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【人気動画】改めて学ぼう小児歯科 乳歯のCR修復と根管治療

2021年8月23日(月)

今回は小児歯科専門医である若月宏之先生に小児の歯科疾患とその治療法について詳しくお話しいただいた動画のご紹介です。

小児の歯科診療は一般歯科医としては避けては通れないものですが、対応の難しさから苦手意識を持たれている先生も少なくないのではないでしょうか。
実際にどこまでの治療を行うべきなのかその線引きが難しいところですが、今回の動画では若月先生の豊富な経験のなかから日常的な小児歯科の治療に関しておさえるべきポイントをお話しいただいています。
基本的な部分からアドバンスな事項まで非常に示唆に富む内容となっていますので、日常臨床のアップデートに是非ご覧ください!

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【Part 1】小児の対応について

まずは若月先生の医院のご紹介があり、小児の歯科疾患がなぜしっかりと治療されないのかという本質的な部分についてディスカッションがあります。

治療が難航する理由

・いずれ生え変わる
・泣く、動く
・治療法がわからない

などが小児歯科の治療の難易度をあげる要因として挙げられています。
「乳歯なので」と日常臨床で簡単に扱ってしまうことはないでしょうか。
どうしても泣いて動いて治療ができないこともありますよね。
そもそも、乳歯の治療についてしっかりと体系的に学べる機会は少なく書籍も少ないのが現状です。

歯科医院での乳幼児

動画の初めのパートとして、その子が治療ができるのかどうか見極めるために何ができるかが紹介されています。
恐怖心を持った子供たちを泣かさないと構えるのではなくて「泣いてもいいよ」と迎えてあげる姿勢が大切なのだそうです。
また、患者の協力度などをみて「どこまで診るのか」を線引きする若月先生の基準も非常に参考になります。

非協力児を治療する際の「タオルネット法」についても紹介されており、従来のネットによる抑制との対比も興味深いです。
さらに声かけの方法やモニターの使い方など小児歯科ならではの仕組みは必見です。

修復前の乳歯

「痛くない麻酔」の実践方法についても紹介されています。
続いて防湿法、開口器の選択について語られますが、材料の選択の重要性を考えさせられると同時にひとつひとつのことが「こどもに優しく」考えられていることに驚きます。

乳歯のレントゲン画像

乳歯のCR修復についての説明部分ではCRが歯牙から脱離しにくくなるコツを教わることができます。
個人的には小さな隣接面カリエスのマネジメントについての説明がとても印象に残りました。
どの程度の深さなら経過観察とするのか、また経過観察時のサホライドの使用法は初めて聞いた内容で新鮮でした。
さらに経過観察の期間の決め方についてなど、なかなか教わることのできない内容まで語られています。

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【Part 2】乳歯のCR

ここでは進行してしまったカリエスを治療するにあたっての具体的な治療法が説明されます。
器具・器材の細かな紹介もされており非常に分かりやすいです。

乳歯CR修復の様子

切削器具からボンディング材、マトリックス、使用するレジンまで網羅されています。
隣接面カリエスを修復する際に同時にシーラントを行う方法なども紹介されており必見です。

乳歯CR修復の比較

乳歯においても解剖学的に正しく形態を回復するために、咬合面の形態の復習から実際に充填する際のインストラクションがあります。
Resin cone techniqueやスタンプテクニックなど、チェアータイムも短縮できて患者満足度も上げることができる方法が紹介されており有意義です。

カリエスが深かった場合に行う歯髄温存療法についても特に間接覆髄法の詳しい説明があります。
覆髄材の紹介では身近な材料で有用なものが示されており「そのような使い方もできるのか」と驚かされました。

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【Part 3】根管形成

乳歯の根管治療に関しては特に具体的な術式が載っている本が少なく、きっちりとしたスキルの習得の難しい分野だと思います。
機械的拡大もどこまで行えば良いのか、EMRもどのあたりまで信頼して使用できるのか…このパートではそんな臨床上の微妙な疑問にも若月先生なりの答えを示してくださいます。

乳歯根管治療にあたってのレントゲン画像

もちろん根管治療に必須のラバーダム装着やフロス結紮の方法についても解説があります。
小児患者さんのためにいかに時間を短く装着できるかを考えたラバーダムの方法を学ぶことができます。

根管部位ごとの使用器具

根管上部、根管中央部、根先部と分けてそれぞれに使用器具及び拡大方法の解説があります。
乳歯の解剖学的形態を考慮して効率よく拡大していく具体的なコツも伝えてくださいますので、すぐに実践できそうです。

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【Part 4】化学的清掃

機械的拡大のみでは複雑な根管形態を十分に清掃できないため、現在の根管治療では必ず化学的清掃との併用になります。乳歯においても相違はありませんが、どの薬剤を使うべきなのか?根管の調薬は?といろいろな疑問が浮かんできますよね。

ラバーダム使用の様子

筆者も日常臨床のなかで「乳歯も成人と同じように次亜塩素酸を使うべきなのだろうか」とか「いまさらだけどFCって本当に意味ある?」とかずっと疑問に思っていたことがありました。
今回の動画の中ではそれらの疑問についてもシンプルに答えが示されており、また自分の臨床を変えて行こうという気持ちを後押しされました。
また合わせて使用する超音波の器具についての説明もわかりやすかったです。

根管充填については若月先生ご自身での実験の様子も示され、どのように充填するのがよいかが具体的に説明されます。

乳臼歯の咬合面とレントゲン写真

実際に乳歯の根管充填はおざなりになっていることが多いのではないでしょうか。
乳歯においても的確に根管充填ができる方法を知れば明日から臨床が変わると思いました。
根管充填後の歯間修復についてはどこまでをCRで行うことができるか、どこからは乳歯冠のほうが良いか、その判断基準が説明されます。

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【Part 5】 RCT治療の流れ

最後のパートでは実際の乳歯の根管治療の流れが実際の術中写真と共にひと通り説明されます。
ここでもEMRの使い方や、より緊密に根管充填を行う方法など、実際に役立つ知識が多く紹介されます。

ラバーダム使用の様子2

その後の質疑応答のコーナーでは

・エナメル質形成不全への対応法
・隣接面へのサホライドの応用
・抜髄時の出血への対応
・チェアタイムのマネジメント

など臨床家なら誰もが気になるような質問が飛び交っていました。
総じて、若月先生の小児歯科治療に対する真摯な姿勢に学ぶことの多い動画でした。

動画を観る

最後に…

今回は小児歯科専門医・こどもの歯医者さん 院長の若月宏之先生に小児の口腔内疾患とその対応法について詳しくお話しいただきました。
なかなか教わることのできない小児臨床の勘所がエビデンスと共にわかりやすく解説されています。
小児の治療がうまくいくようになると、もっと臨床が楽しめるようになりそうですよね。

大切なポイントが多数動画の中では多数説明されていますので是非一度ご覧になってみてください。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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