【人気動画】治る歯髄 治らない歯髄 - 歯髄保存の科学と臨床 - 第1回 「なぜ歯髄保存なのか?」
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今回は泉 英之先生による、「歯髄保存」についての講義紹介です。
今回のシリーズでは「歯髄を残す」ことについて、論文などの科学的根拠と臨床という観点から
1、なぜ歯髄保存なのか?
2、歯髄治癒のゴール
3、歯髄の診断
4、う蝕除去
5、間接覆髄
6、直接覆髄
7、最終修復
の7つのチャプターに分けて解説してくださっています。
動画内では歯髄保存について治療前後のレントゲン写真や口腔内写真などを用いたわかりやすい説明に加え、情報収集において押さえておくべきポイントや参考文献などもご紹介していただいております。
今回は「1、なぜ歯髄保存なのか?」についての3つの動画についてご紹介致します。
#1 歯根破折
泉先生は重度のペリオの患者さんの治療を模索する中で、月星先生の「歯周治療の科学と臨床」に出会います。
ぺリオの患者さんを治せるようになるためには歯科衛生士の存在が欠かせないと気付き、歯科衛生士とのチームづくりや医院作りにも力をいれるようになりました。
それらの経験があり、今では他院から重度のペリオ患者さんの紹介を受け、治癒に導けるようになったとのことです。
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どの医院にも一定数いる、治療の中断を繰り返す患者さん。
一度治療を行っても虫歯が再発し、歯髄を失い、ゆくゆくは抜歯になっていく。
そのような患者さんを多く経験し、この悪循環を止めたいと思うようになられたそうです。
それをきっかけに、原因を解決し、治療だけでなくメンテナンスで口腔内を管理して病気を無くすことを考えるようになられました。
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初期治療・修復治療を行い、メンテナンスにも欠かさず通っていただいていた患者さんの症例です。
メンテナンスをしっかり行なっていたのにも関わらず、初診から9年後には右上6番が歯根破折を起こしました。
ぺリオ・カリエス・咬合のメンテナンスをしっかり行なっていても防ぎきれないことがあり、
歯の予後は疫学データ通りのトラブルが起こるため、メンテナンス移行時に将来喪失リスクのある歯についての事前説明を行うようにしていらっしゃるそうです。
Dr,Axelsson Pの「30年の予防メインテナンス論文」の報告でも歯根破折の予防の難しさは提唱されており、
泉先生の臨床経験からもペリオとカリエスは予防できるが、歯根破折の予防は極めて難しいと感じていらっしゃいます。
そして、歯根破折を起こす歯はほとんどが無歯髄歯のため、歯髄保存がとても重要です。
#2 保存か抜歯か?
Dr.Caplanが行った保険診療のデーターベースを用いた調査によると、有髄歯と比較すると、無歯髄歯の喪失リスクは前歯部で1.8倍・臼歯部では7.4倍という結果が出ており、歯髄の有無は歯の分水嶺となり、歯髄が残れば歯が残る可能性が高くなる と訴えられています。
#2ではまずこちらの症例を紹介されています。
こちらは10歳の男の子、カリエスが大きく2箇所の露髄がみとめられる症例です。
抜髄か歯髄保存か賛否ある症例であり、論文にも露髄した歯の歯髄保存は
「歯髄腔の石灰化、診断の不確実さ、予後の不確実さ」の理由から賛否ある事が記述がされています。
ですが、それらの問題は自身の診断力・スキル・技術で可能にできると仰っています。
#3 非ランダム化比較試験
私たちは日々の臨床の中で様々な書籍からも情報を得ようとしますが、何を持って情報の信頼度が高いというのでしょうか。
動画内ではランダム化比較試験と非ランダム化比較試験の例を元に、比較の質が高いほど情報の信頼度が高いということをご紹介されています。
はじめは論文の信頼度や信憑性についての「内的妥当性」についての解説でしたが、
その論文が自分の臨床環境でも同じ結果を得られるかという「外的妥当性」についても解説されています。
外的妥当性には臨床経験や治療時間が大きく関わってきますが、マイクロスコープを使うことによって自らのスキルをカバーし、技術の壁を超えられると仰っています。
歯髄温存療法は技術に左右される、簡単ではない治療方法である
だからこそマイクロスコープの重要であると訴えられています。
そして、患者さんへ成功率やリスクについての事前説明をしっかりすることの需要性を述べられています。
最後に
今回は泉 英之先生による「治る歯髄 治らない歯髄 - 歯髄保存の科学と臨床」シリーズ第1回 -なぜ歯髄保存なのか?-についてご紹介致しました。
基礎的な論文の信憑性の見極め方や歯髄保存の難しさ、知識・技術の重要性について分かりやすく解説していただいていました。
日々の診療の中で症例数の多いエンドに関するお悩みをお持ちの先生は多いのではないでしょうか。
そんな先生方の明日の臨床に役立つシリーズとなっております。
ぜひ動画本編をご覧ください。