患者さんの命とQOLを守る!悲惨ながん、口腔がんを減らすためには。
口腔がんの現状
「口腔がんだけにはなりたくない…」現場にいる外科医は口をそろえてそういいます。
口腔がんはその生存率だけではなく、見た目が正常な状態から大きく変化してしまうという点で、悲惨ながんといわれています。
舌や歯肉そして骨や首まで転移してしまった進行した口腔がんは手術して助かったとしてもQOLの高い生活をおくれるとは言い切れません。
口腔がんの推移
口腔がんは近年増加傾向であり、特徴的な「中年以降の男性に多い」というものだけでなく、20代の若年者や女性や非喫煙者など、今まで自分が口腔がんとは無縁と思っている人にも増えてきています。
この傾向は日本だけであり、世界的に見ると先進国では口腔がんの死亡率は減少傾向にあり、日本だけが増えているというようになっています。
どうしてこのようなことになってしまったのでしょうか?
口腔がんの背景
希少ながんであるということで、患者さんの認知度と歯科医師の診察力の両方が他の先進国に比べ低いといえます。
患者さんはただの口内炎として放置してしまい、
歯科医師も患者さんから強く言われるまでは「様子を見ましょう」と話し、あまり積極的な態度とは言えません。
このような発見の遅れから進行した口腔がんが増えてきてしまっています。
早期発見予防
口腔がんはその特徴から早期発見が大切と言われています。
ガンには必ず前癌状態と言われる上皮の過形成や異形成がみられます。
その変化を見つけるための最新の機器があります。
それが蛍光発色法を用いたイルミスキャンというものです。
これは425nmの青色光を組織に照射し、基底膜に反射してきた緑色の光を観察する方法です。
正常組織は緑色に反射してきますが、上皮異形成がある場合は黒くなり反射しません。
こういった機器は欧米では盛んに取り入れており、口腔がん検診が一般クリニックで簡便に出来るようになっています。
日本でもこういった口腔がんの予防・早期発見を広めていかなければなりません。
そこで一般社団法人口腔がん撲滅委員会では、インターネット上で専門医による口腔がん簡易相談を行っています。
これは開業医の先生が粘膜病変の写真を撮り、コメントを添えて送信することにより、大学病院にいる現場の口腔外科専門医からその疾患に対しての返答があります。
これより大学病院へ紹介すべきか、自院で様子を見るべきかが判断できます。
正常組織が口腔がんになるまでは5~10年かかります。
変化が見られた時にいかに早く発見することが出来るかが、その患者さんの運命を決めます。
歯ばっかりに目を向けるのでなく粘膜や舌などを確認し口腔がんを未然に防ぐことが大切です。
口腔がん撲滅委員会