【E.P.I.C.プライベート研修会の参加者レポート】Paul Rosen 特別講演会
セミナー参加者:
医療法人社団Zion 理事長 木村文彦(FUMIHIKO KIMURA)
ワンラブデンタルクリニック
オールスマイルデンタルクリニック
Paul Rosen 特別講演会 ~for EPIC~
来たる7月5日にPaul Rosen DMD,MS(以下Dr.Rosen) が来日し、EPIC(Evidenced based Periodontology and Implantology Course : 主宰 清水宏康 講師 二階堂雅彦)の特別講演会が、ネオス・ジャパン(株)協力のもと開催された。
テーマは【インプラント周囲炎のRegenaration】ということで、昨今世界的に問題になっているインプラント周囲炎を、再生療法を用いてどのように対処していくかが講演の内容であった。
インプラント周囲炎の原因としては、口腔内の清掃状態の悪さ、歯周病の既往歴などがあり、リスクファクターとして喫煙や糖尿病、遺伝的要素なども挙げられる。今回、Dr.Rosenが加えたその他のリスクファクターとは、インプラントポジション、歯肉の不足、セメントの残留、インプラント体とアバットメントとの緩みなどから生じるチタンの摩耗粉、咬合などであった。
そのため、インプラント体とアバットメントが緩まないように、スクリューなどのパーツを必ず純正品を用いること、トルクドライバーのキャリブレーションを行うこと、ヒーリングアバットメントの再利用をしないこと、などの重要性について提議された。
ネオスインプラントでは、NeoLocコネクションというインプラント体とアバットメントとのマイクロムーブメントを最小限にする構造となっている。また、インプラント体はデュアルサーフェイスでカラー部が低粗面になっていることから辺縁骨吸収とインプラント周囲炎を低減する構造になっているなど、提唱されるリスクファクターをネオスインプラントシステムは克服しており、Dr.Rosenは高く評価し14年間愛用しているとの事だった。
咬合と補綴との関係性については、三本連続したインプラントの上部構造をスプリントにすると、真ん中のインプラントの周囲の骨の吸収が見られることがあり、この原因はまだ解明されていない。判別として、咬合が過度であった場合のレントゲン像がインプラント体を軸として鋭角な骨欠損像になるのに対し、細菌が原因の場合はカップ状の骨欠損となることが多く、また咬合が原因であった場合、咬合調整すると骨欠損は治癒していくことは天然歯での歯根膜の拡大を連想させることはとても興味深かった。
全身疾患との兼ね合いではタバコ、糖尿病の他、心臓、血管など循環器系の疾患が挙げられ、インプラント周囲炎になるオッズ比が8.7倍と、歯周病の4.5倍と比べてもかなり大きいため、臨床上循環器系の疾患をもつ患者はメインテナンスの間隔を短めにするなどの注意が必要であるとのことであった。
インプラント周囲炎の前段階のmucositis(インプラント周囲の歯肉炎)へはNd-YAGレーザーを用いた対応なども紹介された。Dr.Rosenの行うインプラント周囲炎の再生療法は、まずグリシンパウダーによるエアーアブレージョン、クエン酸による表面の感染除去を行う。その後エムドゲインの塗布、PDGFやPRFなどの成長因子と骨補填材を混ぜて使い、状況に応じてメンブレンや結合組織移植も併用するというものであった。ケースによって、様々な手段を使い分けて治療に当たる必要があることを感じた。
今回、この特別講演会の企画はDr. RosenとDr. 二階堂の長年の交友関係から生まれた。企画をしていただいたDr.二階堂、EPICのDr.清水、またネオス・ジャパン(株)のスタッフの方々、最後にいつもクリニックを支えてくれているスタッフにお礼を言い、結びの言葉としたい。
レポート by:
医療法人社団Zion 理事長 木村文彦(FUMIHIKO KIMURA)
ワンラブデンタルクリニック
オールスマイルデンタルクリニック
経歴
県立横須賀高校出身
2002年 東京医科歯科大学歯学部卒業
医療法人社団仁愛会歯科 副院長
いしなべ歯科クリニック 勤務
スウェーデンイェーテボリ大学インプラント研修終了
アリゾナAZ PERIO 歯周病コース終了
ミラノ大学歯周病科特別コース終了
リヨン大学保存研修終了
ITI Straumann インプラント認定医
チューリッヒ大学インプラントコース終了
EPIC perio and implant コース終了
インビザラインドクター
日本臨床歯周病学会
日本歯周病学会
日本歯内療法学会
アメリカ歯周病学会(AAP)
ヨーロッパインプラント学会(EAO)
東京医科歯科大学各種CDE終了
(ホワイトニング、歯周外科、インプラント、レーザー)
関連コラム
夏堀礼二先生:口腔内スキャナーを用いたNeoss Implantの上部構造作製へのデジタルワークフロー