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- 00:00 〜 イントロダクション:講演者の紹介と歯髄保存療法の重要性
- 02:12 〜 歯髄保存が重要な理由:歯根破折リスク低減の観点から
- 05:06 〜 感染がない歯髄は治癒するポテンシャルがある原則
- 09:07 〜 う蝕による露髄と歯髄炎の新しい理解:負のスパイラル理論の誤り
- 15:06 〜 感染歯髄の見極め方:拡大視野下での観察と連続性の確認
- 24:28 〜 歯髄の出血に関する考察:出血量と止血時間の臨床的意義
- 27:23 〜 感染を見極めるためには、歯髄をよく観察する
- 27:38 〜 出血は基準となるか?
- 38:42 〜 臨床症状を基にした歯髄保存の判断
- 44:58 〜 臨床症状は基準となるか?
- 47:00 〜 直接覆髄の成功率に影響する要因
- 53:00 〜 2回法による歯髄保存療法:待機期間を設けることの利点
- 1:02:00 〜 判断に迷う場合は2回法VPTを選択する
- 1:06:00 〜 歯髄保存が可能でだった症例の解説
- 1:08:58 〜 歯髄保存が一部可能であった症例の解説
- 1:12:00 〜 歯髄保存が不可能でだった臨床症例の解説
- 1:20:00 〜 2回法VPTのメリットとMTA適用の実際
- 1:28:00 〜 まとめと結論
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この講演では、わしの歯科クリニックの鷲野崇先生が歯髄保存療法(VPT)について詳しく解説しています。
テーマは、歯を長期保存するために歯髄を保存することの重要性とその臨床的実践方法にあります。
まず、歯髄保存が重要である理由として、失活歯の歯根破折リスクが高まることが挙げられています。
根管治療による象牙質の削合や歯髄の喪失によって歯の感覚機能が低下し、過剰な咬合力に対する警告システムが失われることで、長期的に破折リスクが高まることが説明されました。
次に、「感染がない歯髄は治癒する」という基本原則が、S.Kakehashi先生のラット実験や外傷症例を通じて解説されます。
従来のう蝕が歯髄に達した場合は必ず抜髄が必要という考え方ではなく、感染している部分のみを除去して緊密に封鎖すれば歯髄を保存できる可能性が高いことが示されています。
歯髄の感染を見極める方法として、マイクロスコープ下での観察の重要性が強調されています。
特に泉英之先生の提唱する「歯髄組織が根管壁から離れているかどうか」という判断基準が、講演者にとって最も信頼性の高い指標であると述べられています。最新の研究によれば、歯髄が根管壁から離れて見える場合、その部分は感染壊死している可能性が高く、連続性が保たれている場合は保存可能な歯髄である可能性が高いことが示されています。
歯髄の出血に関する考察では、出血量や止血時間だけで判断することの限界が指摘されています。出血が多い場合は炎症が強いことを示し、出血が全くない場合は壊死している可能性が高いですが、それだけで単純に判断することはできません。
同様に、臨床症状(自発痛、打診痛、EPT反応)についても、参考にはなるが絶対的な判断基準とはならないことが、研究データの詳細な解釈を通じて説明されています。
講演の後半では、2回法による歯髄保存療法の実践的アプローチが紹介されています。
これは、初回治療時に感染した歯髄を可及的に除去し、水酸化カルシウム製剤(MTA)を貼薬して緊密に仮封した後、再来院時に歯髄の状態を再評価する方法です。
この方法の利点として、診断の精度向上、術後痛の軽減、そして臨床判断力の向上が挙げられています。
複数の臨床症例を通じて、歯髄保存が可能だったケースと不可能だったケースが比較され、術前の臨床症状や観察所見から歯髄保存の可否をどのように判断するかが具体的に示されています。
特に、マイクロスコープを用いた歯髄の観察と、2回法による経過観察の組み合わせが、歯髄保存治療の成功率を高める重要な要素であることが強調されています。
最後に、MTAを用いた断髄の実際の手順が動画で示され、歯髄保存に関する知識を深めるためには泉先生の著書や講演が大変参考になるとの紹介で講演が締めくくられています。【こんな先生におすすめ】
・VPT, 歯髄保存の可否判断でお悩みの歯科医師
・根管治療を最小限に抑えたMI治療で、患者様の歯を長期保存したい臨床医
・マイクロスコープを活用した精密治療を行う歯科医師
【学べること】
・歯髄保存の原理と歯根破折リスク低減における重要性
・マイクロスコープを用いた感染歯髄と健全歯髄の見分け方
(歯髄組織の根管壁からの連続性)
・2回法による歯髄保存療法(VPT)の実践的アプローチと臨床判断の精度向上法
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