【人気動画】難治性口腔顔面痛の攻略方法〜心理的アプローチ方法〜
難治性口腔顔面痛の攻略方法〜心理的アプローチ方法〜
今回の動画は、東京都でご開業の野澤歯科院長の野澤健司先生が、難治性口腔顔面痛に対しての心理的アプローチについて、実際の症例を参考に認知モデルに当てはめながら、分野の違う心理学的要素も理解しやすく解説してくださっています。
さらに臨床心理士の久保田有智子先生、音楽療法士の塚本てる美先生といった歯科以外の専門家も交えて大変貴重で有意義な動画となっています。顎関節症患者さんを専門に診ていらっしゃる方、なかなか患者さん顎関節症が改善せずに悩んでいる方はぜひご覧ください!
第1章 認知行動療法の併用基準
◆認知行動療法について
野澤歯科にて、平成18年4月〜平成29年12月までに顎関節症で受診した1300人の患者さんの内、300人が認知行動療法を併用しました。下の画像は、認知行動療法を併用した300人を年齢別に示したグラフです。グラフを確認すると、20代、30代の特に女性の方が多いことが分かります。
〜認知行動療法の併用基準〜
①食いしばり、痛み行動(あまり口を開けない、引きこもり、鎮痛剤の多量摂取など)、生活習慣、睡眠障害などなどの問題行動がある方
②顎関節初期治療(スプリント、投薬、生活指導、リラクゼーション等)などを行っても顎関節症状の改善がみられない方
③精神疾患(幻覚、妄想など)がない
【症例1】〜35歳 女性 主婦〜
主訴:右側顔面痛 噛み合わせの不快感、その他めまい、疲れ、不眠、しびれなどの身体症状もみられました。
まず第一に、問診をしっかり丁寧に行うことが大切です。患者さんが歯科医院に来院した背景や経歴、生活習慣など細かな部分までお話ししていただきます。そして、問診した結果を下の画像のような認知モデルにあてはめていきます。すると患者像が明確になり、アプローチしていく部分もはっきりしてきます。
例えば行動の部分に着目してみると、下の画像のようなアプローチをしていけばいいことが見えてきます。
そしてブラッシング指導のように、一度に多くのことを伝えていくのではなく、ステップを踏んで少しずつ行動変容させていくことが大切です。
下の画像は初診時から行動療法を少しずつ行い、2ヶ月半後の状態です。身体症状が残っているのものの、認知や気分感情、行動において回復傾向にあります。
◆心理士によるカウンセリング
顎関節症患者の多くの人は、就業者や更年期、真面目であるという特徴が多くみられます。
そこで、就業経験や人生経験豊富な心理士からのカウンセリングを受けることで、元々は抑圧している方が多いため、話すことだけでも大分ストレスを解消することができ、今まで気づかなかった自分の感情や対処パターンに気づくことができてきます。
◆顎関節症患者への音楽療法について
顎関節症の治療の際に口が開きづらい、緊張感が取れないといったケースで音楽療法を用いています。顎関節症の方への音楽療法は、まずその方の年代に合わせた映画音楽、ジャズなどの音楽を15分程度聞いていただきます。その後、咬筋の触診など顎関節の治療を行うようにします。
特に生のピアノの音は単純に耳から音が入っていくというだけでなく、心や体に染み込んで、細胞レベルでリラックスすることができるため、とても効果が得られます。
実際に普段から力の抜き方がわからないという方、どうしても力が入ってしまうという方でも音楽を聞くことでリラックスすることができ、お口をすんなり開けられるという方が多くいらっしゃいます。また、痛みが気になってしまい他のことが手につかない!という方や他のことは考えられない方にはも音楽療法は効果があります。
生のピアノを聴いていただいたり、色んなイメージをしていただいたり、芸術療法なども組み合わせてみたりすることで、他のことが少しずつ考えられるようになる方がいらっしゃいます。
●音楽療法を行なった症例
顎関節症で痛みのある患者100人を対象に音楽療法を実施した症例です。年齢別でみると下の画像のような割合になっています。
痛みのある患者100人に15分程度、音楽を聴いてもらう前と後での痛みの度合いを示した結果が下の画像になります。
驚くことに、音楽療法前には痛みがあった方でも音楽療法後に痛みがゼロになったという方が100人中91人もいました。つまり今回の症例の中のほとんどの方に音楽療法の効果が著名に現れたのです。(今回、音楽療法後に痛みゼロがどのくらいの時間継続されたかということは調査対象ではありません)
最後に…
今回は東京都でご開業の野澤歯科院長の動画「難治性口腔顔面痛に心理的アプローチの併用」より、「難治性口腔顔面痛の攻略方法〜心理的アプローチ〜」を紹介させていただきました。
顎関節症の患者さんを診察をしていらっしゃる方には、とても今日に深く、貴重な動画となっております。ぜひ動画をご覧いただき、今後の臨床に役立てていただければと思います。最後までご一読いただきありがとうございました。
【難治性口腔顔面痛に心理的アプローチの併用】
第1章 認知行動療法の併用基準
第2章 心理士によるカウンセリングと音楽療法の実際