【ニュース】口腔カンジダの治療で注意、フロリードゲルがワーファリンと併用禁忌に
ワーファリンの特性
2016年10月18日、ワルファリンカリウム(ワーファリン等)とアゾール系抗真菌薬ミコナゾール(製品名:フロリード)の添付文書が改定され、この二剤が併用禁忌となりました。
また、ミコナゾール以外のアゾール系抗真菌薬については、ワーファリンが慎重投与となりました。
既にご存知の通り、ワーファリンは、抗凝固作用を持つ薬剤で、高齢化が進む現在、多くの患者さんに処方されています。
近年では、新規抗凝固薬(製品名:エリキュース、プラザキサ、イグザレルト、リクシアナ)が発売となり、少しずつ処方量は減ってきているものの、まだ大きなシェアを持っている薬剤です。
ワーファリンは薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP)で代謝される性質がありますが、アゾール系抗真菌薬はCYP代謝を阻害します。
そのため、併用するとワーファリンの抗凝固作用が強く出てしまい、重篤な出血等の副作用が生じるケースがあるのです。
改定の背景
ミコナゾールとワルファリンカリウム(以下、ワルファリン)との相互作用に関しては、従来から、ミコナゾール(ゲル剤・注射剤)の添付文書の「慎重投与」、「重要な基本的注意」「併用注意」として記載をされていました。
しかし、慎重なモニタリングを行った場合でも、過去3年間でミコナゾールとワーファリンを併用した症例の中で、41例(うち、因果関係が否定できない症例が31 例、そのうち2 例は承認用法用量外の症例)で出血の副作用が報告されました。
そのため、今回の改定となったのです。
代替薬について
ワーファリンを投与されている患者さんで口腔カンジダの治療を行いたい場合、相互作用を避けるという観点で見れば、ファンギゾンシロップ®が最も適切かもしれません。
ワーファリンは薬物相互作用が非常に多い上、有効かつ安全に作用する血中濃度が非常に狭い薬剤です。
以前は、ミコナゾールは、フロリードゲル®のようなゲル製剤であれば吸収はほとんど無視できるレベルと考えられていたこともありました。
しかし、実際にはフロリードゲルの併用によって、ワーファリンの作用が増強されたという報告が複数されています。
ぜひ、薬を処方する際には添付文書に目を通し、適切な処方をしていきましょう。
関連情報
厚生労働省医薬・生活衛生局安全対策課長:ワルファリンカリウム及びアゾール系抗真菌剤(経口剤・注射剤)の「使用上の注意」改訂の周知について(依頼)(平成28年10月18日薬生安発1018第4号)