【人気動画】矯正歯科のトレンド~カリエールモーション×アライナートリートメント~/賀久浩生先生
2020年3月16日(月)

カリエールモーションとは
適切な症例に対してカリエールモーションを利用することにより、治療期間の短縮や症例によっては小臼歯の抜歯を避けられるなどのメリットが得られます。

犬歯から臼歯の位置関係を適正にすることにより、その後のブラケットやアライナーによる矯正治療を効率的に行うことが出来ます。

アライナー1枚につき0.25mmの歯の移動を目安とするので、1mm動かすのに4枚のアライナーが必要となります。
アライナーで上顎犬歯を1㎜遠心移動させようと思うと、上顎第二大臼歯から順に遠心移動させていくことになるのでSequential stagingでトータル12枚のアライナーが必要です。
アライナー交換を2週間ごとに行なったとすると「12枚のアライナー交換」=「6カ月」の期間がかかることになります。
単純計算ですが、5mmの犬歯の移動にはその5倍、つまり実に2年半(30カ月)かかる計算となります。
この間、患者の主訴であることが多い前歯部に変化はほとんどないため患者のモチベーション低下にもつながりかねませんね。

この時期に顎間ゴムなどを使用するなどの工夫をしないと、意図するような歯の移動は起こりません。

カリエールモーションではおおよそ3~6ヶ月ほどで1級関係への改善を期待できると言われています。
賀久先生は、Clin Checkで犬歯関係の改善に27カ月を要する計算だった症例に対して、アライナー矯正に先んじてカリエールモーションを利用することにより、わずか3カ月で犬歯関係を改善させた症例を紹介されました。
実に治療期間を2年も短縮した計算になります。
また、このことにより患者の主訴であることの多い前歯部歯列に対して速やかにアプローチできるため、患者のモチベーション維持にもつながります。

賀久先生は、矯正後の長期安定性を調査した研究で「咬合力が加わった際の第二小臼歯と第一大臼歯のコンタクトに強い力がかかっていればかかっているほど長期的な安定が難しく、前歯部の叢生を惹起しやすい」というAhu Acarらの論文を引用されました。
臼歯の近心傾斜をそのままにしておくと、咬合力が加わった際に上記のコンタクトにはより強い力が加わることが推察されます。
カリエールモーションでは、上顎第一大臼歯の近心傾斜と近心回転を改善させながら遠心移動を図るので、矯正治療後の長期的な歯列の安定にも期待できると述べられました。
アライナー矯正のメリット

なぜアライナーによる治療を選択するのでしょうか。
賀久先生はアライナー治療のメリットを3つ挙げられました。
①ブラケットの脱離、破損がないこと
②口腔清掃が行いやすいこと
③治療結果が読みやすいこと
またアライナー治療のsuccess factorについても解説していただきました。
①治療計画(どんなClinCheckを書いたか)
②患者のコンプライアンス(アライナーを指示通りに使用してくれるか)
③Clinical Skill(チェアサイドでの調整)
3級症例に対してのカリエールモーション

上顎の拡大においては永久歯の歯根吸収を惹起するおそれがあります。
また歯根吸収を生じなくても、実際には骨ではなく歯が動いてしまいボーンハウジングから逸脱してしまう危険性もあります。
そのため、賀久先生は拡大を行う際は、ミニスクリューを併用したり、混合歯列であれば乳歯に装置を装着したりするなどの工夫をするようにしているとのことでした。


このように2級症例だけではなく、3級症例に対してもカリエールモーションを用いることによってフェイシャルマスクを用いることなく、かつ短期間に治療できた症例をご紹介されました。
おわりに
実際のスペシャル動画のなかでは、カリエールモーションやアライナーを用いた多数の症例の解説をしていただいています。
治療に長い期間がかかりやすいというアライナー矯正のデメリットを補うことのできるカリエールモーションは有用な治療オプションになりそうですね。
アライナー矯正をこれからはじめようと思われている先生はもちろん、アライナー矯正をされている先生方も、カリエールモーションの有用性について細かく解説されているので必見の動画となっています。
是非ご覧ください。
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