小宮山彌太郎先生 ~イェーテボリ研修に参加して~

2018年11月12日(月)
提供:ネオス・ジャパン株式会社

今回、私どもの勉強会Club 22(バーの名前によく間違われますが、チタンの原子番号に由来するれっきとした会です)のメンバーから、イェーテボリでのインプラントに関する聴講の希望が上がりました。前回、イェーテボリへの訪問はBrånemark教授がご存命であった2010年、コース終了後に参加者一同でお宅を訪問した時以来と、9年間のブランクがありました。


 


今回、優れた臨床家でもありながら数多くの影響力のある研究発表をされている3名の先生、ブローネマルク・クリニックのProf. Bertil Friberg、歯学部口腔外科Prof. Christer Dahlin、及びProf. Lars Sennerbyのお名前が講師の候補者として上がりました。Friberg先生とは1980年代からのお付き合いがありましたし、Sennerby先生には、私の長女の学位審査の際の主査をお務めいただきました。これら先生方を講師とし、ネオス・ジャパン株式会社主催の研修があるということで参加させて頂きました。さらに嬉しかったことは、Fredrik Engman氏が最高技術責任者(CTO)としてNeoss社の創立者の一人であったことでした。およそ30年程前でしょうか、当時、Nobel Pharma社の技術者であったEngman氏と私は、中央市場の肉屋に牛の骨を買いに行ったことがあります。それは同社が極秘に進めていた骨質が劣る部位へのテーパー状インプラント(Mk IVのプロトタイプ)の被験体を準備するためでした。日本人にはなんともふざけた比喩ですが、悪い骨を対象とするのにイーボン(Ebonで、E-boneでないだけ救い)という名の店で、それを暗号名に開発が進められたことを思い出しました。


他の参加者よりも早く現地に入った私と家内は、Brånemark教授宅に伺い、夫人と思い出を語りました。2014年末に教授が逝去されてから4年を迎えますが、調度品にもまったく手が加えられず、当時のままで教授への夫人の思いが感じられました。


 



ブローネマルク教授宅の居間


 


教授がご存命の時に、年に2~3回訪れていたこのイェーテボリには3年8か月ぶりに訪れましたが、建物などに大きな変化がなかったものの、純粋なるスウェーデン人以外の人の多さに驚き、欧州各地で討議されつつある移民問題を垣間見た気がしました。その後、ホテルのレストランでウェルカム・ディナーが催され、翌日からのコースに向けて英気を養いました。



コース前夜のウェルカム・レセプションで挨拶されるNeoss CTO のEngman氏


 


 


【コース1日目 9月24日】


イェーテボリ大学歯学部にほど近いところにNeoss社はありました。ここには幾つかの研究施設があり、産学協同の作業が効率よく行われる環境に研究の垣根が低いスウェーデンらしさを感じました。午前はSennerby先生から、イタリア、フェルトレの診療所でのAndersson先生との診療経験を下に、Neoss インプラントを用いた即時加重症例の注意点(ISQ 70以上とそれ以下のものを比較すると、低いものでの失敗率は3.9倍に上り、埋入後2~4週間以内でのトルクの負荷は避けるべき)など臨床的な示唆に富んだ講義がありました。


 


昼食時には旧知の優れた歯周病専門医のIngvar Ericsson先生と、35年以上も前にインプラント技工を指導してくださったIngmar Galéus氏が顔を出し、楽しい時間を過ごしました。


 


午後は、Engman氏よりNeossインプラント開発理念、およびその特徴についての紹介がありました。ネック部分1.9mmは機械仕上げと同等のSa値 0.3μmとし、それよりも先端方向には1.0μmの表面粗さが与えられているとのことで、他社のものよりも粗さが抑えられているようです。長期に安定した結果を得ることに主眼を置いているとの言葉に、救われた気がしました。


 


ついで、Gore-Tex膜を応用したGBRの先駆者であるDahlin教授から、チタンフレーム強化膜 NeoGen(日本未発売)に関する基礎研究結果ならびに臨床応用をふまえ、粘膜骨膜弁形成時の注意点ならびにソケット・プリザベーションを行う際の外科的配慮の講義と模型実習が行われました。



Neogenの模型実習。Prof. Dahlinが自ら手ほどき


 


 


研修会に参加した歯科技工士の田辺 久憲氏は、Dahlin教授の講義時間を利用して、Galéus氏のラボの見学に出かけられました。



Galéus氏が設立された技工所で(向かって右がGaléus氏)


 


 


【コース2日目 9月25日】


スカラにあるNeossインプラントの製造工場を訪問し見学をしました。今日、どのインプラントメーカーでも同様の厳格さで最終行程が進められていると確信していますが、ここでは想像以上の配慮がなされていることに安心感を覚えました。湖畔のホテルFlämstättsで昼食のあと、同地域にあるヴァイキング時代の遺跡Västragötlands Museumに行きました。ルーン文字をはじめ、個人的には興味深く楽しいひと時でした。


 


【コース3日目 9月26日】


Brånemark教授が所属していた解剖学研究室に隣接した建物の一角に、銅像が設置されており、その業績を称えるスペースで参加者全員が往時を偲びました。



Prof. Brånemarkの記念コーナーでの集合写真


 



その後、歯学部病院にある特殊歯科診療所のBrånemark Klinikenに移動し、施設の見学とFriberg先生の講義を受けました。世界の規範ともされる同施設にあっても、偶発症は不可避との率直な言葉に続いて、インプラントの表面性状、抗生剤についての考え方など、長期の経験からお話し頂きました。



Prof.FribergとEngman氏への質疑応答


 


最後に、インプラントメーカーは経営を重要視しなくては成立しませんが、インプラントが本来備えていなくてはならない長期安定性の確保と、万が一の場合にも一番大切なコンポーネントを守る構造の必要性をEngman氏が技術者の視点で捉えられていることに、今回のNeoss社訪問及び研修を受講し共感を覚えました。今回のイェーテボリでの研修はClub 22参加者全員が大変満足するものとなりました。研修のご準備にご尽力をいただきました、ネオス・ジャパン株式会社の皆さまには厚く御礼申し上げます。


 


小宮山 彌太郎先生


•1971年 東京歯科大学卒業
•1980~1983年 スウェーデン、イェーテボリ大学歯学部歯科補綴学、および医学部解剖学客員研究員(故ヘデゴード教授、故ブローネマルク教授に師事)
•1990年 ブローネマルク・オッセオインテグレイション・センター開設



 


 


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