歯周組織再生療法 periodontal tissue regenerative therapyとは【歯科用語コラム】
歯周組織再生療法とは
―骨や歯肉など、欠損した歯周組織を再生し、歯の支持構造や審美性を回復する治療法。
近年、医療分野において、iPS細胞に代表されるような、再生療法に注目が集まっています。歯科分野では、特に歯周治療において発展し、2016年のリグロスの保険認可など、臨床の現場へも浸透しています。
歯周炎の進行に伴って起こる歯周組織の破壊に対し、健常な歯周組織を再生するための試行錯誤の歴史は1900年代より始まりました。
歯周外科処置の後、歯根表面に歯根膜由来細胞が到達・増殖した場合のみ歯周組織は再生する、というMelcherの仮説を元に、1982年Nymanらは人の歯周組織で新付着を獲得することに成功しました。
以来歯周組織再生療法は、骨欠損部における上皮の排除(Bone Denudation Technique、Coronally Positioned Flap、GTR)、骨欠損部による骨移植(人工骨など、他家骨、自家骨など)、そして成長因子(FGF、PDGFなど)の応用へと、日々進化を遂げています。
さらに近年、エナメルマトリックスデリバティブ:EMDや線維芽細胞増殖因子:bFGFを用いることで、血管や骨の新生を薬剤で誘導することも可能となり、患者への外科的侵襲の減少:Minimum Invasive Treatment や、従来抜歯を選択せざるを得なかった歯の保存を可能にしています。
歯周組織再生療法に関連する動画を観る
こちらは、歯周病ではなく、咬合性外傷による重篤な骨吸収、歯肉退縮を伴う下顎前歯に対する症例をご紹介いただきました。
実際の症例を見ながら診断、再生療法の適応、歯周外科治療の術式を学ぶことができます。
条件的に完全な回復が難しいと考えられた症例に対して、歯周組織再生療法、根面被覆術による保存的選択に奏功した症例を、2動画にわたり解説いただきました。
#1の動画では咬合性外傷による歯肉退縮に対する診断と、初期治療として行ったことが論文と共に紹介されています。
#2では軟組織の環境改善のため角化歯肉の確保、軟組織厚みの増大、血餅安定性の向上のために行った遊離歯肉移植術、結合組織移植術の術式を動画で学ぶことができます。