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【人気動画】安全安心確実な根面被覆術/松井徳雄先生

2021年7月5日(月)

東京都でご開業の松井徳雄先生に、「安全安心確実な根面被覆術」というテーマでご講演いただきました。

歯肉退縮の原因

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歯肉退縮はなぜ起こるのでしょうか。
歯肉退縮は付着歯肉の不足、口腔前庭の狭小、小帯の高位付着や、歯の位置異常などの解剖学的素因があるところに、プラークによる炎症、不適切なブラッシング、補綴治療時の不注意な操作や、外傷性咬合などが加わることにより引き起こされます。
その結果、知覚過敏、楔上欠損、根面カリエス、歯周炎、歯頚線の不揃い、補綴装置マージンの露出などのさまざまな問題が起こります。

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特に歯肉のBio-typeがThin-Scallop typeで、歯肉、歯槽骨ともに薄い場合は歯肉退縮を起こしやすいと言えます。
歯肉、歯槽骨が薄いという判断基準の明確な定義はありませんが、歯肉についてはプロービングした際に、プローブが歯肉から透けて見えるか否かを臨床的な歯肉厚薄の判断基準にするとよいとのことでした。

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では、根面被覆の成功基準はどのようなものでしょうか
Millerによる成功基準は以下の通りです。

1.知覚過敏がない
2.Miller分類class1または2の症例ではCEJまで被覆されている
3.歯肉溝の深さは2mm以下
4.プロービング時に出血しない
5.歯肉の色調が周囲と一致している
6.付着歯肉の幅が十分である

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術前診査と歯肉退縮の分類

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根面被覆において術前の診査でその治療の難易度を把握することは重要です。
歯肉退縮量はもちろんですが、歯間乳頭の状態や角化歯肉幅、口腔前庭の深さなどもチェックする必要があります。

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歯肉退縮についてのMillerの分類です。
前述したとおり、Class1と2では完全被覆が期待できますが、Class3では部分的な根面被覆しか期待できません。また、Class4では根面被覆は期待できません。

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「Cairoの分類にも解説していただきました。
頬側と隣接面のアタッチメントレベルで歯肉退縮を分類しています。
隣接面でのアタッチメントロスが大きくなると根面被覆が難しくなります。」

フラップデザインと歯間乳頭部切開法

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根面被覆術の術式はさまざまなものがあります。
それぞれの特徴について解説していただきました。
詳しくは後述します。

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根面被覆術では歯間乳頭部の切開を行う術式が多いです。
その歯間乳頭部の切開法もいくつか方法があります。
Tunnelingが最も治癒が早く審美性も良いですが、難易度は高くなります。
また、歯間乳頭幅が3mm以上あれば血液供給が保ちやすくButt Jointでも問題ありませんが、3mm未満となると術後の歯間乳頭の壊死のリスクを考慮しTunnelingが推奨されます。

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移植片の扱い

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2015年のAAPによるレビューでは根面被覆に用いられる材料のなかで上皮下結合組織が最も良好な結果が得られたと報告されています。
このため根面被覆のためにはCTGを口蓋歯肉から採取する必要があります。
麻酔の際の注意点、口蓋歯肉の厚みや切開、縫合法まで、CTG採取のための勘所を詳しく解説していただきました。

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採取した移植片を根面被覆する部位に固定していきます。
懸垂縫合で移植片を根面に死腔なく密着させます。
使用する縫合糸についても解説していただきました。

術式の選択

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根面被覆術の術式の選択基準についてです。
術式選択のDecision treeについて解説していただきました。
多くの症例はCoronally Positioned FlapかModified Langer Techniqueで対応できるとのことでした。
それぞれの術式についてみていきましょう。

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まずCoronally Positioned Flapについてです。
フラップを歯冠側に引き上げることでCTGをフラップで完全に覆うことができます。
十分な血液供給が得られるため、移植片壊死のリスクが低く、審美的な結果が得られやすい術式です。
ただし、口腔前庭が狭くなるため、口腔前庭が浅い症例や歯肉退縮量が大きい症例では不向きとなります。

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次にModified Langer Techniqueについてです。
Coronally Positioned Flapと異なりフラップを歯冠側に引き上げないため、口腔前庭が浅い症例にも適応できます。
角化歯肉幅が増大できることもメリットとなります。
ただし、歯間乳頭部に瘢痕がしばらく残るため審美的な結果を早期に求められる場合には不向きとなります。

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Envelop Techniqueについてです。
歯間乳頭部を切開しないため外科的な侵襲が少ない術式となります。
そのため瘢痕形成が少なく、乳頭部が保存されるなどのメリットはありますが、パウチ状の切開や、縫合糸によるCTGの引き込みなど術者には高度なテクニックが求められます。

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Double Pedicle Graft/Laterally Positioned Flapについてです。
1歯に限局している進行した歯肉退縮に適応します。

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では、角化歯肉が全くない場合はどうでしょうか。
こういった場合、FGGによる根面被覆を検討する必要があります。
ただしFGGでは、CTGによる根面被覆と比較して移植した部位とそれ以外とのギャップがはっきり残ってしまいます。
FGGによる根面被覆術を選択する場合は、術後の審美性や二次手術の可能性など、起こりうる問題について患者さんに事前によく説明し、理解を得ておくことが必要となります。

最後に

根面被覆術を引き出しとして持っていると臨床の幅がかなり広がると思います。
ただ、経験がないとなかなか最初の一歩が踏み出しにくい分野ではないでしょうか。
この動画では、それぞれの術式や臨床における勘所についてかなり詳しく解説されています。
最初の一歩を踏み出したい先生には必見の内容となっています。
是非ご覧ください。

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