インターディシプリナリーアプローチとは?土屋賢司先生インタビュー
土屋先生が、いつも治療を行うときに参考にしている書籍や論文などはありますか?
私が最も参考にしている本はリチャード・ロブリー先生というアメリカの矯正歯科医が書いた『Interdisciplinary Dentofacial Therapy』という書籍です。(注:現在は絶版)
この本には、私が重視している「インターディシプリナリーアプローチ(Interdisciplinary Approach)」の基本が詰まっています。
写真)土屋先生からお借りした書籍
インターディシプリナリーアプローチとは各分野の専門家がチームを作り、それぞれの知見を集め、ディスカッションを行いながら、1つのゴールに向かって協力していく方法です。この方法を取ることにより、自分の専門外の問題が含まれる複雑な症例に対しても、包括的な治療を行っていくことが可能となります。
専門家がチームを作って治療をするのが、インターディシプリナリーアプローチなのですね?
厳密に言うと少し違います。
インターディシプリナリーアプローチと似た言葉に、「マルチディシプリナリーアプローチ(Multidisciplinary Approach)」という言葉があります。
これはそれぞれの専門家がチームを作って治療にあたるという点ではインターディシプリナリー アプローチと同様なのです。
しかし、各専門家はそれぞれ独自に治療ゴールを設定し治療を行うため、全体の治療計画の中で自分が行っている治療はどのような目的で行われているものなのか、意識することがありません。
そのため、時に専門医同士が対立したり、本当に患者さんの利益になる治療が出来なかったりすることがあるのです。
専門医がチームを作るというだけでなく、チーム全員がディスカッションを行い、共通の治療ゴールへ向かって尽力するということがインターディシプリナリーアプローチのポイントです。
インターディシプリナリーアプローチについて、もう少し詳しく教えてください。
インターディシプリナリーアプローチは4つのステップに分かれます。
① 審査・診断 ②治療計画の作成 ③治療 ④メインテナンス の4つです。
また、審査・診断に入る前に、そもそもインターディシプリナリーアプローチによる治療が必要かどうかを判断することが必要です。
痛みへの対処といった緊急の治療も、必要があればこの時に行います。
図)インターディスプリナリーアプローチに入るまでのフロー
このステップのうち、やはり最初の審査・診断のステップが非常に重要です。
この審査・診断のステップにおいては、インターディシプリナリーチームのリーダーを中心に、チームの専門家達の知見を集約して、患者さんの口腔内における問題点をリストアップします。
その上で、治療計画を立案し、実際の治療へと入っていくのです。
そのため、この審査・診断のステップが適切に行われなければ、その後の治療も適切に行えないということになります。
インターディスプリナリーチームのリーダーは、患者さんの主訴や既往歴をよくヒアリングし、診断の記録をつけることが必要です。
これにより、患者さんの口腔内における問題点のリストを充実させ、適切な治療を行うことができるようになります。
ありがとうございました!
土屋賢司先生は、12月17日(土)に行われるオーラルケア・フォーラム2016で、インターディスプリナリーアプローチにおける審査・診断のステップについて詳しくご講演を頂きます。
実際の症例を用いて、どのように治療計画を立てていくのか、そのためにはどのような審査が必要なのかという内容をお話頂く予定です。
ぜひこの機会に、土屋先生の治療の根幹となる考え方について、学んでみてください。
お申込みは下記リンクから。
オーラルケアフォーラム2016
開催概要
日時:2016年12月17日(土) 13時~16時30分
会場:東京医科歯科大学M&Dタワー 2階講堂
講師:
東京医科歯科大学 生体支持組織学講座 歯周病学分野 和泉 雄一 教授
東京歯科大学 口腔顔面外科学講座 柴原 孝彦 教授
昭和大学歯学部 歯科補綴学講座 馬場 一美 教授
日本大学歯学部 保存修復学教室 宮崎 真至 教授
土屋歯科クリニック&works 院長 土屋 賢司 先生