本セミナーでは、松田先生の臨床動画で「開かない根管」の正体を様々見ていただき、各具体的対応法を「かかりつけ医」目線で解説していきます。 「開かない」根管に遭遇しても自分の力で、より多くの症例を解決・対応できるような知識を学ぶことが出来ます。
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今回は「開かない根管」の考え方と対処法について、松田先生より講義を行っていただきました。
主にかかりつけ医の目線から、現場でのはどのように対応しているのか、動画を用いて分かりやすく解説いただきました。
日々の臨床で、根管治療がうまくいかず悩みを抱えている先生方も多いのではないでしょうか。
穿通、根管形成洗浄、偶発症などさまざまな問題がありますが、今回は「穿通(開かない問題)」をテーマに解説いただきました。
根管治療において、根管が「開かない」ことは日常茶飯事であり全体の約8割を占めているほどです。
根管が開かないことは切実な問題でありますが、松田先生は「開く、根管形成完了=治癒」ではないと述べられました。
穿通(開く)とは根管形成を行うためのきっかけ作りに過ぎず、穿通が治療の目的であってはならないことが分かりました。
しかし、根管形成を行うことで感染源除去など治癒に向けて大きなきっかとなるため、大切なステップであることも忘れてはいけません。
また、歯内療法では治療ステップがたくさんありますが「診査・診断」が最も重要なステップであると解説いただきました。
その後に髄室開拡や根管口探索などがありますが、今回は根管口探索から穿通までの特化した講義を行っていただきました。
穿通させる・させない、穿通の定義、作業長の設定など、考え方は先生ごとに異なるため、本講義の「定義」を統一いただきました。
今回の「開かない根管」の定義は「本来の根管・全ての根管に対し、普段の自分が設定する作業長まで器具が到達しない」こととします。
開かない根管として、それぞれ以下のような分類分けをされました。
1型:開ける必要のない(開かない)根管
2型:根管口から根管中央の問題
3型:根管下部の問題
4型:本根管からの逸脱
5型:複雑な根管形態
4~5年にわたり臨床を行ってきた松田先生独自の分けで、以下よりそれぞれの詳しい解説をいただきました。
では最初に「1型:開ける必要のない根管」について解説をいただきます。
仮に石灰化根管があると想定し、その根管に根尖病変がなければ可能な限り開けないようにすると述べられました。
ここでは開けられそうな根管に絞ってしっかりと洗浄すると、開かなくても治癒することがあるとが分かります。 -
引き続き「2型:根管口から根管中央の問題」より解説を行っていただきました。
根管口が見つからなくて開かない場合は、エンド用探針としてレシプロックR12.5を使用していると述べられました。
#12.5(21mm)で細くコシがあるので非常に使いやすく、切削しながらの探索が可能であるとおすすめされました。
具体的な使い方について、症例写真と動画で解説いただきましたので、日々の臨床で試してみてはいかがでしょうか。
次に、根管口は見つかったけれど上部が狭窄してしまい器具が入っていかない症例について解説いただきました。
根管には内壁に小さな凹凸が存在することがあり、それらがファイルの進行を阻害してしまうと座屈の原因となってしまいます。
このような場合は、根管上部の拘束を解くと根尖側にファイルが容易に入るケースが多いと解説いただきました。
また、かなり狭窄しているケースでの対策方法について重要なポイントをまとめていただきましたので、ぜひご参考ください。
続いて、狭窄した根管口の開口量が少ない場合について解説いただきました。
根管口の触知と器具の挿入が非常に困難ですが、マイクロスコープなしの治療でも有効であると述べられました。
具体的な方法については、実際の治療を元に動画で分かりやすい解説をいただきましたのでぜひご確認ください。
その他、根管口付近が狭窄して開かない根管についても、使用する器具の紹介や動画での解説をいただきました。
続いて「MB2を開けないとMB1が洗浄できない症例」「根管口から狭窄している近心根管」「下顎大臼歯近心根」などの解説です。
それぞれイメージ画像や口腔内写真、デンタル、動画を用いて、どのように治療を行うのか分かりやすく解説いただきました。
これまで近心根を中心に解説いただきましたが、続いては遠心根を中心とした症例の解説です。
治療を完了させたと思っていても、案外すぐ隣に隠れた根管があるパターンが非常に多いと解説いただきました。
