【人気動画】Denture Cafe 第1回「残存歯が１本の場合、RPDよりCDとする方が良い？」
今回の動画の紹介は松田謙一先生と金澤学先生による、Denture Cafe 第1回「残存歯が一本の場合はRPDよりCDとする方が良い？」です。
犬歯が一本残っていたり、大臼歯が一本だけ残っていたり、はたまた前歯一本だけが残っていたりという状況は臨床医なら誰でも遭遇するものです。
うまく維持・支持・把持がとれずに義歯が転覆しやすいのではないか？と悩むことの多いこういった症例の勘所をデンチャーに熱意をもって取り組むお二人がオーディエンスの質問に答えながら話していく内容になっています。
デンチャーの基本的な部分からアドバンスな事項まで非常に示唆に富む内容となっていますので、日常臨床のアップデートに是非ご覧ください！
Part 1
「義歯を真剣にやっている人間の会話を間近で聞くことに意味があるのではないか」ということで始まったDenture Cafe。
特に台本が決まってるわけでもなく、おふたりのフランクな様子の会話で動画は進んでいきます。
写真のように右上１番のみ残った場合はRPDが良いのかCD（コンプリートデンチャー）がよいのか‥いろいろな視点から議論が展開されます。
抜歯をして総義歯にするほうが患者さんのQOLを高めることになるのか。
できるだけこの一本を残してRPDにすることが可能ならその方がいいのか。
松田先生・金澤先生両方の意見が示されます。
下顎が天然歯で残っている場合を考えて突き上げを考慮した判断の仕方などが話され、非常に勉強になりました。
また全部床義歯にする場合の基本的な考え方もお話しされており「失われた顎堤を補う」という基本を忘れてはいけないと再認識できました。
小臼歯一本が残った場合はどうするべきなのかという議論がそのあとに続きます。
残存歯の骨植がよければ検討できる方法として、口蓋部を抜いた形のRPDの話がでてきます。
日常臨床では判断を迷うところであるかと思いますが動画の中ではそのあたりの線引きの話を聞くこともできます。
そのほかの歯種についても、それぞれ一本だけ残った場合について「残すか残さないか」の議論があり、RPD or CDの選択に関わる要因として
1. 上顎と下顎の差
2. 残存歯の歯種
3. 残存歯の歯周状態
4. 残存歯の挺出状態
5. 対顎の状態
6. 抜歯 or 根面板
が挙げられています。
以上を検討した上でできるだけ早い段階で咀嚼の機能を回復することを念頭において、治療法を判断するべきとのことです。
そのうえで義歯治療というのは単純に結果をすぐ求めるよりも、これからどうなっていくのかも考えないといけない処置だという提言には心を打たれます。
根面板を残すなら、それを残すことでおこる将来的なリスクについても考えておかないといけません。
Part2-3
議論は症例を交えながらより実践的な内容に発展していきます。
まずはクラスプのバリエーションについての内容です。
一本のみの残存歯場合にワイヤークラスプで義歯維持だけを求めるのか、それともレストやガイドプレーンもつけてがちがちに固めるのか。
残存歯が孤立歯であることを考えると歯牙そのものへの負担を減らすためにはどのようにするのがよいのか。
孤立歯にはレストは置かない方がいいという意見もあるなか、双方からの理由と根拠が話されます。
孤立歯を支台にした場合どうしても起こりやすい義歯の動揺についても松田先生・金澤先生の見解を聞くことができます。
歯肉の被圧変位量や印象時の加圧の可否など気になっていたところがシンプルに解説されていてわかりやすいです。
理想的に維持支持をとることが難しいこれらの症例を実際どのようにマネジメントするのかは、本当に気になるところですよね。
また「マグネットアタッチメントは実際どうなのか？」という話題についても触れられています。
実際にマグネットでアタッチメントを使用するにしてもどのくらいの大きさのものを使用すれば維持力が十分働くのか。
適切に使用すれば有効な治療法である磁性アタッチメントを、一本の残存歯に使用すべきかどうかいう議論は興味深いです。
そのほかにも一本の残存歯を残した場合に実際に義歯の横ずれにどのように対処するのかという問題や患者さんが残存歯でどうしても咬合してしまう場合にどうしたらいいのかなど、会場からの意見も取り入れながら様々な話が飛び交います。
特にインプラントが部分的に埋入されている場合に義歯を使用した際に起こる顎位の変化に関する話は義歯を専門にしているお二人ならではの視点になっており必見です。
新しい視点で義歯臨床をとらえることができるようになるかもしれません。
最後に…
今回は松田謙一先生と金澤学先生による、Denture Cafe 第1回「残存歯が一本の場合はRPDよりCDとする方が良い？」をご紹介しました。
義歯治療は個々の症例に柔軟に対応しなければならないことが多いため、エビデンスに加えてどうしても経験が問われる分野だと思います。
今回の動画のようにざっくばらんな専門医の先生方の意見交換は自分の経験値を補完する意味でもとても有用だと感じました。
明日からの義歯臨床を一歩前進させる上で大切なポイントが動画の中で多数説明されていますので是非一度ご覧になってみてください。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
