【全スタッフ向け】超高齢社会を支える「機能」の診査:嚥下・低下症コンプリートガイド
高齢化が進む中、歯科の役割は「歯を治す」ことから「機能を診る」ことへとシフトしています。特に口腔機能低下症への介入は、健康寿命を左右する重要な診査項目です。
スタッフ全員で共有すべき、機能診査のポイントを整理します。
1. 嚥下スクリーニングの優先順位と手順
摂食嚥下障害が疑われる場合、まずは簡便なスクリーニングから始めます。「反復唾液嚥下テスト」や「改訂水飲みテスト」は基本ですが、これらは指示理解ができることが前提です。指示が難しいケースでは、プリンやお粥を用いた「フードテスト」で、実際の咀嚼・嚥下動作を観察します。また、頚部聴診(けいぶちょうしん)で嚥下後の呼吸音を確認し、ガラガラ音がないかをチェックすることも有効です。本人の実感を確認するアンケート (EAT-10等)を併用し、多角的に「食べる力」を診査しましょう。
2. 口腔機能低下症「7項目」の精密検査と栄養管理
口腔機能低下症の診断には、1.口腔衛生状態、2.口腔乾燥、3.咬合力、4.舌口唇運動機能、5.舌圧、6.咀嚼機能、7.嚥下機能の7項目を評価します。3項目以上が基準を下回れば診断確定となりますが、大切なのは「なぜその機能が落ちているのか」を考察することです。咀嚼機能の低下は「低栄養」と直結します。管理栄養士と連携し、食事内容や生活背景まで踏み込んだ診査を行うことが、単なる数値管理ではない、真の口腔機能管理へとつながります。
3. 画像から読み取る全身疾患のサイン(骨粗鬆症と気道)
パノラマやCTは、歯科治療のためだけの資料ではありません。例えば、パノラマ画像で下顎管付近の皮質骨が菲薄化 (2.8mm以下が目安)している場合、骨粗鬆症のリスクが疑われます。また、オープンバイト (開咬)の患者さんでは、CTによる「気道」の確認が重要です。舌癖や不適切な舌位が気道閉鎖に関連している場合、単に補綴で咬合を整えるだけでは全身的なリスクを抱えることになります。画像から全身の健康状態を読み解く「スクリーニングツール」としての視点を持ちましょう。
出典:高齢者の口腔機能と栄養の評価・口腔機能管理(高齢者歯科マスターコース)
まとめ: 明日からの臨床に活かせるヒント
機能診査は、歯科医院が「生活を支える場所」であることを示す重要なアクションです。6か月ごとの再評価を計画に組み込み、継続的に患者さんの変化を追う体制を整えましょう。