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BGMで心地のよい空間づくりを【後編】

2018年5月17日(木)
提供:株式会社USEN

① 執筆者のご紹介


前編では、「BGMによるマスキング効果」についてご紹介いたしました。今回は、和合治久先生(埼玉医科大学短期大学名誉教授)の「BGMが人にもたらす効果について」のお話です。



執筆者プロフィール
和合 治久(埼玉医科大学短期大学名誉教授)
東京農工大学大学院修士課程修了後、京都大学で理学博士取得。
免疫音楽医療学などが専門。


② 自律神経 ~音の周波数と脳脊髄の関係


自律神経系は人間の内臓や皮膚、血管などに分布し、意志とは無関係に自動的に生体反応を調節しているシステムであり、交感神経と副交感神経から構成されています。この2つの神経系は互いに拮抗的に作用しているために、そのバランスが健康維持にとても重要です。しかし、今日のストレス社会では、緊張や不安が募るために、心身を活動的に導く交感神経が過剰に作動し、多くの生活習慣病を引き起こします。この結果、糖尿病や高血圧、高脂血症などの病気、あるいはリンパ球依存の免疫力が低下して日和見感染症やがんで苦しむ患者さんが急増しており、大きな社会問題になってきました。したがって、交感神経の過剰な作用にブレーキをかける副交感神経の出番を作ってあげることが大切になります。


フランスの耳鼻咽喉科医であったアルフレッド・A・トマティス博士は1957年、音の周波数と人間の脳脊髄の位置の間には、直接的な因果関係があるというトマティス理論を発表しました。人間の背骨は、大脳から下に向かって延髄、頸椎、胸椎、腰椎、仙椎、尾椎と整然と並んでいます。これらの各部位が音の周波数と対応して響くという理論です。特に、頭頂(大脳)は8000ヘルツ以上、延髄など脳幹部には4000~6000ヘルツ、頸椎には2000~3000ヘルツ、胸椎には750~2000ヘルツ、腰椎には250~500ヘルツ、仙椎には250ヘルツ以下という周波数の音が響くのです。確かに、悲鳴や赤ちゃんの泣き声は頭頂に響き、太鼓のような低音はお腹に響いてきます。


この理論に基づき、今日の交感神経優位で生じる多くの生活習慣病を改善したり予防するためには、副交感神経が分布する脳幹部(視床下部、中脳、橋<きょう>、延髄)を刺激する音の周波数を活用することがポイントです。この部位に波及する周波数の音を実際に聴くと、1)血圧や心拍が安定する、2) 唾液がよく出る、3) 体温が上昇する、などの生体反応を実感できるのです。 


 


③ 患者さんや歯科スタッフに与える効果


歯科に通院する患者さんは治療の際に感じる不安感や緊張感、歯痛などによって交感神経が著しく刺激されるために、心拍や脈拍が増えたり血管が収縮して血圧が上昇します。また体温も下がってきます。したがって、このような患者さんの身体的な苦痛や不快感を緩和させる上で、副交感神経を効果的に刺激する音楽は重要な役割を果たします。加えて、歯痛の緩和に影響するβエンドルフィンのような脳内物質の分泌も高まり、患者さんは落ち着いた状況で治療を受けることができるでしょう。


一方、歯科医や歯科スタッフも精神的に穏やかに治療に専念できるために、集中力が高まり、適切な処置を行えるでしょう。患者さんの歯科に対する信頼感や満足度も上がるかもしれません。


このように、副交感神経を刺激する音楽をBGMとして活用することで、患者さんと歯科医や歯科スタッフの間には、医療分野で重要な信頼関係が構築されると同時に、両者の健康維持においてもプラスに波及するのです。


 


④ メンタルヘルス対策


近年、会社や各種事業所で働く人々の心の健康管理が重視されるようになり、メンタルヘルスチェックが義務づけられるようになりました。心の健康づくりを目的としたメンタルヘルスケアはどんな職業分野でも重要であり、特に職場の労働環境の改善や従業員の心の健康を維持させる上でも大きな役割を果たしています。


ストレスを引き起こす環境中のストレス要因は、騒音などの物理的要因、栄養不足などの化学的要因、病原体の侵入などの生物学的要因、そして不快な人間関係や心理的な苦痛などの精神的要因の4つに分類されます。これらの中で重視されているのは、精神的要因です。過重労働や睡眠不足に起因する仕事の停滞、職場での人間関係の不和などは、仕事への集中力を低下させたりイライラ感を募らせます。さらに、不眠などが続き、生活習慣が乱れて、不安や悲しみ、恐れなどの三大感情悪も高まります。こうした状況が日々の生活の中で蓄積すると、複数のストレス要因は一気に命を奪うようなキラーストレスとなり、それが大きな社会問題にまで発展します。歯科に受診している患者さんは不安感や緊張感を抱きつつ待合室で時間を過ごします。日頃から交感神経優位の社会生活を送っている上に、交感神経はいっそう優位に作動して体調を悪くする場合も生じます。この意味で、こうした待合室の環境下で、効果的な副交感神経刺激のBGMを流すことは、患者さんのメンタルヘルス対策にも役立つものなのです。


 


⑤ まとめ


副交感神経を刺激するBGMを効果的に活用することで、患者さんの歯痛や不安、緊張を緩和させるとともに、歯科スタッフの集中力を高めて治療の正確性を増すことが期待できます。さらに、患者さんの唾液分泌までも促すために歯周病や誤嚥の防止にもつながり歯の健康も守れるでしょう。



音は人の自律神経に作用するということ、また副交感神経を刺激してくれるようなBGMは、患者さんのみならず歯科医や、スタッフさんにもよい効果をもたらしてくれます。


USENでは、副交感神経を刺激するようにつくられたオリジナル楽曲を用いて、実際に人体にどんな影響を与えるかを測定しました。


 


埼玉医科大学短期大学 和合治久名誉教授による結果分析


 音楽試聴前後に、体温、唾液分泌量、唾液物質(免疫物質IgA、コルチゾール)、そして運動後の音楽試聴の有無で脈拍数を測定し、生体機能への影響調査を行いました。結果、音楽試聴を行った場合には、副交感神経を刺激して唾液の分泌を促し、同時に血管を拡張して血流を改善すること、また、唾液中の免疫物質を増加させるが、ストレスホルモンは減少させることが判明。この音楽は現代社会人の交感神経優位な生活から生ずる生活習慣病の予防に活用できるばかりでなく、心身や脳の疲労を休めてリラックス効果を生み出し、次の段階で集中力を高め、仕事の生産性を上げることに有効だと考えられます。


※本ページの実験結果は、各種実験業務の委託により得た分析結果を記載したものです。
当社並びに当該分析結果は、何らかの効果を保証しているものではありません。


※ご契約いただく内容によっては、掲載している番組をお聴きいただけない場合がございます。



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以上、2回にわたって、BGMの効果についてご紹介いたしました。
先生、スタッフ、そして患者さんがより快適に過ごせる院内環境づくりにBGMがお手伝いいたします。

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