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【人気動画】歯周治療と補綴治療を中心にした総合治療 〜治療結果の長期的安定を求めて〜

2021年8月23日(月)

今回の動画では医療法人 貴和会の佐々木猛先生が長期的に安定する治療結果を追求した歯科治療のあり方について、炎症と力のコントロールを達成するための『3key concept』 を軸にお話しいただいています。
歯周治療の基本から最終補綴の勘所までしっかりと網羅された内容になっており明日からすぐに臨床の目の付け所が変わり、いままで見えなかった部分に目が届くようになるような非常に有用な内容です。

自分の治療のレベルを一段階上げたい方、長期的な予後の獲得について知見を得たい方は是非ご覧になってください!

Part 1 歯周・補綴治療のコンセプト

「疾患で失われた機能と審美を回復して長期的な安定をめざしていく」という最終目標に至るために何を行なっていけばいいのかが3key conceptを軸に語られます。

3 key concept

3key concept
・清掃生の高い歯周環境 Cleanable periodontium
・精密な補綴修復 Precise restoration
・安定した咬合 Stable occlusion

専門性の高い各科の治療が組み合わさり、上記の3つ達成されれば炎症と力をコントロールできるとされています。

まずは歯周環境についてです。清掃性の高い歯周環境 Cleanable periodontiumを獲得するためには3つの組織の連続性が重要です。
すなわち、浅い歯肉溝・骨レベルの平坦化・十分な付着歯肉獲得が大切なポイントになります。

その中でも最も大切だと指摘されているのは骨の連続性です。
骨吸収の未治療時の10年予後を比べると水平性骨吸収は12.7パーセントが抜歯となっていますが、
中等度以上の垂直生の未治療で骨欠損を放置すると45.6%~68.2%と半分以上(およそ3分の2)が抜歯となっています。

骨吸収未治療時の抜歯率

手術による治療介入の重要性を認識できると同時に、動画の中では水平性骨吸収時には非外科的に炎症のコントロールをすることの重要性も詳しく述べられています。
垂直的骨欠損で予後が悪く骨のレベリングが必要な症例に対しては主に

・再生療法
・切除療法

が選択されます。

・再生療法
残存している骨壁が多いほど予後が安定するとされています。動画の中ではエブドゲインや骨補填剤を扱う時のコツや、手術後の動揺のコントロールの方法、ナイトガードの扱い方など、しっかりと勘所を抑えることができます。

・切除療法
歯周病の進行を抑える有効かつ予知性の高いテクニックであり、再生療法よりも予知性が高いと語られています。Part2では切除療法の手技やポイントにつき詳しく紹介されています。

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Part 2 骨切除術

骨のレベリングを行う 切除療法 Respective therapy、特にAPF(Apically Positioned Flap)についての説明です。
部分層弁の解説から、どのように生物学的幅径を獲得できるかといった内容が語られます。

切除療法の症例

理想的に補綴を受け入れる歯周状態をつくりだすために術者は何をすべきなのかが豊富な症例と共にわかりやすく理解できます。
歯肉縁下カリエスに罹患した歯牙を保存することにも応用できる術式として、習得すれば治療の幅が広がります。

また歯列の連続性を回復することの大切さについても触れられており、再生療法・切除療法と共に矯正治療を行うことにより不正咬合からくる咬合力の不均衡を是正できるとの示唆も示されています。

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Part 3 軟組織のマネージメント

次に十分な付着歯肉の獲得と歯肉の連続性を回復するための方法の話です。

歯肉と骨の厚みによるリスク

Maynardの分類に基づいて歯肉と骨の厚みに対する説明があります。
いかにバイオタイプ(骨や歯肉の厚みのタイプ)を改善するかを考えたときに、軟組織を改善する遊離歯肉移植術 FGG・結合組織移植 CTG が紹介されています。

遊離歯肉移植術 FGG・結合組織移植 CTG

歯肉の連続性が回復された後の補綴治療についてもここからかなり詳しく語られていきます。

精密な補綴修復 Precise restorationを行うためのマージンの位置設定や適合、理想的なEmergence profileとは何か。
また、印象採得時の留意点についても症例と共にわかりやすく紹介されています。
咬合採得や模型作成という流れもしっかりと説明されています。

支台歯形成と印象採得

また、プロビジョナル・レストレーションを患者の個々の顎運動に合わせて清掃性、機能性、審美性を考えて完成させていくことの重要性が述べられているのが特に印象的です。
「補綴治療とはプロビジョナルを口の中で生活に馴染むように仕上げていくこと」という佐々木先生の言葉には歯科医としての患者との向き合い方を学べるように思います。

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Part 4 咬合


こちらのパートでは理想的な咬合とその咬合調整の仕方が紹介されています。


理想的な咬合

患者がストレスを感じない顎位を探して、下顎の顆頭の安定した位置(SCP)において安定した咬頭嵌合位をとっていくこと目標にした咬合治療について学びます。
適性な顎位を探すためのバイトプレートの使い方は歯科医師なら誰もが悩む難しいポイントですが、その点もシンプルに解説されています。
顆頭安定位をとってからその位置でのプロビジョナルレストレーション、その後の咬合調整の方法についても詳しく述べられています。
また歯科医師が疑問に思いがちな「どこまで犬歯誘導を目指せばいいのか」という疑問にもエビデンスをもとに解説されており大変有意義です。

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Part 5 メインテナンス


治療結果を長期的に安定させるためにメンテナンスは不可欠です。
ここではメインテンスに移行するまでに必要な条件や、長期的に良好な予後を獲得するために必要な咬合状態について解説されています。


年代ごとの残存歯数

適切な歯周治療の治療介入をすれば天然歯を失う速度は緩めることができ、インプラントを口腔内にいれる時期も遅らせることができることが示唆されています。
インプラントの前にいかに天然歯を守ることができるか。私たち歯科医師の本懐はここにあり、そのために何ができるかを改めて認識できる内容でした。

動画後半の質疑応答の時間にも、リグロスの治療結果や切除療法後の歯冠歯根比について、バイトプレートとナイトガードの違いなど「そこが聞きたかった!」という勉強になる内容が収録されています。

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最後に…

今回は医療法人 貴和会の佐々木猛先生の動画「長期的に安定する治療結果を追求した歯科治療のあり方について」の動画をPart1~5まで解説させていただきました。

長期的に安定した予後を獲得するために必要な各要素につき、学べるきっかけとなれば幸いです。

大切なポイントが多数動画の中では説明されていますので是非一度ご覧になってみてください。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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