根管洗浄が終わっても症状が軽快しない場合は、未治療根管が残っている可能性を疑う必要があることが分かります。
続いて、下顎の小臼歯のパターンです。
根管形成・洗浄を終えたあとも違和感や痛みが続く場合は、舌側根の有無を疑う必要があります。
しかし、発見できたとしてもほとんどのケースで狭窄しており、どのように治療を進めるのかという問題が発生します。
ただし、舌側根に何かしらの徴候がある場合は、開けて形成・洗浄できるケースが多いと解説いただきました。 -
引き続き「3型:根管下部の問題」について解説いただきました。
ここまでは根管上部の開かない問題をテーマに解説いただきましたが、本講義では根管下部の解説をいただきました。
3型の中でも二つに分類分けし、それぞれの内容は以下の通りです。
A類:狭窄根管(「いわゆる開かない根管」と呼ばれるものか)
B類:根尖付近彎曲根管(レッジを作りかけている状態。プレカーブ探索で解決)
それぞれ分類分けされた開かない根管を探索する際に、松田先生が実際に使用している器具や方法を詳しく解説いただきました。
さらに、ファイルを挿入しても引っ掛かりがなくスティッキー感がない箇所を掘ると、それは偽根管である可能性が高いと述べられました。
次に「4型:本根管からの免脱」について解説いただきました。
5年前に松田先生の医院で治療をしたのち、昨年強い痛みを訴えて来院された患者さんの症例です。
多くの先生も悩んでいるであろう、本根管からの逸脱(レッジ)が強い痛みの原因だったようです。
内側の遠心の段差で器具が引っ掛かってしまうことが原因でレッジを作り、結果として「開かない」パターンは多いと解説いただきました。
松田先生に作成いただいた3Dモデルを用い、非常にイメージしやすい解説をいただきました。
続いて、開かない下顎の近心根「段差Y字型(※松田先生が命名)」について解説いただきmした。
すぐ隣に偽根管が存在している段差Y字型の根管は多いため、頭に入れながら治療を進めるだけでも大きく異なると述べられました。
段差Y字型の根管は、無理やり開けてしまうと治癒につながらないため、きちんと本根管を探索することが大切です。
超音波チップなどで探索する方法についても、分かりやすい動画で解説いただきました。
続いて「上顎大臼歯 M根根充材アンダー 2パターンのレッジを考える」について解説いただきました。
頬舌的レッジ・近遠心的レッジに分け、それぞれのパターンについて診査法や治療方法について詳しく述べられています。
治療方法については、動画で一連の流れを解説いただき、日々の臨床でイメージしやすい内容となっているでしょう。 -
引き続き「複雑な根管形態」について解説いただきました。
最初に、日常臨床でよく出会うパターンである「下顎左側6 円形の近心1根管?」を解説いただきます。
やはり下顎大臼歯の歯内療法は難しく、多くの先生方の頭を悩ませているのではないでしょうか。
例えば、下顎6番の近心根を髄室開口して根管口が円形に見えるパターンは、実は油断大敵な症例であります。
根管口から入り横に分岐しているケースが多く、ストレートラインアクセス形成を行うと隣に根管が見えるパターンです。
ミニマム形成で終わらせるのではなく、CT撮影などできちんと確認することが非常に大切であると解説いただきました。
また、根充材が根尖まで入っていても再発する場合には、未治療根管が関与している可能性も考えるとよいでしょう。
続いて「5型:上顎右側6 近心根 根尖病変」について解説いただきました。
CT像を見ると根管充填がしっかりと行われていることが確認できますが、近心根の周辺に大きな病変が認められます。
原因として、根管口は捉えているが、複雑なMB2であるケースが多いと解説いただきました。
根管の下部でMB2が分岐している場合は、ある程度の予想をつけてからマイクロスコープで探索することが大切であると述べられました。
本講義の内容を大まかにまとめると以下の通りです。
・根管治療の勝負のひとつ 未処置根管を開けること
・My opinionを行う
最後は、これまでの講義を通して疑問に感じた点を解決すべく、質疑応答の時間を設けております。
Q1.レシプロックR12.5のおすすめのトルクと回転数を教えてください
Q2.外科的歯内療法を選択する場合はありますか?
Q3.根管充填剤のBCは何を使っていますか?
今回は、松田先生に日々の臨床で活かせる講義を、有意義な内容で解説いただきました。
最後までご視聴いただきありがとうございました。
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