デンタルバイオロジー~歯科衛生士に伝えたいライフステージに応じた対応~参加レポート
2021年4月11日 デンタルバイオロジー~歯科衛生士に伝えたいライフステージに応じた対応~と題して、LIVEセミナーが行われました。
第1部:一生健康であり続けるための基盤づくり〜小児からの口腔衛生指導と全身疾患との関わり〜
仲野和彦先生
仲野先生には
①齲蝕と歯周病の基本知識の整理、口腔細菌と全身疾患との関わり
②小児期からの口腔衛生指導
③大阪大学歯学部附属病院小児歯科におけるコンクールF・ジェルコートFの応用例
以上3点についてご講演頂きました。
齲蝕・歯周病共に、菌は幼児期に養育者から伝播します。
菌の伝播・定着、その後の齲蝕と歯周病の発生の抑制という観点において、
3歳未満・小学校就学前・小学生・中学生の4つのステージに分け、各ステージに対応したアプローチが重要であり、本セミナー内ではそれぞれ詳しく解説して頂きました。
小児の齲蝕については、齲蝕の発生と進行のメカニズムを理解し、養育者に対して分かりやすく説明し理解してもらうことが大切と訴えられました。
そして、菌・砂糖・歯質 それぞれにアプローチして発生・進行を抑制しなくてはなりません。
小児の歯周炎については、全身疾患と関連があることが多い為、関連する全身疾患への知識が求められます。
歯肉炎から歯周炎に移行する思春期頃に阻止することが重要であると訴えられました。
講演の最後には、コンクールF・ジェルコートFについての検証データを元に、実際の臨床現場での経験を踏まえた効果的な応用法について解説して頂きました。
小児に限らず大人にも対応可能であり、明日の診療に活かせる内容です。
第2部:ハイジニストワークを極める!完治しない歯周病との向き合い方 効果が実感できる・結果が出せるSRP
天野敦雄先生
天野先生には
①豹変するバイオフィルム
②バイオフィルムの管理法
③歯周治療のバイオロジー
④信頼が生まれる患者指導
⑤Weltec マウスリンス・マウスジェル
以上5点についてご講演頂きました。
まずは歯周病の病因について詳しく解説して頂きました。
歯周病はバイオフィルムが低病原性の状態から高病原性に豹変することにより引き起こされます。
歯周病治療の目標はバイオフィルムと歯周組織のバランスを保つことであると述べられました。
バイオフィルムの豹変を防止するには日々の口腔ケアが重要です。
バイオフィルムの病原性を見分け、病原性に合ったブラッシング指導が求められます。
症例写真を元に、病原性の見分け方についても解説して頂きました。
講演後半では、縁下歯石を取り残さずに楽に除去できる「あまの式」SRPについてお話し頂きました。
動画を使いながら、とても分かりやすく解説して頂きました。
歯周病治療には患者さんとの信頼関係が必要不可欠です。
信頼関係の構築には、病状を納得させる説明力と結果を残せる技術が重要と述べられました。
患者さんと二人三脚で歯周病治療を行っていくという意識が重要です。
最後に、口腔乾燥症に対するコンクールマウスリンス・マウスジェルの応用法について解説して頂きました。
口腔内の状態や使用目的に応じての使い分け方をお話し頂きました。
講演後にはウエルテック株式会社 歯科衛生士 三矢真輝子さんより、コンクールFについて製品紹介をして頂きました。
配合成分や使用上の注意点、有効な使用方法について解説して頂きました。
第3部:質疑応答
仲野先生には、乳歯の齲蝕予防・混合歯列期の口腔衛生指導・保護者への指導・治療に非協力な子どもへの対応・子どもの歯ぎしりについての事前質問にお答え頂きました。
天野先生には、細菌叢について・歯肉退縮・根面齲蝕・抗生剤の限界についての事前質問にお答えいただきました。
また、当日にも沢山のご質問を頂き、時間の許す限り質問にお答えいただきました。