顎運動データを応用し咬合再構成を行った症例の解説〜実症例に学ぶ顎運動分析〜 #2
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74歳女性、咬合不正と顎関節雑音を主訴に来院されました。
口腔内は一見すると咬合に大きな問題はなさそうです。
しかし、チンポイント変法で咬合を誘導すると臼歯部に咬合離解が生じました。
これらを如何にして解決していったのでしょうか。
セファロ分析やCT撮影から、補綴物再製の繰り返しにより、臼歯部の咬合高径の低下によって顎関節症状が生じたと考えられます。
咬合高径が低下している場合、胸鎖乳突筋の過活動が生じるとこれまでの研究で報告されています。
また、静的診査に加えて、デジタルJAWシステムである[Zebris WINJAWシステム]による顎運動の動的診査を加えるとより問題点が明確になります。
これらによって炙り出された問題点に対して、治療計画を考えていきます。
治療計画を立てる時に、2つのことが重要になります。
「顆頭安定位の模索とそれをもとにしたプロビジョナルレストレーションの作成」です。
顆頭安定位を模索するとき、患者主導の獲得を行うことが望ましいです。
今回は、テンポラリーレストレーションとして前歯部を含めたオーバーオールスプリントを用いました。
これにより筋痛の改善が図れ、顎関節の位置の改善を認めました。
また、動的診査でも下顎頭の左右の均一性も確認できたため、顆頭の安定が獲得できました。
その後より具体的な治療計画をたて、プロビジョナルレストレーションを作成します。
プロビジョナルレストレーションを作成する上で大切なのが、習癖による後戻りを咬合によって阻止することです。
術前とプロビジョナルレストレーション後のセファロ分析で非常に僅かではありますが下顎が後下方に回転しています。
僅かな差ではありますが、これが重要であり、これらの改善にはZebrisによる動的データの採取が欠かせません。
Zebrisの分析では経路の再現性を確認して、改善しているかどうかを判断します。
静的・動的診査に加えて、患者様の状態、感覚を取り入れ、ファイナルの補綴物に移行します。
最終補綴物装着後、顎運動の改善や患者様の訴えも改善され良好な結果が得られました。
顎運動をデジタル化し、分析することで様々な恩恵を受けることができます。
また、咬合再構成を必要とする患者様は多くいます。
Eichnerの分類を参考にするなど基準は様々ですがニーズがあることには違いありません。
馴染みの薄い顎運動を如何に臨床に応用できるか実症例をもとに参考にしてみましょう。
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