治療計画を立てる上で考慮すべきポイント、診査・診断・治療計画から予知性の高い補綴治療の実際| 炎症と力のコントロールを考慮した予知性の高い咬合機能回復治療 #2
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まず皆さまは、患者さんから「この歯はあと何年もちますか?」と質問されたことはないでしょうか。
この問いに対する答えは非常に難しく、多くの歯科医師が悩むところです。予後判定に関与する臨床的パラメータとしては、歯周ポケットの深さ、根分岐部病変、喫煙歴などが挙げられます。これらの要因が歯の寿命に大きく影響します。
関連するケースとして、神山先生より症例をご供覧いただきます。
64歳女性のケースです。前歯の治療を希望されましたが、咬合に問題がありました。
歯周病新分類に基づき、こちらの患者さんはステージIV、グレードCに該当し、口腔機能回復治療が必要と判断されました。
治療計画としては、上顎前歯部の再生療法、限局的な矯正(LOT)、全体的な歯周補綴を組み合わせました。診査の段階で間違いがあれば、治療結果の予知性や永続性は得られません。プロビジョナルレストレーションの変化も考慮し、治療を進められました。
また、二次性咬合性外傷への対応も重要です。
本症例の患者さんは「Increasing mobility」に該当すると考え、連結・固定を検討されました。
連結・固定の範囲を決定し、安定した咬合を作り上げました。
最終補綴物をセットした結果、患者さんは非常に喜ばれ、咬合の安定性が確認されました。
続いて、46歳女性のケースです。大きな歯列不正と歯肉の腫脹が見られます。
こちらの患者さんは、喫煙歴はありませんが、歯周病新分類ではステージIV、グレードCとなり、歯周病が著しく進行している状態でした。
咬合機能が崩壊しているケースとなり、LOTや再生療法を行う治療計画を立てられましたが、こちらは患者さんの希望により受け入れられず、最初は歯周基本治療から開始されました。
しかしながら、丁寧な歯周基本治療を行ったことで、患者さんが病態の現状について理解され、当初の治療計画へご理解をいただけました。
そこで、矯正治療を行いながら、再生療法を行っていく方針に切り替え、捕獲的な全顎治療をスタートされました。
具体的な治療内容については、動画を御覧ください。
以上のように、炎症と力のコントロールが非常に重要です。炎症のコントロールには、安定した歯槽骨形態と十分な付着歯肉が必要です。
力のコントロールには、安定した咬頭嵌合位と適切なガイダンスが求められます。これにより、補綴物の永続性が初めて得られるのです。
最後に、神山先生より、来年の第43回 日本顎咬合学会 学術大会のご紹介を頂いております。
次回は2025年6月7日と8日に東京国際フォーラムで開催されますので、皆様、ぜひご参加くださいませ。本動画では、患者様のQOLを向上させる神山先生の素晴らしい治療内容をご解説いただきました。
動画をご視聴いただき、皆様の臨床におけるご参考になりましたら幸いです。
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