【開催報告】「️歯周組織再生療法:マイクロサージェリーによる進化(垂直性骨欠損編)」山口 文誉 先生クリニカル・カンファレンス
2020年5月14日20時から横浜市でご開業の山口 文誉 先生による歯周組織再生療法に関するセミナーが開催されました。
テーマは「歯周組織再生療法:マイクロサージェリーによる進化(垂直性骨欠損編)」、平日夜にも関わらずたくさんの先生方にご視聴いただきました。
セミナーの概要
マイクロサージェリーにより歯周組織再生療法の成功率は劇的に向上した。さらに拡大視野により低侵襲なフラップデザインも色々提案されMIST、M-MISTに留まらず歯間乳頭部を切断しないフラップデザインなども紹介されてきている。
今回は歯周組織再生療法の最適応症となる『垂直性骨欠損』にフォーカスし2部構成で発表したいと思う。前半はマイクロサージェリーにより進化してきたフラップデザインの変遷および各フラップデザインの適応症・利点・欠点について、後半は『MIST(Minimally Invasive surgical technique)』を例に、器具の紹介・切開から縫合までの一連の術式における注意点や勘所・当院での術前術後管理メンテナンスまで細かくお伝えしていただきました。
この動画は5/15(金)から5/29(金)まで振り返り視聴期間を設けております。
それ以降は一度公開停止となり、編集後スペシャル動画として公開予定です。
今回のご講演の内容を少し紹介いたします。
垂直性骨欠損をもつ歯の長期予後
骨欠損のタイプは、水平性、垂直性、様々なタイプがあります。
ですが山口先生はまず、その中でも深い垂直性骨欠損をもつ歯は何もしていなければ10年で約7割が脱落してしまうという論文データを示します。
そのため垂直性骨欠損がある歯を維持できるように整えることの重要性を示しました。
歯周治療とは、「歯を長期に渡って残すこと」が目的。
歯周組織再生療法は、その環境を整える、ということである。
歯周組織再生療法
技術の発展、特にマイクロスコープの登場で、フラップデザインは大きく変わっていきました。歯間乳頭の初期閉鎖も1990年には73%しか得られませんでしたが現在では95%が可能です。
どんどん変化し、歯根端切除に行うような切開線:NIPSAも2018年に誕生します。より効率の良い血液供給が可能になりました。
マイクロサージェリーによって可能になった低侵襲のフラップデザインは、血液供給が可能になり、血餅の安定に繋がります。最近の研究では、血餅の効果で自発的に再生を促せるかもしれないとまで言われています。
ただただいいと言われている切開線を闇雲に行えばいいという訳ではありません。血液供給と切開線の関係性など、
血液の走行をし、その症例にあった”Primary closure"が得られる方法を丁寧に解説してくださいました。
ただ、低侵襲であるということは見えない部分が存在してしまうということにも繋がります。骨欠損が舌側に及ぶ場合は視覚的に捉えることは困難です。
必ずしも全てのデザインが全ての症例に適応できる訳ではありません。術前に必ずCT撮影を行い、骨欠損の位置・形状・大きさを十分考慮し診査する必要があると示しました。
症例:MIST
後半では、左上第二小臼歯の2壁性骨欠損症例での解説です。
歯周基本治療から、メンテナンスまでの流れに沿って、それぞれ疑問になりそうなポイント・わかりにくい術式を丁寧にご説明してくださいました。
論文データから導き出した最も有効な再評価の時期:3ヶ月後に再評価を行いました。
歯周基本治療も終わり、いよいよマイクロサージェリーです。
山口先生は2名のアシスタントと術前のミーティングはどんな外科処置にも必ず行なっているそうです。
各評価も全て記録しており、徹底した準備により効率の良い施術を可能にしています。
マイクロサージェリー
部位ごとのポジショニングからマイクロスコープの倍率、頬舌的な血液供給がより可能になる切開線の設定方法、
実際に使用しているインストゥルメントを全てご説明してくださり、
それぞれの術式のポイントを、動画を用いて丁寧に、丁寧にご説明してくださいました。
こちらが術後のレントゲンです。
術後も小まめに来院してただき、徹底したプラークコントロールを行なっています。
難易度の高い内容を誰もが理解できるように噛み砕いているご講演でした。
最後はクレーターについても軽く触れていただきましたが、骨分岐部病変の場合は・・など他の病態についても聴きたくなるような内容です。
動画は振り返り視聴として5/29(金)までプレミアム会員は1000円、通常会員は5000円(*各税別)でご覧いただけます。
動画をみる
※振り返り視聴後は編集し、スペシャル動画として夏頃に公開予定です。
受講者の声
とても分かりやすかったです。実際のポジショニングや使用器具、マイクロでの視野範囲などすごく分かりやすく参考になりました。
ありがとうございます。
画像がとてもきれいで、内容もとてもわかりやすかったです。
痒いところに手が届くような非常にかみ砕いたセミナーで理解が深まりました。根分岐部のセミナーも期待します。
見やすいシェーマと動画で整理されており、ここ最近のセミナーの中で一番よかったと思えるほどです。復習としてクインテッセンス2019年も読ませていただき、さらに理解が深まりました。また、スタッフとのミーティングや症例の記録方法も大変参考になりました。
症例動画、多数の文献、臨床におけるアドバイス等豊富な情報を踏まえた講演を視聴でき大満足でした。根分岐部の講演も楽しみにしております。この度はありがとうございました。