
最後に、重合収縮応力の低減によって、破折要因とされていた遊離エナメルを残すといった、更なるMI治療が可能となることも期待したい(図7)。
フィルテック™ フィル アンド コア フロー コンポジットレジンの特徴: