#5 清掃困難補綴歯に対してFGGにて改善を試みた症例
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勝又先生の歯周困難補綴歯にFGGを行った症例について、谷口先生と小柳先生の3人でケースディスカッションを行います。
症例の患者様は58歳女性、右下奥歯に歯ブラシが当たると痛いことを主訴に来院されました。
デンタル10枚法では、歯槽硬線が明瞭で歯根膜腔の拡大もなく骨吸収は軽度でしたが、BOPが高かったためワンタフトでバス法などを指導しました。
BOPは改善したものの、右下6番の痛みが消えなかったためFGGのコンサルに進むことになりました。
角化歯肉が0ミリの部位もあったためFGG後CTGを行う計画にしました。
フラップにはメス15、15C、390を使用、粘膜が上がってこないようティースーチャーを使い移植するための歯肉を切除することにしたそうです。
この時点で幅15ミリ、厚さ1.5ミリ、高さ7ミリを考えてFGG採取をおこない、ドナーサイトには縫合後に歯周パックをして手術終了となりました。
ドナーサイトは食事の際に糸が取れたとのことですが、1週間後の治癒は良好で、2週間後には抜糸を行いました。
術後1ヵ月には角化歯肉もできたことが確認でき、2ヵ月後には腫れが引いた分、根分岐部が見えてきたことが気になったそうです。
術後3ヵ月では経過も良好で角化歯肉2ミリ以上、出血は6番頬側遠心のみで、ポケットも3m以下の再評価となりました。
勝又先生からフラップデザインについて遠心部にも縦切開を入れた方がいいのか質問がありました。
先生方お二人とも縦切開は入れるとの回答で、小柳先生は7番の近心隅角あたりに縦切開を考えるとのことでした。
谷口先生から血液供給は何を考えて判断したのか質問がありました。
壊死のリスクを考え縦切開は最低限にしたほうが良いのかと思い勝又先生は判断したとのことでした。
勝又先生からおすすめの器具について先生方に質問がありました。
谷口先生から、GDR用のピンセットがあると移植片を骨膜に縫い付けていくときに便利と教えて下さいました。
FGGを骨膜で縫合する時に深い位置に糸が入ってしまうこともあるので、吸収性の縫合糸があると術後の対応も楽になると小柳先生も教えて下さいました。
谷口先生から切開する時のメスも大きい範囲を切る時には、15Cの小さいメスよりも15のメスを使用した方が切開しやすいとのアドバイスがありました。
切開線を入れる際に15Cのメスではやりにくかったと、勝又先生も谷口先生のアドバイスに納得しています。
部分層弁を形成する際にどんどんメスで切ってしまうと、オトガイ孔があるので注意しなければいけないと小柳先生が仰っています。
勝又先生から術式の判断方法について質問がありました。
角化歯肉の獲得をすることが手術の目的にあって、遊離歯肉を縫い付けた時に作業スペースが減ることになるのでこの症例の場合ハサミで切除すると谷口先生は答えました。
切る時はハサミで切った方がいいのか勝又先生から質問です。
小柳先生からメスで切ると歯肉が逃げてしまい定まらないので、プライヤーで歯肉を把持してハサミでカットした方が正確に切れると返答がありました。
ゴールドマンフォックスなどのギザ付きのハラミが滑らずにカットできるのでおすすめと谷口先生が教えてくれました。
ティースーチャーの使う位置について、小柳先生は5番と6番の間にもう1本ティースーチャーを入れると作業スペースが広げられたと考えていました。
谷口先生はタイムスケジュールを考えるのは大切だが時間をしっかり取って徹底的にやる方がいいのではと仰っています。
勝又先生もタイムスケジュールは考えていたが、ティースーチャーが難しく時間がかかってしまったと仰っていました。
勝又先生から分岐部に残存した角化歯肉の上に移植したので、2ヵ月後の歯肉退縮につながってしまったのか質問がありました。
上皮の上に上皮のせても結合はしないので、根分岐部の角化歯肉はレーザーや回転切削器具を使用して除去した方がよかったと小柳先生が答えています。
上皮の上に弁はのせないことが大原則なので、じわっと出血することを一つの目安として上皮を除去するのがいいのではと谷口先生が教えてくれました。
FGGの採取範囲について勝又先生から質問です。
CTを見ることで大口蓋孔の位置がわかり、遠心側のどの辺りまで移植片の採取が可能か判断できると谷口先生が仰っています。
歯周パックのやり方について、舌側の方までパックした方がいいのか勝又先生から質問です。
小柳先生から頬側でしっかりと維持ができているのであれば、舌側までのパックは必要ないと答えて頂いてます。
勝又先生から今後の対応について患者さんは満足して頂いているがどこまで治療をしたらよいか質問がありました。
患者様との信頼関係の元に歯肉退職している5番を根面被覆してもいいし、このまま経過を見るのも患者様との相談で決めて良いのではと小柳先生が仰っています。
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