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2017年3月30日(木)

虫歯リスクを減らす甘味の適正摂取方法とは?

甘味の摂取方法と虫歯のコントロールは、切っても切れない関係にあります。虫歯予防で大切なのは、甘味摂取量の制限よりも甘味摂取方法の工夫です。今回は、虫歯予防につながる甘味の適正摂取方法と、併せて行うと効果的な予防処置についてご紹介しましょう。

■目次:
1.砂糖摂取量と虫歯のなりやすさは単純に相関しない
2.虫歯は「細菌数」「糖質」「歯質」「時間」の4つがそろって発症する
3.甘味は摂取量よりも摂取頻度の方が虫歯の発生に深く関わっている
4.虫歯減少のために甘味の摂取制限以外を考えたい
5.虫歯減少のために甘味制限以外に歯科医ができること

  • 予防歯科
  • 口腔ケア
虫歯リスクを減らす甘味の適正摂取方法とは?

1.砂糖摂取量と虫歯のなりやすさは単純に相関しない

一般に、砂糖摂取量と虫歯の発生は密接に関係していると認識されています。

WHO(世界保健機構)が2014年3月5日に発表した新たなガイドラインの草案では「1日に摂取する糖類を、総エネルギー摂取量の5%未満に抑えるべき」とされています(※1)。

これは平均的な体格指数(BMI)の成人で1日当たり約25g、小さじ6杯分の砂糖に相当する量です。

 

けれども、加工食品などに含まれる糖類は思いの外多いものです。

大サジ1杯分のケチャップには糖類が約4g(小サジ1杯分)が含まれ、清涼飲料1缶には最大で糖類が約40g(小サジ10杯分)含まれるという具合に、

目標摂取量を上回る砂糖を摂取している人は少なくありません(※2)。

 

では、砂糖の摂取量が増加すれば単純に虫歯も増えるかというと、実際はそうではないことを歯科医療者は知っています。

 

2.虫歯は「細菌数」「糖質」「歯質」「時間」の4つがそろって発症する

虫歯はご存知の通り、ミュータンス菌という菌が口の中の糖類を原料に歯の表面にプラークを形成し、そこから持続的に分泌される酸によって歯が溶けることで発生します。

つまりいくら砂糖をはじめとする糖類をたくさん摂取しても、ミュータンス菌がいなければ虫歯になることはありません。

 

また、たとえミュータンス菌が多くても、長時間口の中に食べかすやプラークが残らないように歯の清掃を行うことや、歯のフッ素塗布やシーラントなどの歯科での予防処置、キシリトールなどのう蝕を誘発しない代用甘味料を取り入れることで、虫歯の発症をかなりコントロールすることができます。

 

また、虫歯をミュータンス菌による「細菌感染症」という視点で見ると、口腔内の細菌叢を望ましい状態に維持するために、普段から規則正しい生活や睡眠などの細菌叢に影響を与える環境因子にも目を向け、免疫力を低下させない生活をすることも大切でしょう。

 

3.甘味は摂取量よりも摂取頻度の方が虫歯の発生に深く関わっている

甘味といってもその形態はさまざまです。

同じ10gの砂糖を取るとしても、あめとジュースではその摂取形態は大きく異なります。

両者の違いはズバリ「口腔内停滞性」です。

研究結果によると、1日3回の食事の味付けに使用される程度の砂糖は虫歯を誘発しませんでした。

 

また、ジュースのように水溶液の形で取る砂糖は虫歯を誘発せず、反対にあめのような口腔内停滞性が高い糖質を多く含む食品を間食で取ると虫歯が多発したのです。

 

つまり、「砂糖は虫歯を誘発することは確かなものの、その摂取方法で虫歯の発生はかなり左右されている」ということになります(※3)。

 

4.虫歯減少のために甘味の摂取制限以外を考えたい

過去において、甘味の摂取回数に伴って平均虫歯数が増加するという報告がなされたので、甘味の摂取回数を減らす指導を行えば虫歯も減少すると考えられる傾向がありました。

しかし、日本において1歳6ヶ月歯科検診で甘味摂取の保健指導を受けた群と受けなかった群を比較したところ、甘味摂取回数に明らかな差はなかったのです。

 

保健指導を受けた群の子どもは受けなかった群の子どもに比べて、虫歯予防のためのフッ素塗布を受けた子どもが増加しました(※4)。

 

甘味は私たちの心と体をリラックスさせ、親しい人との団らんにも欠かせない「心の栄養」を与えてくれるものでもあります。

特に甘味を子どもたちから取り上げてしまうことは、心身の発達面からもできるだけ避けたいものです。

 

5.虫歯減少のために甘味制限以外に歯科医ができること

アメリカでは1960年から水道水にフッ素を添加し始めて以来、虫歯が激減しました。

また、虫歯になりやすい奥歯の溝をシーラントで埋めることにより、8歳児の虫歯が平均1本以下という成果を上げています(※5)。

 

やはり虫歯予防の効果を上げるには甘味の適正摂取指導以外にも、フッ素塗布やフッ素入り歯磨き剤の使用、シーラントやキシリトールなどの予防処置を組み合わせて定期的に口腔衛生管理をサポートするのが効果的なようです。

 参考までに日本歯科評論/Jun 1998,No.668の抜粋を掲載します。

 

・う蝕の発病には不溶性グルカン生成よりも酸産生の影響が大きい。不溶性グルカン合成の基質とはなりえない果糖が、砂糖と同程度のう蝕の発病が見られたことによる。

・1日3回の食事での酸産生は、う蝕発病とほとんど関係がなく、間食として取った場合の酸産生がう蝕発病に関係が大きい。

食生活の中で砂糖を 非う蝕誘発性甘味料(キシリトール)に置き換えると、う蝕は起こらない。これは酸産生によるエナメル質の脱灰と再石灰化のバランスがう蝕発病に大きく影響を及ぼしていることを示している。

・非う蝕誘発性甘味料(キシリトール)を使用したガムを1日3回食後に5分間噛むことを継続することによって、う蝕発病は60%程度抑制される。

・非う蝕誘発性甘味料(キシリトール)は、初期う蝕病変をもつエナメル質の再石灰化を増強する。

 

まとめ

甘味の過剰摂取は虫歯以外にもさまざまな生活習慣病の原因となるので、適正な摂取量を意識する必要があります。

けれども、虫歯は複数の原因が組み合わさって起こる多因子疾患です。

甘味の摂取方法の工夫と虫歯予防の処置を組み合わせた口腔ケアが、虫歯予防を成功させるポイントです。

 

■参考文献:

※1:WHO opens public consultation on draft sugars guideline http://www.who.int/mediacentre/news/notes/2014/consultation-sugar-guideline/en/

※2:「砂糖は1日に小さじ6杯まで」WHOが新ガイドライン策定へ

http://www.dm-net.co.jp/calendar/2014/021465.php

※3 :The Vipeholm Dental Caries Study: Recollections and Reflections 50 Years Later http://www.foa.unesp.br/include/arquivos/foa/pos/files/prevencao-de-cariethe-vipeholm-dental-caries-study.pdf.

※4:3歳児虫歯罹患状況に関わる多様因分析および歯科保健指導の効果に関する研究

口腔衛生会誌,37;261-272,1987… ,佐久間汐子,瀧口徹,八木稔ほか.

※5:アメリカの「虫歯と砂糖」事情http://www.sugar.or.jp/health/0303.shtml

日本歯科評論/Jun 1998,No.668

 

 

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