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本講義では、吹上みなみ歯科 院長の相宮秀俊先生より、パーシャルデンチャーの設計に関する診断と治療計画についてご解説をいただきました。
パーシャルデンチャーの設計には、骨格的診断、歯列診断、一歯単位の診断が重要です。歯の状態については、残存歯の位置や上下の噛み合わせ、欠損の形態とそのリスクを評価します。これにより、総合的な治療計画を立案するための基礎が形成されます。
具体的な診断方法としては、骨格的な模型診断が有効です。例えば、切歯乳頭の位置や、咬合平面に対する角度を測定することで、骨格的な問題を評価できます。
残存歯の位置関係や状態を評価するためには、パノラマレントゲン写真も有効です。
模型診査とパノラマレントゲン診査を組み合わせて使用することで、より正確な診断が可能となります。右下7番が近心に傾斜している場合や、左上6番が挺出している場合など、残存歯の位置関係を評価するために、パウンドラインを使用することもあります。また、残存歯の状態も考慮する必要があります。例えば、クラウンが装着されているかどうか、生活歯か失活歯か、歯周病の状態はどうか、などを評価します。
パーシャルデンチャーの設計と治療計画には、これらの検査と診断が非常に重要です。義歯の設計と治療方針を決定する際には、以下の点に注意が必要です。まず、中間欠損や有歯顎欠損の場合、フルクラムライン(義歯の支点となる線)を考慮してレストを配置することで、義歯にかかる負担を軽減します。
天然歯に対しては、垂直的な力を加えるように設計することが重要です。特に、支持と維持に関しては、アンダーカットの位置や量を考慮する必要があります。
症例によっては、インプラントを併用することでバーティカルストップを作り、支持に利用することも効果的です。
欠損形態を考慮した設計プロトコールは、歯科医師と歯科技工士の連携が重要です。支持に関しては、Kennedy分類やアイヒナーの分類を参考にし、レストの配置やガイドプレーンの角度設定などを考慮します。維持に関しては、アンダーカットや維持力、クラスプの選択などを考え、患者さんの状態に応じて調整します。
特に、ガイドプレーンの設定や、最大豊隆部のアンダーカットの位置は重要です。これにより、義歯の安定性と着脱のスムーズさが確保されます。また、天然歯のカットや形成は、エナメル質の範囲内で行い、象牙質の露出を最小限に抑えることが大切です。歯の長軸方向に力を加えるように設計し、義歯の安定性を高めます。
これらのポイントを踏まえた上で、ケースプレゼンを通して治療計画の立案、パーシャルデンチャーの設計を見ていきましょう。
具体的な内容については動画にてご覧ください。
パーシャルデンチャーの設計は、患者の個々の状況に応じて適切に行う必要があり、特に重要なのが、支持・把持・維持による力の分散です。将来的に欠損が拡大しないように、支持・把持・維持の要素を考慮し、修理が容易な設計を心がけ、長期間使用できる安定したパーシャルデンチャーを提供することが求められます。
本講義を通じて、パーシャルデンチャーの設計に関する理解が深まり、皆様の明日からの義歯臨床にお役立てていただければ幸いです。
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