オムニクロマは従来のCRと何が違う? -シェードのない世界へ ようこそ-
「シェードのない世界へ ようこそ!」のキャッチフレーズで登場した「オムニクロマ」。
オムニクロマが発売されてから1年が経過しました。現在、市場には単色で幅広い色調に適合するユニバーサルシェードのコンポジットレジンが登場するようになり、オムニクロマとこれらとの違いについて疑問を持たれる先生方も多くいらっしゃるかと思います。
そこで今回は、「オムニクロマ」のユニークな色調適合原理について、従来のコンポジットレジンとの比較をしながら説明したいと思います。
-従来のコンポジットレジンの場合- 光拡散性の応用による色調適合
従来のコンポジットレジンは「顔料」を添加してシェードを調整しています。さらに色調適合性を高めるため、たとえば、2016年の発売以来、多くの先生にご好評いただいているトクヤマデンタルの「エステライトユニバーサルフロー」は、光拡散性の技術を応用しています。また、近年登場しているユニバーサルシェードのコンポジットレジンも、光拡散性を利用しているものが多いようです。
光拡散性が高いと、下の写真のようにコンポジットレジンの中で光が拡散するため、辺縁部をぼやかす効果により窩洞のマージンラインが見えにくく、周囲の歯質と色がよくなじみます。
このように、高い光拡散性により周りの色調と調和する効果は、従来より「カメレオン効果」として知られています。
コンポジットレジンにおける光拡散性のイメージ
-オムニクロマの場合- 構造色の応用による色調適合
オムニクロマの製品コンセプトは「シェードのないコンポジットレジン」です。オムニクロマ自体が充填する窩洞の色調に同化します。オムニクロマの色調適合原理は、従来のコンポジットレジンとは全く異なるものです。
従来のコンポジットレジンは「顔料」を添加してシェードを調整しているのに対し、オムニクロマには顔料が含まれていません。顔料を使わず、構造色によって天然歯の色調を再現しています。
構造色とは、光の波長以下の微細構造による光の分光により発色する現象です。モルフォ蝶の美しい青色、シャボン玉や CD-ROM の記録面などの鮮やかな虹色も構造色によるものです。
オムニクロマフィラーは、歯の色調である赤色から黄色の構造色が出るよう、粒径260nmに制御されています。この粒子形状とサイズが精密にコントロールされたオムニクロマフィラーが微細構造を形成することで構造発色します。
オムニクロマの構造色
重要なのは構造色と加法混色の組み合わせ
顔料による混色は、三原色を混ぜれば混ぜるほど黒に近づく減法混色です。これは、絵の具や歯科用ティント(カラー)の色々な色を混ぜた経験からイメージしやすいと思います。この減法混色と光拡散性を応用した従来のコンポジットレジンの色調適合には限界がありました。
これに対し、構造発色のような光の混色は、光の三原色が混ざれば混ざるほど白に近づく加法混色です。白色に他の色をいくら混ぜても白いままです。
オムニクロマは、この加法混色の原理に従う光の混色を、歯質への色調適合に巧みに利用しているのです。
加法混色と減法混色の違い
例えば、A1シェードのような真っ白な窩洞にオムニクロマを充填した場合、歯質からの白色の反射光にオムニクロマの赤から黄色の構造色が混色されても、加法混色の原理で白いままです。そして、A4などの濃い色の歯にオムニクロマを充填した場合、歯質からの赤みや黄色みの強い反射光と構造色が混色されて、暗くなることなく鮮やかなA4の色に見えます。
オムニクロマの色調適合原理の模式図
「構造色」と共に、色が混ざり合っても暗くならない「加法混色」という性質。この2つの組み合わせによってオムニクロマは1本でVITA16色に同化する色調適合性を獲得しているのです。
※オムニクロマの構造色の技術の応用による色調適合については、前回までのコラムに詳しく掲載していますので、併せてご覧ください。
【製品紹介】シェードのないコンポジットレジン「オムニクロマ」
【製品紹介】シェードのないコンポジットレジン「オムニクロマ」ができるまで
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【資料請求先】
株式会社トクヤマデンタル(下記フォームをご利用ください)
歯科充填用コンポジットレジン(光硬化型) オムニクロマ
(管理医療機器)認証番号230AFBZX00049000
歯科充填用コンポジットレジン(光硬化型) オムニクロマフロー
(管理医療機器)認証番号 302AFBZX00087000