今日から使える✨️魔法の言葉【 自覚と自立を促すTBI - 6〜12歳編 - 】

「一生懸命に説明しても、お子さんにはなかなか伝わらない…」
「保護者の方から『うちの子、全然言うこと聞かなくて』ってため息を聞くのがつらい…」
新人歯科衛生士のみなさんから、そんな悩みをよく聞きます。特に、乳歯と永久歯が混在する「混合歯列期(6~12歳)」のお子さんへのTBI(歯磨き指導)は、コミュニケーションが難しくて、心が折れそうになることもありますよね。
でも、大丈夫!
この時期のお子さんの心を理解して、ちょっとしたコツを使うだけで、TBIはもっと楽しくて、やりがいのあるものに変わります。
今回は、お子さんの「やる気スイッチ」を押して、保護者の方の信頼も得られる、とっておきの方法と“魔法の言葉”をお伝えしていきます。
なぜ、6~12歳の歯磨きは難しい?

なぜ、6~12歳の歯磨きは難しいのでしょうか?
まずは、お子さんの状況をしっかり理解することから始めましょう!
この時期は、人生で最も歯磨きが難しいと言われています。
✅️歯並びがデコボコ:乳歯が抜けたり、永久歯が生えてきたりで、歯の高さも大きさもバラバラです。
✅️歯肉が敏感:生えかけの歯の周りは、歯肉炎にもなりやすいデリケートな状態です。
✅️本人の関心が薄い:「自分で磨ける」という気持ちと、「面倒くさい」という気持ちがせめぎ合うお年頃。
こんな難しい状況で、ただ「ちゃんと磨いてくださいね」では、伝わらないのも無理はありませんよね。
だからこそ、歯科衛生士の腕の見せ所です!
やる気スイッチON!明日から使える3つの工夫
では、どうすればお子さんのやる気スイッチを押せるでしょうか?ポイントは3つです。
1.「百聞は一見に如かず」作戦!本気の3分間歯磨き

お子さんには言葉で説明するより、見てもらうのが一番です!
鏡を見ながら3分間、まずは自分で磨いてもらいます。そして染め出しをして、磨き残しを鏡や口腔内写真で一緒に確認します。
「うわ、こんなに赤いの!?」とお子さんはビックリするはずです。これが最初のステップ。
「磨き残し=バイキンの塊」だということを、お子さん自身が“自覚”することが何よりも大切です。私たちが教えるのではなく、“自分で気づく”ためのお手伝いをする、というスタンスでやってみましょう。
2.「ダメ出し」はNG!自信を育てる言葉選び

たとえ真っ赤に染まっても、絶対に「磨けていませんね」「汚いですね」みたいな否定的な言葉は使わないようにしましょうね。お子さんのプライドは、私たちが思うよりずっと繊細ですから。
【避けたい言葉の例】
「全然磨けていませんよ」
「汚れが溜まっていますね」
【使いたい言葉の例】
「ここが磨きにくいみたいだね」
「歯ブラシの持ち方はこうしてみるとどうかな?」
できていないことを指摘するのではなく、「どうすればもっと良くなるか」を一緒に考えるスタンスで寄り添うと、お子さんは素直に耳を傾けてくれます。
3.「全部伝えたい!」気持ちを我慢。スモールステップ指導

あれもこれも…と、一度に全部教えようとするのは逆効果です。お子さんは混乱して、やる気を失ってしまうこともありますからね。
✅️ポイントは1~2箇所に絞る
「今日はこの大きな歯だけ完璧にしましょう!」
✅️簡単なことから伝える
「歯ブラシは鉛筆みたいに持ってみましょうか」
✅️小さな「できた!」を積み重ねる
「すごい!さっきよりピカピカになりましたね!」
小さな成功体験が、次へのモチベーションに繋がるのです。「夜は5分間、鏡の前で磨く」みたいに、おうちでできる具体的な目標を一つだけ立ててあげるのも効果的です。
保護者の心を軽くする“魔法の言葉”

そして、忘れてはいけないのが保護者の方へのアプローチです。
仕上げ磨きを嫌がるお子さんに、毎日イライラしたり、自分のせいだと感じてしまっているお母さん・お父さんは少なくないのです。
そんな保護者の方の不安な気持ちに、そっと寄り添ってあげましょう。
そして、この“魔法の言葉”を伝えてみてください。
「一生のうちで一番歯磨きが難しい時期なので、ご指導はお任せください♪」
この一言には、
💖「お子さんが磨けないのは、あなたのせいではありませんよ」という共感
💖「この難しい時期を乗り越えるお手伝いをします」という専門家としての頼もしさ
💖「私たちと一緒に頑張りましょう」という連帯感
たくさんのメッセージを込めています。
「健康な歯は、親から子への最高の贈りもの」と誰よりも願っている保護者の方の心を軽くして、私たちへの信頼に繋げるーー。まさに魔法の言葉です。
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