【人気動画】接着修復を10年以上美しく保存するためのテクニック〜確実なセメンテーション〜
今回の動画では、天川デンタルオフィス外苑前の院長であり、現WDC(Women Dentists Club)の会長でもある天川由美子先生が、10年以上美しく保存することが可能な直説法の確実なセメンテーションについて実際の症例をもとに、わかりやすく解説されています。
今まで直説法をあまり重視されてこなかった方や、セメンテーションについて再確認して臨床で活かしたいという方は、ぜひご覧になってみてください。
セメンテーションに対しての概念が覆り、今後の臨床の幅を大きく広げてくれるかもしれません。
第1章 マイクロスコープを用いる利点
◆天川デンタルオフィス外苑前のマイクロスコープ事情
天川先生のデンタルオフィスでは、開業当時からマイクロスコープを使用しての精密な歯科治療をされています。
HPのトップページにもマイクロスコープを使用しての根管治療や審美歯科を柱として掲げており、天川デンタルオフィス外苑前に来院される患者さんの約90%以上の患者さんは、マイクロスコープでの治療を目的として来院されています。
さらにコロナ禍の現在でも保護服やスリープ、フェイスシールドなどを駆使しながら、マイクロスコープやルーペの使用し、精密な歯科治療をされています。
◆マイクロスコープを用いる利点
マイクロスコープの利点は拡大視野の中で精密な治療ができることではありますが、最も分かりやすい利点は、「拡大視野をモニターを通して患者さんにお見せできる」ということです。
下記の写真の患者さんは、ハイブリットインレーのチップで来院されました。左側が来院された直後の写真で、チップした箇所の下にはカリエスがあり、隣接面に近い箇所には破折線のようなものも確認できます。
右側に写真は、応急処置としてCRで修復をした後の写真です。CRで応急処置はしましたが、患者さんには二次カリエスがあることやハイブリットインレーが欠けてしまっている事実を実際の写真を見ながらお話することで、納得、理解していただき、次回は治療をすることになりました。
◆ダイレクトボンディングの症例
●前歯2本をダイレクトボンディングした症例
上の写真はダイレクトボンディングをした直後の写真です。
そしてダイレクトボンディングをしてから15年後の状態がこちらです。(下の左側の写真)
CRが薄く歯面にのっている部分に接着が弱い部分なため、割線が認められます。
その後、CR修復した写真が右側です。今回の症例では、15年以上の年月が経過しているにも関わらず一度もCRそのものが脱離してきたことはないそうです。
しかし着色や割線が出てきてしまうことは十分にあります。その場合には研磨をしたり、少しCRで修復したりする程度で、リペアが容易にできます。
●間接法の代表である「ポーセレンラミネートベニア」の症例
左側の写真が術前で右側の写真がポーセレンラミネートべニアの術後です。
下の左側の写真はポーセレンラミネートベニアの術後から、13年経過した写真です。
左側の中切歯、側切歯の歯茎部部分の一部のベニヤがチップしたり、クラックが入ったりしています。
右側の写真は、CRでリペアした状態です。左右の写真のように間接法や直接法であってもきちんとした処置や正しいステップで行うことで、10年、20年と長期の予後も難しくないということがわかります。
第2章 セレクティブエッチングとエアブロー
◆接着の基本
●接着歯学の利点とは?
・保持力の向上
・辺縁漏洩の防止
・歯髄刺激性の低下
・二次う蝕の低下
・歯質の構造的強化
・歯質削除量の減少←接着歯学の中でも最も優れた利点
●直説法と間接法の接着の強さは?
結論から言うと…
直接法の方が間接法より接着強さは高い!
なぜなら直接法の場合、歯質、接着剤、CRというように1つの界面だけに存在します。しかし間接法の場合、歯質、セメント、さらに補綴物側の接着強さも接着強さに関係しているからなのです。
さらに天川先生は、下の画像のようにエナメル質と象牙質は異なる点が多いため、同じような接着処理は間違っているのではないかということも仰っています。
◆セレクティブエッチングとエアブロー
天川先生の歯科医院では、CR修復を行う場合や、間接法で接着させる場合、全てにおいて
「セレクティブエッチング」を採用されています。
さらに接着操作の中で注意しなくてはいけないのが「エアーブロー」なのです。例えば、1ステップ型の接着剤の場合、適切なエアーブローをしないと、本来接着剤が持っている接着強さを発揮することはできません。
エアーブローをした際にボンディングが波打っているようでは、50ミクロン以上の厚みが出てきてしまうため、10秒以上で、さらに波打たなくなるまで確実なエアーブローが重要となります。
CR修復の場合も間接法を行う場合にも「セレクティブエッチング」と「エアーブロー」の処置を行う際には特に注意して処置を行なってください。
動画では実際に天川先生が行なっている「セレクティブエッチング」と「エアーブロー」の施術が見られますので、ぜひご覧ください。
第2章 セレクティブエッチングとエアーブロー
●レジンセメントの接着強さは?
レジンセメントの種類には、前処理剤が必要のない「セルフアドヒーシブ」タイプのレジンセメントと、歯台に前処理をしなくてはいけない「接着性レジンセメント」があります。
そしてセルフアドヒーシブタイプのセメントよりも、接着性レジンセメントの方が接着強さは強いです。
そのため天川先生は、クラウンのような保持力の強い補綴物を接着させる場合には、セルフアドヒーシブタイプを使用し、インレー、アンレー、ベニヤのような接着をしっかりとしなくてはいけない補綴物の接着には、接着性レジンセメントを使用されています。
◆セメンテーションステップ
●セメンテーションステップ〜ステップ1-ステップ6〜
ステップ1:修復物の処理
ステップ2:防湿
ステップ3:支台歯のクリーニング
ステップ4:セメンテーション
ステップ5:咬合調整
ステップ6:メンテナンス
動画の中では天川先生が実際に修復物の処理をしている様子やシラン処理をしている様子をわかりやすく解説されていますので、ぜひご覧ください。
第2章 セレクティブエッチングとエアーブロー
第3章 ラバーダム防湿
左下の写真のように出血を認める場合にも、止血とラバーダム防湿で支台歯に出血が付着することを防ぐことができます。
天川先生は直接法、間接法、CR修復、レジンセメントの接着に関わらず、すべての接着操作でラバーダム防湿をされています。
天川先生は、ラバーダム防湿を行うことで落ち着いて支台歯の施術ができ、セメントアップの作業もとても楽になると仰っています。
ラバーダム防湿をしながらの接着の一連の流れが動画ではわかりやすく解説されていますので、ぜひご覧ください。
さらに動画では天川先生が今現在、リアルタイムで行っている接着のステップも解説付きで紹介してくださっています。
第3章 ラバーダム防湿
最後に…
今回は天川デンタルオフィス外苑前の院長である天川由美子先生の動画「接着する!確実なセメンテーション」より、
「接着修復を10年以上美しく保存するためのテクニック〜確実なセメンテーション〜」を紹介させていただきました。
多種多様な修復物が存在している現在では、セメンテーションの頻度も高くなってきています。天川先生の動画を参考にしながら、セメンテーションのステップ一つ一つを丁寧に行い脱離、脱落の生じない確実なセメンテーションを行なっていきましょう。
最後までご一読いただきありがとうございました。
天川デンタルオフィス外苑前の院長である天川由美子先生の動画、「接着する!確実なセメンテーション」シリーズ
第1章 マイクロスコープを用いる利点
第2章 セレクティブエッチングとエアブロー
第3章 ラバーダム防湿