【人気動画】ジルコニア修復物の「確実な接着」を学ぶWEBセミナー/草間幸夫先生
医療法人社団研整会 西新宿歯科クリニック院長の草間幸夫先生に、ジルコニア修復物の「確実な接着」についてご講演いただきました。
はじめに
近年、臨床でジルコニアを修復物として用いる機会が増えてきているのではないでしょうか。
優れた機械的な強度に加えて、最近は審美性も向上してきているジルコニアですが、その接着について正しく理解できていますか?
このコラムでは、草間先生のスペシャル動画『ジルコニア修復物の「確実な接着」を学ぶWEBセミナー』の内容をご紹介しながら、ジルコニアの接着について必要な知識を整理していきたいと思います。
ジルコニア接着についてのシステマティックレビュー
2014年のE Papiaらのシステマティックレビューでは、ジルコニアの接着について以下のように報告されています。
①酸処理やシランカップリング処理は効果がない
②アルミナサンドブラスト後、セルフアドヒーシブでよく接着した
③アルミナサンドブラストは効果がある
④酸性機能性モノマーは効果がある
草間先生はこのレビューから、臨床的に実践すべきことを以下のようにまとめられています。
30~50㎛(やや大きめの粒子で)、0.2~0.4MPa(やや強めに)のサンドブラストの後、リン酸エステル系モノマー(MDPなど)で処理して、
⑴縁上マージンなら接着性レジン系セメントで接着
⑵縁下マージンならセルフアドヒーシブセメントでの接着や、合着・仮着
接着性レジンセメントの選択
ジルコニアは二ケイ酸リチウムなどと比較して光の透過性が低いです。
例えば、ジルコニアの厚みが1mmあると光強度は7~12%まで減衰してしまいます。
つまりレジンセメントを用いる際に、光重合のみでは十分な重合は達成されないことになります。
そのためデュアルキュアタイプのなかでも、化学重合だけでもしっかり重合が達成されるものを選ぶべきと草間先生は述べられました。
草間先生は、数あるセルフアドヒーシブタイプのレジンセメントのなかでSpeedCEM®Plusをおすすめされました。
光重合不要の強力なセルフキュア、プライマー不要の扱いやすさ、セルフアドヒーシブタイプのなかでは強い接着力を持つこと、セメント自体の強度が高いこと、X線造影性が高く残留チェックができることなどをその理由に挙げられました。
接着阻害要因と劣化要因
修復物試適時の血液や唾液による汚染は、修復物の接着力を低下させることが分かっています。
そのため試適により汚染した接着面は、Ivocleanなどを使って洗浄する必要があります。
また、劣化要因として修復物のマージン部のセメントの未重合層の存在があります。
酸素の存在下で光重合では30㎛、化学重合では100㎛の未重合層ができてしまいます。
そのため、リキッドストリップスなどで酸素を遮断した状態で光照射を行い最終重合させることが必要です。
さらに界面を研磨し、滑沢にしておくことも劣化要因を減らすことにつながると草間先生は述べられました。
縁上マージンか縁下マージンか
草間先生は、フィニッシュラインが歯肉縁下になるか歯肉縁上になるかによって、形成デザインと接着・合着の選択を考えるべきであると述べられました。
フィニッシュラインを歯肉縁下に設定する場合、プライマー併用型のレジンセメントは使用できなくなります。
そのため、リテンティブデザインで形成を行い、修復物は仮着・合着させるか、セルフアドヒーシブセメントでの接着をさせるかという選択になります。
一方、フィニッシュラインを歯肉縁上に設定する場合、プライマー併用型のレジンセメントを使用することができ、セメントによる強い接着力を期待できます。
そのため、軸壁の角度や高さに制限のない、いわゆるアドヒーシブデザインの形成を行い、プライマー併用型のレジンセメントで接着を行うことができます。
まとめ
スペシャル動画のなかでは接着に関するそれぞれの因子についてさらに詳しく解説されています。
また、草間先生の実際の症例を通じて材料の使用法やマテリアルの選択法についても学ぶことができます。
ジルコニア接着にはもちろんですが、それ以外の臨床においても役立つIvoclar vivadent社の製品についても数多くご紹介されています。
近年、需要が伸びているマテリアルのひとつであるジルコニアですが、正しい接着法を学ぶうえで必聴のセミナーとなっております。
ぜひ、スペシャル動画もご覧ください。