【人気動画】う蝕う窩治療の成功の分かれ道〜新時代のカリオロジー〜
今回の動画は神奈川県でご開業の歯科医師、伊藤直人先生が、治療成績に大きく影響してくるう蝕とう窩の治療について大変わかりやすく、参考になる内容を解説してくださっています。
普段、虫歯とひとまとめにしているう蝕とう窩ですが、その違いを理解さらに明確化することで、今後の臨床に大きく影響してくること間違いなしです!
若手の先生から経験豊富な先生まで、大変参考になる動画ですのでぜひご覧ください。
第1章 う窩を治しても、う蝕の原因は治らない
◆う蝕とう窩どちらを治療しているのか?
上の写真のようなう窩は、削ってコンポジットレジンなどを詰めることでう蝕は治っていると思っている方が多いのではないでしょうか。しかし実際にはう蝕は治っていないのです!
う蝕とう窩の話をわかりやすく解説していくために、まず自動車事故を例にしてお話していきます。
交通事故が発生した時に、車の修理をしたからといって事故の原因はなくなりません。そして事故を起こしてしまった本人が、おっちょこちょいな性格だったり、青と赤の信号を間違えていたり、交通ルールをあまりわかっていなかったり、車の使い方がわかっていなかったりすると交通事故の再発は防ぐことができません。
そこで世の中には教習所があったり、車検があったり、運転免許があったりするため事故の再発を防ぐことができています。
実は、う蝕もこの状況と同じことが言えるのです!
「う窩」というのは結果であって、先ほどお話しした交通事故と同じです。う窩を治療しても、う蝕が治った訳ではありません。そのためう蝕の治療には、う蝕の原因を治していくことが重要となります。
◆う窩を治しても、う蝕の原因は治らない
う窩というのはう蝕の結果できるものであって、う窩を削って治療をしてもう蝕の原因はなのも改善されません!
つまり、【う蝕≠う窩】ではないのです。
◆う蝕はプロセス
う蝕は「プロセス」であって、う窩はその結果となります。う窩を治療してもプロセスを治さなければ、う蝕を治すことはできないのです。
第2章へ続きます…
第1章 う窩を治しても、う蝕の原因は治らない
第2章 う蝕とう窩の治療
◆う蝕はプロセス
う蝕は、ミネラル喪失と獲得をドラマティックに繰り返しています。つまり、脱灰と再石灰化を繰り返しているということです。
そしてある一定のラインを超えてくると、実質欠損が起こり、う窩ができてしまいます。
わかりやすく登山に例えてみると…
登りを脱灰、下りを再石灰化とします。そして真ん中の赤い点線が実質欠損をもたらしてしまうボーダーラインです。
登山の登り下りのように、脱灰と再石灰化を毎日繰り返して、ある一定以上脱灰が多くなってしまうとう窩という形で結果として現れてくるのです。
つまりう窩の治療ももちろん大切なのですが、う蝕=プロセスの治療もとても重要なのです。
◆う蝕とう窩の関係
上の図のようにう蝕とう窩は4つの種類に分類されます。
●1型
・う蝕なし
・う窩なし
・健康な状態
●2型
・う蝕あり
・う窩なし
・う蝕は進行性だが、まだう窩はない
上の写真は2型の患者さんです。プラークもかなり付着しており、う蝕はどんどん進行していきます。そして、この時点でう蝕の治療をしていかないと、数年後にはう窩ができてしまいます。
●3型
・う蝕あり
・う窩あり
・う蝕が進行性で、う窩も存在
下の写真は3型の患者さんです。この状態でう窩を削って詰めても、う蝕は治りません。spのため、う蝕(プロセス)を改善させていく必要があります。
上の写真は2型の患者さんです。プラークもかなり付着しており、う蝕はどんどん進行していきます。そして、この時点でう蝕の治療をしていかないと、数年後にはう窩ができてしまいます。
●3型
・う蝕あり
・う窩あり
・う蝕が進行性で、う窩も存在
下の写真は3型の患者さんです。この状態でう窩を削って詰めても、う蝕は治りません。spのため、う蝕(プロセス)を改善させていく必要があります。
正しいブラッシングはもちろんですが、フッ化物の使用、糖の摂取、ドライマウスなどさまざまなプロセスを改善させていかなければ、再発は免れません。
●4型
・う蝕なし
・う窩あり
・う蝕が非活動性隣、う窩のみ存在
下の写真は4型の患者さんです。以前、プラークコントロールが悪いがために、う窩ができてしまったが、その後プラークコントロールやその他の因子が改善されう蝕が非活動性となり、う窩のみが存在しています。
写真のように明らかにう蝕が非活動性のケースでは、削って詰める必要はありません。もし患者さん自身が気になるようであれば詰めてあげてください。
◆う蝕とう窩の治療
う蝕の治療には、セルフケアとプロフェッショナルケアを中心とする「削らない治療」と、う窩の治療には、「削る治療」が必要とされます。それらを合わせて「カリエスコントロール」といいます。
そして、削る治療には削らない治療の併用が必須で、削る治療では技術が必要となり、削らない治療では豊富な知識が必要となります。
◆う蝕の治療に必要な知識
う蝕の治療も歯周病の治療と同じように、さまざまなな知識が必要とされています。
下の写真は、伊藤先生自身の多くの経験や学びから、う蝕の原因を5つの因子に絞り込み、これさえ行えばう蝕ができない!という5つのステップをまとめた本になります。
カリエスコントロールに重要なのは、患者さんの行動変容です。それを的確に起こせることがう蝕の治療には重要となります。
ぜひこちらの本を読んでいただき、日々の臨床のヒントや参考にしていただければ幸いです。
最後に…
今回は神奈川県でご開業の歯科医師、伊藤直人先生の動画「新時代のカリオロジー う蝕とう窩」の動画より、「う蝕う窩治療の成功の分かれ道〜新時代のカリオロジー〜」を紹介させていただきました。
う蝕とう窩についてあまり気にせずに治療をしていた方、あまり明確化できていなかった方は、ぜひこちらの動画をご覧いただき、今後の臨床に役立てていただきたいと思います。
治療成績に大きな違いが明確に現れて、う蝕う窩治療の概念が変わるかもしれません!
最後までご一読いただきありがとうございました。
【新時代のカリオロジー う蝕とう窩】
第1章 う窩を治しても、う蝕の原因は治らない
第2章 う蝕とう窩の治療