【基本】歯肉マッサージ(ガムマッサージ)の基本~知識編~
歯肉マッサージ(ガムマッサージ)とは
歯肉マッサージには、大きくわけて歯科衛生士が行うマッサージと患者さん自身が行うマッサージがあります。
1.専門家によるマッサージ
専門家による口腔ケアの一環で歯科衛生士が行う口腔ケアです。
歯肉、頬粘膜、唾液腺などをマッサージすることをいいます。
2.セルフケアによるマッサージ
患者さん自身のセルフケアによる口腔ケアの一環として、患者さん自身が自宅で行うセルフケアとしても行われています。
歯肉、唾液腺、リンパケアとして行われています。
歯肉マッサージ(ガムマッサージ)の目的
1.歯科医院来院の動機付け
歯医者は怖い、歯医者が痛いところをいうイメージを、歯肉マッサージを行うことによって、歯医者は心地よい場所、歯医者は安心して行ける場所として認識していただき、来院への動機付けとして行うケースがあります。
2.口腔乾燥の緩和ケア
口腔内が乾燥している、唾液分泌量が減少しているなど、乾燥による痛みの軽減のために行うケースがあります。保湿ジェルなど用い、保湿効果を期待する目的として、行う場合もあります。
3.メインテナンスの付加価値として
保険の診療から、自費のメインテナンスへ移行された場合、メインテナンスの付加価値として歯肉マッサージを提供される歯科医院もあります。
歯肉マッサージ(ガムマッサージ)の効果
まず最初に、う蝕や歯周病の予防効果はないことを前提として理解してください。
エビデンス的にも立証されていないことから、患者さんへ説明する際も、このような誤解を招くような説明をしないようにしましょう。
1.リラックス効果
歯科衛生士養成学校の学生30名を対象に実際に歯肉マッサージを行い、「歯肉マッサージを受けてどのように感じますか?と質問したところ、リラックスした65%、スッキリした25%、まったりした5%という結果となり、約6割がリラックスしたと回答をしています。
2.唾液分泌量の増加効果
上記調査時に、歯肉マッサージ前に刺激時唾液を計測しておき、歯肉マッサージを実施後、もう一度刺激時唾液を計測した結果、97%が唾液が増加しているという結果となりました。
このことからほとんどの対象者が歯肉マッサージの後に唾液量が増加したことがわかります。
3.歯科に対するイメージの変化
調査対象の歯科衛生士学生30名に「歯肉マッサージを受けたことがありますか?」と質問をしたところ、全員が受けたことがないと回答しており、歯肉マッサージを受けた後に「また受けたいと思いますか?」と質問をしたところ、すべての対象者がまた受けたいと回答しています。
また、「歯肉マッサージをうけに歯科医院に通いたいですか?」と質問したところ、9割の方が歯肉マッサージをうけに歯科医院へ通いたいと回答しました。
さらに、「歯肉マッサージを受けて歯科医院のイメージは変わりましたか?」と質問したところ、歯科医院のイメージが変わったと回答した人が67%、以前と変わらないと回答した人が23%という結果となり、7割弱の方が歯科へのイメージが変わったと回答しています。
このような結果から、歯肉マッサージには、リラックス効果、唾液分泌の増加、歯科に対するイメージの変化、来院への動機付けの効果があると考えられます。
歯肉マッサージ(ガムマッサージ)のタイミング
歯肉マッサージのタイミングは大きくわけて2つのタイミングがあると考えています。
1.メインテナンスの最後に行う
一番よく用いられ、快適なメインテナンスの付加価値として提供されている医院も増えてきています。
フッ化物塗布と歯肉マッサージでは、先に歯肉マッサージを行い、最後にフッ化物の塗布を行います。
メインテナンスでは、う蝕、歯周病の予防効果を期待して施術を行うため、あくまでも歯肉マッサージは補助的な施術と考え、順番をきめてください。
2.治療の待ち時間に行う
待ち時間を有効的に使い、コミュニケーションのきっかけにすることもタイミングの一つです。
患者さんをお待たせしないことが前提ですが、治療によりお待たせする時間がある場合は、コミュニケーションのきっかけとしてマッサージを行う場合もあります。
あくまでも治療が優先されますので、治療の進行や状態に十分に注意することが大切です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
まず、前提として、歯肉マッサージはう蝕や歯周病の予防効果は得られないことを理解してください。
唾液量の増加やリラックス効果も期待ができますので、心地良い施術を提供することで、患者さんの来院の動機付けや歯科のイメージの変化を目的にマッサージを行っていくと良いでしょう。
DHマネジメント協会 塚本千草