【連載】日本における予防歯科への意識 Part2:海外との比較
海外と比較すると…まだまだ低い健診への意識
海外では、予防歯科への意識はどのような状況なのでしょうか?
ライオン株式会社による2014年の調査では、直近一年間に歯の健康診断を目的として歯科医を受診した回数を聞いたところ、アメリカでは「2回」と回答した人が最も多く、スウェーデンでは「1回」と回答した人が最も多いという結果でした。
一方、日本で最も多かった回答は「直近一年間では受けていない」。
57.5%の人が直近一年間では健診を受けていないという結果となりました。
(出典:「日本・アメリカ・スウェーデン 3カ国のオーラルケア意識調査 Vol.1」ライオン㈱)
日本における予防歯科への意識 Part1:国内の現状で引用した日本歯科医師会の調査と細かい数値は多少異なりますが、やはり日本国内においては、だいたい半数強の人たちは定期的な歯科検診を受ける習慣がないようです。
治療で行くか、予防で行くか。通院目的に大きな違い。
また、歯科医院への通院目的についても違いがありました。
日本では「ムシ歯の治療」が66.6%と最多なのに対し、アメリカ・スウェーデンでは「歯の健康診断」が両国とも(アメリカ:64.5%、スウェーデン:70.4%)が最も多いという結果でした。
その他の項目でも、「スケーリング」(日本:42.3%、アメリカ: 44.9%、スウェーデン:67.1 %)、「歯のクリーニング」(日本:21.4%、アメリカ:57.7 %、スウェーデン:35.0 %)など、欧米では歯や口のトラブルを予防するための受診が日本よりも多い傾向にあることがわかります。
(出典:「日本・アメリカ・スウェーデン 3カ国のオーラルケア意識調査 Vol.2」ライオン㈱)
また、直近1年間の歯科医院の利用回数を聞いたところ、日本は 4.6 回と、アメリカ2.6回、スウェーデン2.0回に比べて 2回以上多く通院していました。これは、欧米では通院の主目的が予防であるのに対して、 日本では継続的な通院を要する治療が中心となっているためと考えられます。
(出典:「日本・アメリカ・スウェーデン 3カ国のオーラルケア意識調査 Vol.2」ライオン㈱)
保険制度の違いによる影響などもあるかと思いますが、アメリカやスウェーデンにおける予防歯科への意識は、やはり日本よりもはるかに高いようです。
まとめ
日本と海外で歯科医療への意識はかなり異なっているようです。
1.アメリカ・スウェーデンは、日本よりも歯の健診を受けている率が高い。
2.アメリカ・スウェーデンは受診目的が予防なのに対し、日本は治療を目的とした受診が多い。
3.日本は治療を目的とした受診が中心のため、アメリカ・スウェーデンよりも平均通院回数が多い。
次回は、歯科医療への啓発活動に取り組んでいる企業をご紹介します。
前回はこちら ⇒ 日本における予防歯科への意識 Part1:国内の現状
次回はこちら ⇒ 日本における予防歯科への意識 Part3:企業の取り組み(フィード株式会社)
【参考文献】
「日本・アメリカ・スウェーデン 3カ国のオーラルケア意識調査」ライオン株式会社
対象:15~69歳の日本人・アメリカ人・スウェーデン人の男女 計3,600サンプル(日本人1,200、アメリカ人1,200、スウェーデン人1,200)
調査手法:インターネット調査
調査期間:2013年 11 月 22 日から 12 月 10 日
日本・アメリカ・スウェーデン 3カ国のオーラルケア意識調査 Vol.1